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海外のでん粉需給動向

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最終更新日:2010年6月2日

海外のでん粉需給動向

2010年6月

調査情報部

絵で見る世界のでん粉製品需給

 
 

海外のでん粉需給動向

2009年における世界のでん粉市場の概要

はじめに
 
 でん粉市場は、経済成長の指標の一つとして見ることができる。でん粉は食品や工業品の多くに利用され、これらの需要は、経済動向に敏感に反応するためである。その例として、2000年代初頭、著しい経済発展を遂げたアジアにおいて、でん粉市場の急速な拡大が見られた。また、2009年に、世界同時不況により世界のでん粉需要量は急減したが、アジア諸国の一部においては、勢いは衰えたものの需要は伸び続けた。
 
 でん粉の原料作物は、地域によって異なる。米国では、小麦と比較して価格面で優位性のあるとうもろこしからコーンスターチが生産されている。ヨーロッパでのでん粉生産は、伝統的にとうもろこしとばれいしょが原料であったが、小麦でん粉生産の際に副産物として得られる小麦たん白の市場価値が高かったこともあり、ここ30年の間に、小麦へとシフトした。アジアにおいては、従来から、タイやインドネシアではキャッサバからタピオカでん粉が、中国やインドではとうもろこしからコーンスターチが生産されている。また、豪州では小麦が原料となり、南米ではキャッサバ(タピオカでん粉)およびとうもろこし(コーンスターチ)が原料作物となっている。
 
 ここでは、2009年における世界各地域のでん粉市場の動きなどについて、LMC社からの報告などを基に概説する。なお、詳細な報告については本誌にて今後掲載予定である。
 
1.北米
 
 2009年、米国においては、不況のために工業品、食品向けともに消費が落ち込んだ影響を受け、でん粉需要は減退した。また、ダイエットブームを反映して、飲料メーカーは異性化糖の使用を控えるようになり、代替甘味料のシェアが伸びつつあることもでん粉需要減の要因の一つである。
 
 こうしたことから、2009年には、でん粉、甘味料工場の操業停止や設備投資の延期などが見られた。Cargill社はアラバマ州ジケーターにある工場を閉鎖し、ルイジアナ州ハモンドにある工場の増設延期を決定した。Staley社は無期限でルイジアナ州ラファイエット工場の増産計画を延期し、アイオワ州フォートドッジ工場の操業開始も延期している。
 
 2010年については、米国における甘味料市場は成熟している上、代替甘味料との競合が激化していることから、でん粉生産が急激に拡大することは考えにくい。
 
2.アジア
 
 アジアにおいて、でん粉は多くの製品分野で需要があり、世界的な不況のなかでも成長を続けた。特に、需要の成長速度と世界市場に与える影響を考えると、注目すべきは中国だと言えよう。でん粉用とうもろこしの消費量を例に挙げれば、世界全体に占める中国の割合は、2000年に10%未満であったが、現在は25%を超えるまでになっている。また、エタノール生産量も増加傾向で推移しており、とうもろこしなどの原料作物の需給がひっ迫している。
 
 このように中国では、でん粉やその原料作物需要の急増に国内の供給が追い付かないため、でん粉用とうもろこし、ばれいしょでん粉およびタピオカでん粉の輸入量が急増している。ばれいしょでん粉については、2007年からEU産に対してアンチダンピング税を課しているにもかかわらず、2010年1〜3月の輸入量は4万7000トンと、前年の年間輸入量(3万5000トン)を既に上回った。また、タイやベトナムなどからのタピオカでん粉輸入量についても、2010年1〜3月の累計で前年同期比43.5%増の19万8000トンと大幅に増加している。
 
 なお、このタピオカでん粉については、最大の供給国であるタイにおいて、原料となるキャッサバへの害虫被害が発生していることから、需給がひっ迫している。その結果として、タピオカでん粉価格は2010年5月時点で記録的な高値となっている。
 
 また、化工でん粉については、中国だけでなくほかのアジア諸国での製紙および加工食品の需要増を反映して、アジア市場は短・中期的にさらに拡大する可能性がある。
 
3.ヨーロッパ
 
 EUは、世界の小麦でん粉生産量の75%以上を占めているが、不況の影響から合理化が進み、2009年にSyral社は、英国の小麦粉でん粉由来の甘味料などを生産していた工場を閉鎖した。
 
 EUはまた、ばれいしょでん粉についても、世界の需要量の75%を供給している。この産業は、原料の生産動向に影響される面が大きい。今後については、2010年に急激な変化をみせることはないとみられるものの、2012年以降にばれいしょでん粉関連政策が見直されることが決定していることを見越して、徐々に合理化が進むとみられる。
 
 一方、東ヨーロッパでは、とうもろこし生産について競争力を持っているため、でん粉市場は拡大する可能性がある。Tate and Lyle社は2010年、スロバキア工場におけるぶどう糖の生産能力を拡大した。また、将来的には、同工場の乾燥でん粉の生産量も増加させるとみられている。
 
4.南米
 
 南米における主要なでん粉生産国はブラジルで、タピオカでん粉とコーンスターチを生産している。ブラジルはキャッサバの主要生産国(2008年の生産量は、ナイジェリア、タイに続く世界第3位)の一つであり、タイの供給減とアジアでの強い需要によって生じた需給ひっ迫を契機として、今後タピオカでん粉の増産に取り組むことも考えられる。
 

◆タ イ◆

タピオカでん粉価格の上昇続く
 
 タピオカでん粉価格の高騰が続いている。タイタピオカでん粉協会(Thai Tapioca Starch Association)によると、5月25日のバンコクにおけるFOB価格は、前年比80.0%高のトン当たり495米ドルであった。4月20日には前年比69.1%高の同465米ドルを記録したが、続伸することとなった。現地報道などによれば、キャッサバへの虫害の沈静化はいまだ見えておらず、このため需給がひっ迫している。
 
 なお、害虫被害の概要などについては、本誌4月号「タイのタピオカでん粉をめぐる最近の事情」を参照されたい。
 
2010年1〜3月のタピオカでん粉輸出、数量・価格とも前年超
 
 2010年3月におけるタピオカでん粉輸出量は、前年同月比88.0%増の20万5500トンとなった前月に引き続き、同49.4%増の20万1200トンと、前年の水準を大幅に上回り、1〜3月の累計では、前年同期比89.9%増の59万6000トンとなった。
 
 1〜3月における主な輸出先国は、前年同期が4000トンとわずかであったインドネシアが最も多く16万2000トン、次いで、中国13万1700トン(前年同期比54.1%増)、台湾8万3600トン(同5.8%増)、マレーシア6万2800トン(同80.3%増)といずれも大幅に増加したのに対し、日本は2万6900トンと前年同期から2.6%減少した。
 
 インドネシアについては、天候不順によりタピオカでん粉生産が減少したこと、また、中国については、経済発展に伴う需要の高まりやとうもろこしのでん粉仕向けを制限する政策により需給がひっ迫傾向となり、タイ政府が従前の担保融資制度下で保管していたタピオカでん粉在庫を政府間取引で購入したことなどが、これら2カ国向け輸出量増加の要因となっているとみられる。
 
 一方、2010年3月におけるタピオカでん粉の輸出価格(FOB)は、需給のひっ迫を反映して、前月比5.3%高とさらに値を上げ、キログラム当たり0.4米ドル(前年同月比73.9%高)となった。
 
 また、1〜3月の平均では、前年同期比55.2%高のキログラム当たり0.38米ドルとなっている。(1米ドル=95.07円、平成22年4月末日TTS相場)
 
 
 
2010年3月の化工でん粉輸出価格、前月から値を上げる
 
 2010年3月におけるタイのデキストリンおよびその他の化工でん粉輸出量は、前年同月比11.0%増の7万370トンとなり、1〜3月の累計では、前年同期比27.0%増の18万7300トンとなった。
 
 1〜3月における主な輸出先国は、日本が最も多く前年同期比29.6%増の7万100トン、次いで、中国(同99.2%増の2万9700トン)、インドネシア(同75.2%増の2万2900トン)、韓国(同19.1%増の9800トン)、台湾(同87.5%増の9700トン)と上位をアジア諸国が占めている。
 
 一方、2010年3月の輸出価格(FOB)は、前月から3.3%高いキログラム当たり0.63米ドル(前年同月比23.5%高)となり、日本向けも前月比3.7%高の同0.56米ドルと値を上げた。
 
 また、1〜3月の平均では、前年同期比13.0%高のキログラム当たり0.62米ドルとなっている。
 
 
 

◆米 国◆

米国農務省、2010年度のとうもろこし生産量は前年度をさらに上回ると予測
 
 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は5月11日、2010穀物年度(2010年9月〜2011年8月。以下、「年度」)における国内外の主要農作物の需給見通しを公表した。これによると、米国におけるとうもろこしの生産予測量は、順調な作付けを反映し、前年度の記録を更新、2月19日に農業観測会議で公表された予測値が上方修正された。
 
 米国における2009年度のとうもろこし生産量は、本年2月の農業観測会議における予測量(131億6000万ブッシェル、1ブッシェル=25.4キログラム)よりわずかに引き上げられ、過去最大を記録した前年度を2.0%上回る133億7000万ブッシェルになると予測されている。
 
 今回の上方修正は、3月上旬に実施された生産者意向調査結果に基づく予測作付面積が、8900万エーカーから8880万エーカー(前年度比2.7%増)とわずかに減少するとされたものの、作付けの順調な進行により予測単収が、1990〜2009年までの伸びに基づく傾向値を2.6ブッシェル上回る1エーカー当たり163.5ブッシェルとされたことによる。
 
 一方、2010年度のとうもろこし国内消費量は、2月の予測値をわずかに上回る113億ブッシェル(前年度比1.8%増)と見込まれている。これを用途別に見ると、エタノール向けが連邦政府による使用義務量の引き上げを反映して46億ブッシェル(同4.5%増)に増加する一方、飼料等向けは家畜飼養頭数の減少やDDGsへの代替が進んでいることなどから、53億5000万ブッシェル(同0.5%減)とわずかに減少すると見込まれている。また、輸出向けについては、供給量の増大と価格の低下から20億ブッシェル(同2.6%増)に増加すると見込まれている。
 
 このように、消費量の伸びを上回る生産量の増加が見込まれることから、2010年度の期末在庫数量は、18億1800万ブッシェル(前年度比4.6%増)に増加すると予測されている。また、生産者平均販売価格については、前年度(ブッシェル当たり3.50〜3.70ドル)とほぼ同程度(同3.20〜3.80ドル)になると予測されている。
 
 
 
2010年3月のコーンスターチ輸出価格は前月に引き続き下落
 
 2010年3月におけるコーンスターチ輸出量は、前年同月比37.4%増の1万1500トンで、1〜3月の累計では、前年同期比27.2%増の2万8000トンとなった。
 
 1〜3月における主な輸出先国としては、カナダが最も多く(前年同期比16.1%増の7400トン)、次いで、英国(同10.4%減の4700トン)、メキシコ(同3.3%増の3900トン)、中国(前年同期比で約12倍の1800トン)、日本(同28.2%減の1700トン)となっている。
 
 また、3月の輸出価格(FOB)は、とうもろこし価格の下落を受けて、前月比7.3%安のキログラム当たり0.51米ドル(前年同月比20.3%安)と、2010年1月以降下落が続いている。
 
 また、1〜3月の平均では、前年同期比15.8%安のキログラム当たり0.53米ドルとなっている。
 
 
 
2010年3月の化工でん粉輸出量は、前年同月より1割増
 
 2010年3月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比11.1%増の3万8200トンで、1〜3月の累計では、前年同期比10.9%増の10万1900トンとなった。
 
 1〜3月における主な輸出先国としては、コーンスターチと同様、カナダが最も多く(前年同期比6.3%増の1万8800トン)、次いで、メキシコ(同33.7%増の1万5500トン)、日本(同3.0%減の1万5100トン)、ドイツ(同15.5%増の1万1500トン)、英国(同29.8%増の5800トン)となっている。
 
 3月の輸出価格(FOB)については、前月同のキログラム当たり0.8米ドル(前年同月比3.6%安)、日本向けについても前月比1.5%高の0.66米ドル(前年同月比3.1%高)と大きな動きはなかった。
 
 また、1〜3月の平均では、前年同期比3.5%安のキログラム当たり0.82米ドルとなっている。
 
 
 

◆E U◆

2010年2月のばれいしょでん粉輸出量は前年超
 
 2010年2月におけるばれいしょでん粉輸出量は、2009年産ばれいしょが豊作であったことから、前年同月比81.7%増の5万トンと、前月に引き続き前年の水準を大きく上回り、1〜2月の累計では、前年同期比89.6%増の9万7900トンとなった。
 
 1〜2月における主な輸出先国としては、中国が最も多く(前年同期比の約5.4倍となる2万7300トン)、次いで英国(同49.3%増の1万2200トン)、韓国(同45.9%増の8500トン)、台湾(同157.4%増の7200トン)、タイ(同72.6%増の5200トン)となっている。
 
 また、2月の輸出価格(FOB)は、前月比3.3%高のキログラム当たり0.31ユーロ(前年同月比29.5%減)とほぼ横ばいで推移している。また、1〜2月の平均では、前年同期比29.5%安のキログラム当たり0.31ユーロとなっている。(1ユーロ=125.98円、4月末日TTS相場)
 
 
 
2010年2月の化工でん粉輸出量も前年の水準を上回る
 
 2010年2月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉輸出量は、前年同月比23.3%増の3万2000トンで、1〜2月の累計では、前年同期比23.9%増の6万1600トンとなった。
 
 1〜2月における主な輸出先国としては、トルコが最も多く(前年同期比で58.6%増の1万1900トン)、次いで、中国(同139.8%増の7300トン)、スイス(同2.7%減の6300トン)、ロシア(同1.9%減の5400トン)、米国(同32.1%増の4700トン)となっている。
 
 また、2月の輸出価格(FOB)は、前月比1.4%高のキログラム当たり0.71ユーロ(前年同月比10.1%減)とやや値を上げた。また、1〜2月の平均では、前年同期比13.1%安のキログラム当たり0.7ユーロとなっている。
 
 
 

◆中 国◆

2010年3月の天然でん粉輸入量は、前月に引き続き前年の水準を大幅に上回る
 
 2010年3月における天然でん粉の輸入量は、前月(前年同月比66.7%増の6万5000トン)に引き続き、前年同月比42.1%増の10万8000トンと、前年の水準を大幅に上回り、1〜3月の累計では、前年同期比75.2%増の24万7000トンとなった。その内訳を見ると、タピオカでん粉が最も多く19万8000トン(前年同期比43.5%増)、次いでばれいしょでん粉4万7000トン(前年同期の15.7倍)となっている。タピオカでん粉の輸入先国は、タイ(13万4000トン)、ベトナム(6万3000トン)の2カ国でほぼ全量を占めている。
 
 3月の輸入単価(FOB)については、タピオカでん粉が前月比2.0%高のキログラム当たり0.40米ドル(前年同月比59.0%高)と上昇したが、ばれいしょでん粉は、前月同の同0.42米ドル(前年同月比27.5%安)と変化がなかった。
 
 輸入量が増加する一方で、輸出量は前年よりも低い水準で推移している。2010年3月の輸出量については、前年同月比25.0%減となる2万7000トンであった。1〜3月の累計では、前年同期比35.6%減の6万7000トンとなり、その内訳を見ると、コーンスターチが5万2000トンと大半を占め、主にインドネシア(3万6000トン)に輸出されている。
 
 3月の輸出単価(FOB)については、コーンスターチ価格が前年同月比33.2%高のキログラム当たり0.37米ドル、サゴでん粉価格が同21.9%安の同0.66米ドルであった。
 
 
 
 
 
 
2010年化工でん粉輸入量も前年同期比大幅増
 
 2010年3月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸入量は、前月(前年同月比87.4%増の1万6000トン)に引き続き、前年同月比108.2%増の1万7000トンと、前年の水準を大きく上回った。輸入先国別では、タイが同9000トンと約5割を占めている。1〜3月の累計では、前年同期比119.9%増の5万2000トンとなった。天然でん粉輸入も前年の水準を大幅に上回っており、中国におけるでん粉需要の伸びが見て取れる。
 
 3月の輸入単価(FOB)については、前年同月比16.5%高のキログラム当たり0.89米ドルと、前月の同0.75米ドルから大幅に値を上げた。1〜3月の平均では、前年同期比2.5%安の同0.79米ドルとなった。
 
 一方、2010年3月における輸出量は、前年同月比55.2%減の7000トンとなった。輸出先国別では、韓国が最も多く、2000トン、次いで、日本1400トン、マレーシア800トン、豪州600トンであった。1〜3月の累計では、前年同期比43.5%減の1万9000トンとなった。
 
 3月の輸出単価(FOB)については、前年同月比51.8%高のキログラム当たり0.68米ドルと、前月の同0.56米ドルから大幅に値を上げた。1〜3月の平均では、前年同期比33.9%高の0.65米ドルとなった。
 
 
 
 
 
 
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