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かりんとうと砂糖

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最終更新日:2010年5月10日

かりんとうと砂糖

2010年3月

全国油菓工業協同組合 理事長 中野 健三

かりんとうの誕生

 現在手軽に食べられているかりんとうの歴史をたどると、意外と古いことに驚かされます。聖徳太子の時代、遣唐使により8種類の唐菓子と14種類の果餅が献上され、この中の「小麦粉をこね細長くし、結び緒のような形にして油で揚げた結果(かいはな)というお菓子」が、今のかりんとうとほとんど変わらないと思われ、かりんとうの起源と言われています。

 江戸の中期以降、小麦粉をこね棒状にして揚げたものが深川辺りで天秤棒に担いで売り歩いていたのが、庶民が口にしたのが始まりと聞き及んでいます。

 現在のようなかりんとうは、明治8年(1875年)浅草仲見世の飯田屋が、当時白砂糖は高級で、貴族や武家しか食べられず、庶民は黒糖を食べていたため、地粉を棒状にして油揚げし、黒糖をつけた物を売り出して好評を博し、大衆の支持を得て下町一帯に広まったとされています。その後、大正中期頃に天竜堂多田氏により機械化され、大量生産が可能となり大衆菓子として全国津々浦々に広がったと言われています。

かりんとうと砂糖の関係

 かりんとうの熱々の出来立ては、とても軟らかくソフトです。でも、皆さんの食べるかりんとうは、カリカリとして歯ごたえがあります。これは、かりんとうの表面を覆っている砂糖が冷め、キャンディーのように硬くなったからです。
 
 
 また、かりんとうは180度位の油で揚げているため、日が経つにつれ油が酸化し香りが変化します。かりんとうの表面を覆っている砂糖蜜は、かりんとうの油と空気を遮断して酸化を遅らせる働きがあります。特に黒糖に含まれる「コクトオリゴ」は酸化を抑制する働きがあるので、黒かりんとうは白かりんとうよりも倍の日持ちがします。

 このように、砂糖はかりんとうの味の向上だけではなく、酸化防止の役割も果たしています。

かりんとうの栄養学

 カリカリという歯ごたえとしっとりとした甘味の広がる“かりんとう”。どこにでもある材料で作られているように思われますが、このお菓子が今、健康食品として見直されています。沖縄地方の古くからの言い伝えに「黒い砂糖は命を延ばす」という言葉があります。

 沖縄では、17世紀半ば頃からさとうきびが栽培され黒砂糖が生産されていました。
現在でも黒砂糖をお茶の友として食べたり、直接さとうきびの汁を飲んだりしています。

 そのためか、他の地域と比較して糖尿病患者が驚くほど少ないうえに、長寿者が多く日本一の長寿地域となっています。

ミネラルも含まれる黒砂糖

 現在は飽食の時代、蛋白質・脂肪・糖分の3代栄養素は充分に摂取されております。

 しかし、ビタミンやミネラル(無機質)は不足がちで、こうした偏りが糖尿病などの成人病のもとになると言われています。黒砂糖はさとうきびの汁をそのまま固めたものです。グラニュー糖などの精製糖では、含有するミネラルは極めて微量(マイクログラム単位)であるのに比べ、表1のように、黒砂糖には一定量のミネラルが含まれています。ミネラルとは、酵素やビタミン・ホルモン・神経など身体を維持し、活性を高める大切な役割を果たしています。

表1 黒砂糖100g当たりの成分

資料:日本食品成分表(科学技術庁資源調査会)
資料:日本食品成分表(科学技術庁資源調査会)

コクトオリゴの効果

 動物実験で高カロリー食を与え、糖尿病の状態にしたモルモットに、黒糖から抽出した黒色物質を与えたところ、血液中の血糖値が下がり中性脂肪が低下しました。黒色物質に含まれるコクトオリゴの作用によるものだったのです。

 コクトオリゴは血糖値や中性脂肪の上昇を阻止し、肥満を防止する役割をしていたのです。また、皮膚の新陳代謝を促進するため、しみ・そばかすにも効果があると言われています。

かりんとうの語源

 かりんとうの語源は定かではありませんが、井原澄子氏の説によると「花林糖の名は“花林”の木の色に似たことに由来する。安土桃山時代、中国人によって長崎に伝えられたものが九州に広がり、中国・四国・関西・と順次広がり、明治以降は東京でも作られ、一般のおやつとして普及した」とあります。

 他方、江戸人好みの気取らない性格を表して、「かりかり」するから「かりん糖」と語呂を借りて平易な平仮名で表現したものとも言われています。

 また、九州地方では縄状のかりんとうを「オランダ」と呼ぶところから、ペリーの黒船が日本に来た当事、黒船を「火輪船」と呼んだようで、その時キャラクター商品として登場したのが火輪糖、そして「かりんとう」となったという説もあります。

知られざるかりんとうの履歴

 戦後は約400社存在したかりんとうメーカーは、現在約40社に激減しましたが、全国油菓工業協同組合の傘下に各企業がまとまっています。

 全国油菓工業協同組合の経歴を紹介します

昭和13年  主原料の食用油の配給を受けるため、全国の同業者を募り、組合を結成し、全国油菓工業組合連合会として発足する。
昭和20年  敗戦に伴い組合業務も中断となる。
昭和27年  自由経済下において組織組合を復活し、業務を再開する。
昭和41年  農林省指令41A第2581号を以って公認組合として認可され、全国油菓工業組合として新発足する。
 某企業が、かりん糖の特許を出願したのを機に組合にその「かりん糖の製造特許権」が譲渡され、この権利を公平適切に運用することで各企業が組合に加入した。
昭和50年  油菓子の「自主標準規格」設定。
平成元年  菓子業界において初めてのJAS規格を取得する。

 以上のように戦時中は食用油の配給を受けたり、「製造特許権」や菓子業界では唯一の「JAS規格」を取得したりと、色々な経歴を持ったかりんとう業界です。

かりんとうの市場規模

 かりんとうの市場規模は、生産金額167億円、小売金額260億円と言われており、菓子全体の0.8%に当たります。推移は表2のとおりです。
 
表2 かりんとうの市場規模の推移
資料:(株)富士経済
資料:(株)富士経済
 売上全体としては、ここ数年大きな変化はなく、微減傾向ですが、2008年は、かりんとうブームが起き、売上が伸びています。

 地域別の消費動向をみると、地域別消費額は首都圏の関東を筆頭に東日本が高く、西日本では低くなっています。また、一世帯当たりの消費金額は、北海道が多く、全国平均(394円)の約2倍となっています(図1、表3)。

 
 
資料:(株)富士経済
注:市場規模は全体を260億円として算出、( )内数字は一世帯当たり消費金額
 

図1 かりんとうの地域別消費指数および市場規模

 

 

 

表3 かりんとうの全国地区別消費金額

資料:(株)富士経済
資料:(株)富士経済
年齢別では、35〜49歳が多くなっており、その中でも女性が多いと思われます(図2)。
資料:(株)富士経済 
資料:(株)富士経済 

図2 かりんとうの年齢別購買金額

かりんとうの現状と今後の動向

 かりんとうは日本人に馴染みの深い伝統菓子であり、安定した需要に支えられております。しかし、多様化する菓子市場のなかにあって、消費者の嗜好の変化に伴い市場の集約化が進み、‘90年代半ば以降は単価の下落により販売額は微減傾向が続いています。

 しかし、2年前に、東京駅地下のグランスタ内「錦豊琳」を始め羽田空港や各デパートに専門店が出店し、行列が出来るなど話題を呼んでいます。また、テレビや新聞・雑誌に取り上げられる機会も多くあり、「かりんとうブーム」に火をつける格好となりました。

 品種も色々と作られ、現在では20種類以上の品々が見られます。このかりんとうブームに便乗し、焼きかりんとう、かりんとうあられ、かりんとうドーナツ、かりんとう饅頭など黒砂糖を使用したお菓子が「かりんとう」を付したネーミングで売られています。

 健康志向の中、「黒砂糖」への注目度は高く、また、昨今のブームにより若い世代の消費層が増えたことにより、かりんとう全体の消費の底上げが出来たように思われます。かりんとう自体が地味な商品のため、健康食ブームの中で人気のある「黒砂糖」を強調するとともに、チョコレート・ジャム・スナックなどとのコラボレーションによる目新しい商品開発が今後市場が伸びる課題となるのではないでしょうか。

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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