今回の現地調査では、南北それぞれを代表する港に立地する穀物ターミナル運営会社を訪問した。以下では、それらの概要を紹介する。
(1)サントス港の穀物ターミナル運営会社:T-GRÃO社
T-GRÃO CARGO TERMINAL DE GRANELS S/A(T-GRÃO社)は、南米最大の港であるサントス港に立地する穀物ターミナル運営会社である(コラム1−写真1)。1998年から同港で事業を展開し、現在はトラックと鉄道からの荷受け、構内搬送、保管、本船への積み込みおよび搬出を一貫して行う。現地での聞き取りによると、需要拡大に伴い設備投資を重ねた末、2016年には、サイロの保管能力が13万4000トン、船積能力が1日当たり3万4000トン、受入能力が同2万5000トンに達した。年間取扱量は、大豆が約350万トン、トウモロコシが約250万トンで、同港の穀物ターミナル会社の中でも上位の取扱規模を有するという。
設備面において、同社は、穀物の保管に縦型サイロを採用している。同社によれば、縦型サイロでは、内部の穀物をサイロ下部の出口から重力によって流し出せるため、搬出作業を軽減できるほか、穀粒の形状を維持するとともに、車両や荷役機械から付着する油やタイヤ片、前に保管していた貨物の残りなどが混入することを防ぎやすいとしている。 物流面では、サントス港から道路距離で約200キロメートル離れたサンパウロ州内陸部のスマレに港外待機拠点を設け、事前予約したトラックの到着をターミナル内の荷役状況に合わせて調整している。これにより、港周辺道路での車両滞留を抑制するとともに、受入スケジュールの正確性を保っている。なお、同港でこのような仕組みを導入したのは、同社が初めてである。
こうした受入体制の効率化に加え、増大する穀物輸送需要への対応も進められている。同港全体でターミナルの拡張が計画される中、同社もサイロの増設を計画しており、今後、取扱量のさらなる拡大が見込まれる。
(2)イタキ港の穀物ターミナル:TEGRAM
アルコ・ノルテ最大の港であるイタキ港では、マラニョン穀物ターミナル(Terminal de Grãos do Maranhão、以下「TEGRAM」という)の運営会社の一つであるTERMINAL CORREDOR NORTE S.A.(以下「TCN社」という)を訪問した(コラム1−写真2)。
TEGRAMは、TCN社、Bunge社、CLI社およびALZ Grãos社の4社で構成される民間コンソーシアム(共同事業体)である。穀物の保管倉庫は各社が個別に保有しているが、鉄道からの荷受設備、船積設備、2カ所のバース
(コラム1−注)などは共同で利用している(コラム1−写真3)。
(コラム1−注)船を接岸させ、貨物の積み降ろしを行う岸壁の区画。
現地での聞き取りによると、TEGRAMの倉庫保管能力は50万トン(各社12万5000トン)、船積能力は1時間当たり5500トン、受入能力は1日当たり7万6500トン(トラック4万8000トン、鉄道2万8500トン)である。大豆、トウモロコシおよび大豆かすの年間取扱量は、約1600万トンに達する。
さらに、拡大する需要に対応するため、各社による縦型サイロの建設や第3バースの建設などが計画されている。これらの工事が完了すれば、保管能力は約85万トン、船積能力は1時間当たり8500トンに拡大し、年間取扱量は約2400万トンに達する見込みである。取材時点では、工事着手の前提となる政府との関連契約の締結に向けた調整段階にあり、契約締結後は28カ月以内に建設を完了する予定となっている。