25年上期の生乳生産量、前年同期比0.4%増
中国国家統計局によると、2025年上期(1〜6月)の生乳生産量は、前年同期比0.4%増の1864万トンとなった(図1)。
中国の生乳生産量については、例年、上期に比べて下期(7〜12月)が2〜3割程度増加する傾向にある。このため、25年も同様の傾向で推移した場合、下期の生乳生産量は2200万トンを超え、年間では4100万トン程度になると見込まれる(注1)。
25年6月の生乳価格、前年同月比6.0%安
中国農業農村部によると、2025年6月の生乳価格は1キログラム当たり3.04元(63.93円:1元=21.03円(注2)、前年同月比6.0%安)と前年同月をかなりの程度下回った(図2)。25年に入ってからは各月当たり0.01元(0.21円)程度の下落で推移していたが、6月は前月から0.03元(0.63円)下落するなどやや下落幅が拡大している。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年7月末TTS相場。
この要因について中国農業農村部は、25年7月に公表した「農産物需給動向分析月報(2025年6月)」の中で、(1)1頭当たり乳量の少ない乳用牛の淘汰が進み、牛群が最適化されつつあること(2)牧草の生育にとって良好な時期を迎えたこと−などから、生乳生産量が増加したためとしている。また、現地専門家は、6月中旬から学校が夏季休暇に入り、給食需要が低下したことも一因としている。一方、中国農業農村部は、(1)乳用牛の淘汰が引き続き行われていること(2)夏季の暑熱ストレスにより乳用牛1頭当たりの乳量が減少すること−などから、今後、短期的には生乳生産量が減少し、生乳価格は安定すると見込んでいる。
25年上期の乳製品輸入量、主要8品目すべてで増加
2025年上期(1〜6月)の乳製品主要8品目の輸入量は、全品目で前年同期を上回った(表)。
このうち、主な乳製品輸入量(製品重量)全体の約3割を占めるホエイに目を向けると、25年5月以降は輸入量が前年同月比で減少している(図3)。これは、ホエイ輸入量全体の約半数を占める米国産に対し、中国政府が5月14日以降、追加関税措置を行った影響とみられる。実際に5月以降、米国産の輸入量は全体の4割程度に減少し、オランダやポーランドなど欧州からの輸入量が増加しており、米国産からの切り替えが進んでいるとみられる。米中間の関税措置は今後も変動が見込まれることから、乳製品需給動向への影響が注視される。
(調査情報部 平山 宗幸)