26年2月の若齢牛価格、高水準で安定して継続
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、直近2026年3月1日時点で1キログラム当たり858豪セント(966円:1豪ドル=112.59円(注1))と高値で安定して推移している(図1)。
MLAによると、この値動きは豪州北部地域を横断した広範囲の豪雨による一部競売場閉鎖で出荷頭数が減少したことに加え、牧草の生育状況が回復し、若齢牛の肥育需要が高まったことが要因とされている。この降雨は、1月が例年より乾燥していた多くの地域にとって恵みの雨であり、今後は牧草利用のため保留される牛群が増えることで出荷頭数が減少し、牛の価格は上昇していくと予測されている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年2月末TTS相場。
26年2月成牛と畜頭数、干ばつ期に匹敵する高水準で推移
2026年2月第1週の成牛と畜頭数は、15万8528頭(前年同期比13%増)と、この時期としては異例の高水準で推移している(図2)。現地アナリストによると、1)食肉加工処理業者が高品質な穀物肥育牛1頭当たり200豪ドル(2万2518円)という良好な利幅を達成していること、2)1月の気象が高温乾燥だったことで牛の出荷が増えたこと、3)中国の新たなセーフガード措置(注2)を踏まえた駆け込み需要から、中国向けの穀物肥育牛の処理が前倒しで行われていること―などが背景にあるとされている。
なお、豪州統計局(ABS)が2026年2月に公表した統計によると、25年10〜12月期の牛と畜頭数は229万頭(前年同期比7.9%増)、牛肉生産量は71万2888トン(同7.9%増)と、いずれもかなりの程度増加した(図3)。この結果、25年の豪州における牛肉生産量は286万9097トン(前年比11.7%増)となり、同年の輸出量(同15.0%増の154万5760トン)とともに過去最高を記録した。
2026年牛肉輸出量は好調な滑り出し、新たな市場開拓は中東を念頭
豪州農林水産省(DAFF)によると、2026年1月の牛肉輸出量は8万4343トン(前年同月比4.1%増)となり、1月としては過去最高を記録した(表)。
輸出先別に見ると、米国向けは2万3748トン(前年同月比3.8%減)とやや減少しているものの、米国向け加工用牛肉(90CL:赤身率90%のひき肉用)価格が記録的な高水準を維持していることからも、底堅い需要は続いているとみられている。今後の見通しについてMLAや現地報道によると、米国での本格的な牛群再構築の兆候はまだ見られず、米国政府が米国時間2月20日に発令した新たな関税措置は牛肉が適用外となっていることは、明るい材料であるとしている。一方、米国政府がアルゼンチン産牛肉の関税割当を2万トンから10万トンに拡大したことは、豪州の米国向け主要輸出品目である加工用牛肉と競合することから、その影響が懸念されている。
また、中国向けは、1万6636トン(前同月比11.6%増)とかなり大きく増加した。新たなセーフガード措置を踏まえた駆け込み需要が注目されたが、急増にまでは至らなかった。業界が割当超過を見越した新たな市場開拓の必要性を認識する中、現地報道は、ドバイで行われた国際フードショーにおいて、中東における穀物肥育牛肉の適性が高いと評価されたことから、中東が新たな成長市場として注目されているとしている。
加えて、韓国向けは、1万3100トン(前年同月比23.6%増)と大幅に増加した。この背景には、米国の生産制約による韓国への供給量減少に加え、年が明けて26年となり韓国の牛肉セーフガード枠(注3)がリセットされたことがあるとされている。
(調査情報部)