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パキスタンにおける最近の砂糖需給動向

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最終更新日:2010年8月4日

パキスタンにおける最近の砂糖需給動向
〜2009/10年度は供給ひっ迫により輸入大幅増加の見込み〜

2010年8月

調査情報部

はじめに

 パキスタンは世界有数の砂糖消費国であり、人口増加と経済発展を背景に消費量が増加基調にある一方、生産は不安定であり、年によっては不足を補うため白糖を中心に輸入を行う。最大の輸入先は大規模な精製糖工場をもつアラブ首長国連邦であり、世界第2位の砂糖輸出国タイがこれに次ぐ。特に、砂糖消費量が増加するラマダン月(イスラム教の断食月)の前に在庫を確保するため輸入を行うことが多く、最近の砂糖相場の堅調な推移は、パキスタンをはじめとするアジア、中東のイスラム諸国による砂糖の現物手当てが一因とされ、その動向が注目される。
 
 本レポートでは、USDA(米国農務省)のレポートなどをもとに、パキスタンにおける最近の砂糖需給動向について報告する。
 
 
 

パキスタンの砂糖需給動向

 さとうきびはパキスタンの農業における主要作物であり、約100万ヘクタールのさとうきびのほ場から、国内84カ所の製糖工場へ供給されている。さとうきびは砂糖生産のほか、医療用アルコール、燃料用エタノール、パーティクルボード(木材や植物繊維質の小片を板状に成形したもの)の製造にも利用される。
 
 過去10年間をみると、砂糖生産量は増減を繰り返しており、2007/08パキスタン砂糖年度(10月〜翌9月)には過去最高の520万トン注に達したが、翌年度には前年度比32.7%減の350万トンに落ち込んだ。この原因として、競合作物(コメや小麦など)の最低価格引き上げによるさとうきび作付面積の減少、水資源の不足、肥料価格の上昇に伴う使用量の減少が挙げられる。
 
 また、さとうきび生産者と製糖工場間の争議も、同国の生産が不安定な一因とされる。さとうきび生産者は、製糖工場による圧搾開始の先延ばし、最低価格以下でのさとうきび買い付け、代金の支払い遅延が農家の経営を圧迫すると非難している。これに対して、製糖工場は、糖度が低く工場が認めていない品種のさとうきびを生産者が栽培するため、砂糖生産の歩留まりが低迷しているとする。さとうきびの生産量と品質が不安定なため、製糖工場の稼働率は50%にとどまり、2008/09年度はさとうきびの減産による原料不足から、大半の製糖工場が通常よりも1〜2カ月間早く圧搾を終了する事態となった。
 
 一方、消費量は、人口増加と経済発展を背景に増加基調で推移し、2003/04年度以降は400万トンを上回っている。砂糖需要の6割は製パン、製菓、飲料メーカーといった食品加工分野によるものである。特に、イスラム教徒が断食を行うラマダン月は日没後に盛大な宴が行われ、砂糖を含む食料品の需要がほかの月に比べて増えるため、パキスタンは他のイスラム諸国と同様、ラマダン前に砂糖を輸入する傾向がある。
 
 
 
 

2009/10年度の輸入量は大幅増加の見込み

 2009/10年度の砂糖生産は、前年度に引き続き、さとうきび作付面積の減少などにより低迷が予測される。砂糖生産量は340万トン(前年度比2.9%減)、消費量は420万トン(同2.4%増)とみられ、さらに、前年度も生産が低迷した影響で期首在庫が少なく、国内需給は前年度に比べさらにタイトであるとみられる。
 
 減産による国内供給のひっ迫と世界的な砂糖価格の高騰により、国内砂糖価格は2008年5月以降上昇している。政府は2010年1月、国内の供給不足と価格高騰に対応するため白糖125万トンの輸入を決定し、国家貿易機関のTCP(Trading Corporation of Pakistan) に対し、政府在庫用に50万トン、国内市場向けに75万トンの買い付けを実施するよう指示した。さらに政府は、砂糖価格を抑制するため、砂糖に対する一般売上税を16%から8%に引き下げた。
 
 しかしながら、2010年2月に国内砂糖の月平均価格は記録的な水準となる1キログラム当たり67.98パキスタン・ルピー(70.02円:1パキスタン・ルピー=1.03円)に達し、国際砂糖価格が2月の高値から半値に下落したにもかかわらず、5月も同60.86パキスタン・ルピー(62.69円)と前年同月に比べ33.9%高く、このことから、依然供給はひっ迫していることがうかがえる。政府は、一部の砂糖業者が、ラマダン月(2010年は8月11日〜9月10日)に需要が高まり、価格が高騰することを期待して砂糖の売り惜しみを行っていると非難している。
 
 
 
 

2010/11年度は生産回復の見通し

 2009年の砂糖価格高騰を受け、2010/11年度のさとうきび作付面積は108万ヘクタール(前年度比20%増)に回復するとみられ、砂糖生産量は440万トン(同29.4%増)と大幅な増加が見込まれる。消費量は460万トン(同9.5%増)と予測され、また、前年度に輸入量が大幅に増加し、2010/11年度の期首在庫は120万トン(同20%増)と見込まれることから、同年度の輸入量は20万トンにとどまるとみられる。
 
 世界の主要な砂糖消費国であるパキスタンの生産回復は、インドやロシア、中国の増産観測とあわせて、2010/11年度に世界の砂糖需給が2年ぶりに供給過剰に転じる要因の一つとされるが、中長期的には、パキスタンの消費量は今後も増加が見込まれるのに対し、生産量は不安定な状況が続くとみられ、世界の砂糖市場のかく乱要因になるともみられる。このように、世界の砂糖需給への影響がますます強まると予測されるパキスタンについては、その動向が注目される。
 
資料:USDA GAIN Report “Pakistan Sugar Annual 2010” 2010/5/20
LMC “Statistical Update” July 2010
 
注:本レポートの数量は粗糖換算である。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713



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