豪州若齢牛価格は9月には再び下落、乾燥や輸出環境の変化が影響
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、直近の9月28日時点で1キログラム当たり911豪セント(1020円:1豪ドル=111.96円
(注1))と、下降傾向となっている(図1)。
現地報道によると、多くの肉用牛生産地域で猛暑と乾燥した天候が続いていることに加え、6月に豪州気象局(BOM)が発表したエルニーニョ現象の発生以降、その影響が強まっていることを背景に、牧草肥育農家による若齢牛の購買意欲が低下し、市場価格の下落を招いたとされている。
今後の見通しについて、BOMは、10月の降水量は豪州の大部分で平年を下回る可能性が高いと予測しており、牧草生育や放牧環境に及ぼす影響が懸念されている。また、中国および韓国の豪州産牛肉に対するセーフガード(SG)の発動や、米国が9月1日から導入した牛ひき肉製品を対象とする90日間の低関税枠の一時拡大措置
(注2)など、輸出環境の不安定化も懸念材料となっている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年9月末TTS相場。
(注2)詳細については、海外情報「米国は牛肉の赤身トリミングに対する低関税枠を一時拡大(米国)」(
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004442.html)をご参照ください。
26年8月の牛肉輸出は堅調、米国市場でブラジル産牛肉との競争に懸念
豪州農林水産省(DAFF)によると、2026年8月の牛肉輸出量は、12万8342トン(前年同月比5.3%減)と減少したものの、8月までの累計輸出量は107万7683トン(前年同期比9.1%増)と、依然として前年を上回って推移しており、需要の底堅さを見せている(表1)。

輸出先別に見ると、米国向けは4万3979トン(前年同月比7.9%増)と安定した需要を示しているほか、日本向けは2万5793トン(同32.9%増)と前年同月から大幅に増加し、輸出先で第2位となった。韓国、中国向けは、両国におけるSGの発動により大幅に減少しており、これらの減少分を米国や日本が一定程度吸収しているとされている。
また、米国の低関税枠の一時拡大措置については、同措置の正式発表前から導入観測が広がっていたことを受け、豪州の米国向け加工用牛肉(90CL)の輸出価格は8月下旬から下落傾向を強めており、食肉加工業者の収益性悪化が懸念されている。一方、MLAは、9月21日時点で10万トンの月間輸入割当枠の消化率が31%にとどまっていることから、当初懸念されていたブラジル産牛肉の輸入急増は現時点では見られていないと分析している。足元では輸出価格も持ち直しており、今後の需給動向や輸入割当枠の消化状況が焦点となっている(図2)。
2026年の牛肉生産量は過去最高の300万トン超えの予測
MLAは2026年9月21日、最新の業界見通しを公表した。これによると、26年の牛肉生産量は約302万トン、輸出量は約165万トンと、いずれも過去最高を記録する見通しではあるが、牛飼養頭数、牛と畜頭数、牛肉生産量および輸出量は、いずれも26年をピークとして、その後28年まで減少傾向で推移すると見込まれている。ただし、フィードロットの拡大による枝肉重量の増加などを背景に、牛肉生産量と輸出量の減少幅は限定的となり、28年まで高い水準を維持すると見込まれている(表2)。
なお、豪ドル高の進行や生産コストの上昇、米国の低関税枠の一時拡大措置の導入などによる貿易環境の変化が、豪州産牛肉の競争力を低下させる要因として懸念されている他、厳しい気象見通しも予測の下振れリスクとして挙げられている。
(調査情報部)