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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2010年8月4日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2010年8月

調査情報部

 
 2009年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11ー190)が128万3443トンと全体の98.8%を占め、そのうち57.8%をタイ、27.3%を豪州、11.7%を南アフリカと、この3ヵ国で96.8%を占める。

◆タイ◆ 〜国内供給不足により白糖7万4350トン買い付け〜

(1)2010年7月における見通し

 2009/10タイ砂糖年度(10月〜翌9月)の生産は終了し、主産地の乾燥した気候の影響により、砂糖生産量は710万トン(粗糖換算、前年度比5.3%減)に減少するとみられる。
 
 2010/11年度のさとうきび収穫面積は、前年度並みの105万ヘクタールと見込まれる。エルニーニョ現象の影響により雨期の開始が遅れ、北部および北東部で干ばつの被害が生じていることから、LMCは同年度のさとうきび生産量を6910万トン(前年度比5.2%増)、砂糖生産量を750万トン(粗糖換算、同5.6%増)と、いずれも前月の予測からわずかに下方修正した。ただし、今後数カ月間の天候がさとうきびの生育にとって良好となれば、生産量は回復するとみられる。
 
 
 

(2)粗糖・白糖貿易状況

 世界第2位の砂糖輸出国であるタイは、国内の砂糖不足に対応するため、7月中旬に白糖7万4350トンを国際市場から買い付けた。この異例の事態は、国内供給用に割り当てられた砂糖の一部が、2010年はじめの国際砂糖価格高騰時に国外へ流出したことが原因である。
 
 タイ国内の砂糖価格は政府の管理下にあり、卸売価格は1トン当たり約600ドル(5万3688円、1ドル=89.48円)と定められているが、国際価格高騰時にミャンマーなど周辺国の砂糖価格がこれを上回ったため、国内供給用の砂糖が流出し、その結果、現在の砂糖不足が発生している。これを受け、LMCは2009/10年度の輸出量を前月予測から10万トン下方修正し、480万トン(粗糖換算、前年度比5.9%減)とした。
 
 2010/11年度の輸出量については、生産量が750万トン(粗糖換算、前年度比5.6%増)、消費量が250万トン(粗糖換算、同4.2%増)と見込まれることから、500万トン(粗糖換算、同4.2%増)と前年度を上回るとみられる。主要な輸出先はアジア諸国であり、国内供給の不足から2年連続で増加したインド向けは、生産回復に伴い輸入量を減らしているため、輸出先に占める比率は低下するとみられる。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, July 2010”
 
 
 
 

◆豪州◆ 〜2010/11年度の輸出量は前年度比9.1%増加の見込み〜

(1)2010年7月における見通し

 2010/11豪州砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰を受け、作付けが増えたことから41万ヘクタール(前年度比7.0%増)に回復するとみられる。このことから、同年度のさとうきび生産量は3390万トン(同7.6%増)、砂糖生産量は470万トン(粗糖換算、同4.4%増)といずれも増加が見込まれる。ただし、さとうきび生産量の95%を占めるクイーンズランド州で日照不足によるさとうきびの糖度低下が懸念されており、今後の天候次第では生産量が下方修正される可能性もある。
 
 
 
 

(2)粗糖・白糖貿易状況

 2010/11年度の輸出量は、増産を受け360万トン(粗糖換算、前年度比9.1%増)に増加するとみられる。主要な輸出先はアジア諸国であり、中でも、旺盛な需要を背景に輸入量を増やしているインドネシア向けが増加している。一方、日本は豪ドル高の影響を受け、輸入先をタイへシフトしたことから、対日輸出量は減少傾向にある。
 
 7月5日、豪大手砂糖・建材メーカーのCSRは、砂糖・再生エネルギー事業部門のスクロジェンをシンガポールのパーム油大手ウィルマー・インターナショナルに17億5000万豪ドル(1348億9000万円、1豪ドル=77.08円)で売却することで合意したと発表した。かねてより売却を検討していたCSRは、上海市の食品大手、光明食品集団とも交渉したが、同社の入札額は16億5000万豪ドル(1271億8200万円)と、ウィルマーを下回ったとみられる。現時点では、豪州の大手砂糖企業売却による同国の輸出への影響は未知数であり、今後の動向が注目される。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, July 2010”
 
 
 
 

◆南アフリカ◆ 〜2010/11年度の輸出量は前年度比12.5%減の見通し〜

(1)2010年7月における見通し

 前年度の砂糖価格高騰を受け、2010/11南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は30万ヘクタール(前年度比3.4%増)とわずかに増加するとみられ、さとうきび生産量は1910万トン(同2.1%増)、砂糖生産量は240万トン(粗糖換算、同4.3%増)といずれも増加が見込まれる。しかしながら、さとうきび生育期間の降水量が平年を下回っており、また肥料、化学薬品、農機具などの価格が過去数年間にわたって上昇し、小規模農家を中心にこれらの使用が減っていることから、さとうきびの単収が減少し、その結果、生産量が下方修正される可能性もある。
 
 

(2)粗糖・白糖貿易状況

 2010/11年度については、砂糖生産量は240万トン(粗糖換算、前年度比4.3%増)に増加し、消費量は前年度並みの180万トンとみられるが、輸出量は70万トン(粗糖換算、同12.5%減)とかなり大きく減少し、過去8年間で最低の水準になるとみられる。これは、前年度に国際砂糖価格の高騰を受け、在庫を取り崩して輸出量の確保を優先した業者が、今年度は在庫の積み増しを行うためである。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, July 2010”
 
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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