26年4月の若齢牛価格、天候不順や燃料・肥料価格の高騰により下落傾向
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、直近2026年4月22日時点で1キログラム当たり798豪セント(928円:1豪ドル=116.28円
(注1))と、3月中旬に記録した今年度最高水準から約1割下落した(図1)。
報道や現地アナリストの分析によると、1)乾燥気候が続いていることに加え、豪州気象局(BOM)が7月までにエルニーニョが発生する可能性を発表したこと、2)中東情勢の影響による燃料、肥料価格の高騰が生産コストを圧迫する懸念が強まっていること−により、牛の出荷を早める生産者が増えたことで需給が緩和し、価格の下落につながったとされている(図2)。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年4月末TTS相場。
26年4月の成牛と畜頭数は高水準で推移、祝日の影響は限定的
2026年4月第3週の成牛と畜頭数は、16万4883頭(前年同期比37.2%増)と、大規模な干ばつがあった15年以来の高水準を記録した(図3)。4月上旬は祝日の影響で食肉処理・加工施設の稼働率が一時的に低下したものの、天候の影響などで牛の出荷が増えたことに伴い、と畜頭数は高水準で推移しており、多くの施設は予約が5月下旬まで埋まっていると報じられている。なお、例年5〜6月は祝日の多い4月に比べてと畜頭数が増加する傾向にあり、足元の牛の供給が潤沢であることを踏まえると、5〜6月の月間と畜頭数は過去最高を更新するとの予測が示されている。
26年3月の牛肉輸出量は堅調、中国向け輸出は新たな展開
豪州農林水産省(DAFF)によると、2026年3月の牛肉輸出量は14万9973トン(前年同月比33.4%増)と、月次データとしては過去2番目の数量を記録した(表)。
これを輸出先別に見ると、引き続き米国向けが4万2084トン(同30.3%増)、中国向けが3万2907トン(同62.4%増)と大幅な増加傾向で推移しており、特に中国向けは月間ベースで過去最高水準の輸出量となっている。中国商務部の告示によると、今年1月からの豪州産牛肉輸入量は、3月25日時点で同国に対するセーフガード枠(20万5000トン)
(注2)の50%に到達したとされており、現地報道では、5月中旬から6月上旬にはセーフガードが発動するとの予測が示されている。
こうした中、中国側は新たな動きを見せている。中国海関総署(GACC)は4月17日、新たに豪州の六つの冷蔵倉庫、二つの食肉処理・加工施設に対して、中国への輸出許可申請を承認したとウェブサイト上で伝えた。同時に、これまで冷凍牛肉のみ輸出が許可されていた既存の13の食肉処理・加工施設に対して、冷蔵牛肉の輸出許可を付与したと発表しており、豪州産牛肉の中国市場へのアクセスは大きく向上したとみられている。
このタイミングでのアクセス拡大には複数の見方があるが、DAFFが中国当局に対してセーフガードの対象品目から冷蔵牛肉を除外するよう求める書簡を送付し、担当大臣とのオンライン会談などを行っていることが、コリンズ農林水産大臣の発言から明らかとなっている。また、中国北西部で確認された口蹄疫SAT1型の影響により、同国内の牛肉供給に懸念が生じていると報じられており、一部の現地アナリストは、豪州とのセーフガード措置に何らかの見直しが行われる可能性があると予測している。
(注2)詳細については、海外情報「中国の新たなセーフガード措置に対する豪州の反応(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004262.html)をご参照ください。
(調査情報部)