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はるさめと国産でん粉

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最終更新日:2011年10月7日

はるさめと国産でん粉

2011年10月

奈良食品株式会社
 

【要約】

 「はるさめ」といえば現在は中国産の「緑豆はるさめ」が主流です。弊社の「戎国産はるさめ」は、九州の甘しょでん粉と北海道のばれいしょでん粉を使用して作られています。

 近年はるさめは低カロリーで健康志向の方に注目され、さらに特定アレルゲンが含まれていない為に小麦麺の代用としても支持を頂いています。また食の安全・安心という観点から中国産の食材が敬遠される傾向もあり、今後は「国産」であることのPRをすすめる事で国産はるさめが多くの消費者に浸透していく事が期待されます。

1.はるさめの基礎知識・製造法

 一般的に「はるさめ」といわれ販売されているはるさめは二種類あり、一つは中国の春雨で「緑豆(中国)はるさめ」と呼ばれています。この緑豆はるさめの原料は緑豆でん粉で、コリコリとした食感と細く透き通った麺が特長です。

 もう一つは、日本で製造されている「国産はるさめ」で、かんしょでん粉とばれいしょでん粉を使用し、モチモチとした食感と味付きの良さが特長です。

 現在、国産はるさめを製造しているメーカーは日本に数社しかなく国内シェアの大半は中国産の緑豆はるさめが占めており、「はるさめ=中国産」というのが一般的な認識だと思います。

 弊社は昭和38年より奈良県で春雨を作り始め、現在に至っています。弊社の国産はるさめは南九州(主に鹿児島)産のかんしょでん粉、北海道(主に南十勝)産のばれいしょでん粉に、加工助剤としてミョウバンのみを使用して製造しており、製造工程は以下のように進みます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 上記のような工程は創業当時と変わらず、製造から製品になるまで約1週間かかります。

 一般的にはるさめの製造においては生産効率を考えて増粘剤(CMC)という添加物ではるさめの粘りとコシを出すのですが、弊社のはるさめは増粘剤を使用せずにミョウバンとでん粉を熱湯で糊化させた糊を使用するために、でん粉の質が非常に重要となっており、でん粉の質が悪いとはるさめが切れやすくなったりして製造のロスが増えるという状況になります。

 他のメーカーも基本的な製造の流れは同じようなものでしょうが、現在、このように手間をかけて製造している春雨メーカーは弊社ぐらいしかないと思われます。

2.製品に原材料として国産でん粉を使用する理由

 弊社が国産はるさめを作る上でのこだわりは、お客様の視線でより良い物を提供するということです。

 そのために、弊社の製法は創業当時の昔のままの製法を基本としております。全て昔の方法が一番良いということではなく、新しい技術について常に試行錯誤しながらも、昔の良いところを残しています。例えば約2日かけて冷凍させるのは、はるさめの麺が白く濁ることを防ぎ、結果としてシッカリとした麺になりますし、天日でじっくり干すのは急速に乾燥させない方がはるさめに程良い弾力がうまれるからです。

 現在主流となっている製法では増粘剤という添加物ではるさめの麺の強さを出すのですが、弊社では昔からのミョウバンを少量使うという事ででん粉の粘りを引き出すようにしています。これは、出来るだけ余計な物を入れずに素材を活かしたいと考えているからです。

 また、弊社のはるさめは漂白剤を用いないため、一般的なイメージの白いはるさめでは無く、少しグレーっぽい色のはるさめになっています。これも見た目は悪くなりますが、出来るだけ余計なモノは使わない方がお客様に良いという判断で行っていることです。当初はお問い合わせも多く頂きましたが、「これがでん粉の自然な色です」とお伝えして納得して頂いています。

 この判断の延長線上に、国産でん粉を使用する理由があります。

 近年、中国産をはじめ価格の安い食品が多く流通し、はるさめも中国産が大半です。しかしながら、食の安全という立場で見た場合、農薬や添加物などの不安を抱くお客様も多く、日本で製造した食材への回帰も流れとしてあります。さらに、原材料として国産のでん粉は国内基準を守った品質のため消費者の食品に対する不安感もありませんので、外国産のでん粉に対して優位になると考えています。

 ですから、そういった食の安全に関心のある方々に満足して頂ける商品を作る場合は外国産のでん粉を使用するという選択肢ではなく、国産でん粉を使用するというのは自然の流れだと考えています。

 弊社では今後も国産のでん粉を使っていきたいと考えています。

3.最近の市場動向

 近年は特にヘルシーな食材に注目が集まるようになりました。

 はるさめにおいても、カップスープ等でヘルシーな食材としてのイメージがあり、はるさめ全体に対する見方が徐々に変わってきているのではないかと考えております。実際に、はるさめは食物繊維が豊富ですし、お湯で戻すと少量でも満腹感が得られる食材です。

 また特定アレルゲンとなる物質も含まれず、小麦や米の麺の代用として「はるさめ」が選択肢になるケースも増えてきています。

 さらにはるさめ自体には味がほとんど無いためさまざまな味付けができ、料理との相性も良い食材だというのも強みです。

 一方、数年前に一部の中国産はるさめに過酸化ベンゾイルという日本では認可されていない添加物が入っていたという事が問題になり、その後他にも中国の食品が問題になる事例が発生しています。こうした状況の中、「はるさめ=中国産」という認識を持っている多くの消費者は、はるさめを敬遠する傾向もありました。

 弊社では、それまで「戎はるさめ」として商品パッケージを作っておりましたが、「戎国産はるさめ」として「国産」であること、「国産のでん粉を使用していること」を消費者にアピールするようにしております。

 その結果、国産のはるさめとして消費者の不安感は払拭されつつあるように感じていますが、まだ日本ではるさめを製造しているという事を知らない方が非常に多いというのが現状です。しかしながら最近は工場見学を取材するテレビ番組が多く、弊社のはるさめもメディアに露出する機会が増え、国産はるさめ全体としても徐々に知名度も向上しているのでは無いかと思っています。こういう地道な活動が多くの方に国産はるさめの存在を知って頂く機会だと捉え、少しでも多くの方に手にとって満足して頂けるような商品を提供する機会が増えれば徐々に国産はるさめの需要も多くなる事を期待しています。

4.今後の展望

 現在、国産はるさめを取り巻く状況を考えると、中国産の食品に対する不安が取り除かれない限りは国産はるさめの認知度と共に支持して頂けるのでは無いかと考えています。そのためには、国産のはるさめがあるという事を少しでも多くの方に知って頂く事が最重要であり、弊社を始め国産はるさめメーカーは積極的にアピールすることが今後の課題になると考えています。

 その一方で、国産でん粉の供給量が不安定、または不足する状況になれば、外国産のでん粉を使用しなければならない状況も考慮せざる得ないですし、国産でん粉など原材料の値上がりがすすめば採算性の問題が大きくなり、現在国産はるさめを製造しているメーカーが撤退するという事も考えられます。

 弊社としては、国産はるさめの安全性と商品に対するこだわりをアピールし、より消費者の支持を得られる商品を作るために日々取り組む事によって、少しずつでも国産はるさめが見直されるように取り組んでいきたいと考えています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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