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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2010年9月1日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2010年9月

調査情報部

 2009年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11−190)が128万3443トンと全体の98.8%を占め、そのうち57.8%をタイ、27.3%を豪州、11.7%を南アフリカと、この3ヵ国で96.8%を占める。

◆タ イ◆ 〜干ばつにより2010/11年度の生産量下方修正〜

(1)2010年8月における見通し

 2010/11タイ砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび作付面積は、前年度の国際砂糖価格高騰により109万ヘクタール(前年度比0.9%増)に増加すると見込まれるが、生産地で干ばつの被害が生じ単収の低下が懸念されることから、LMCはさとうきび生産量を前月の予測(6910万トン)から6740万トン(同1.6%減)に下方修正した。
 
 また、干ばつの影響により生産者がさとうきびの糖度を高めるため成熟期間を通常より長くする結果、圧搾開始が平年に比べ数週間遅れる可能性もある。砂糖生産量はさとうきび減産見込みを受け、前月から10万トン減の740万トン(粗糖換算、同4.2%増)に下方修正された。

(2)粗糖・白糖貿易状況

 さとうきび・砂糖委員会事務局(OCSB:Office of the Cane and Sugar Board)は、2009/10年度における砂糖の減産および国際砂糖価格高騰時の国外流出による国内供給のひっ迫を受け、通常200万トン程度の国内供給用の割当数量について、2010/11年度には250万トンに引き上げることを検討している。
 
 これに対し砂糖業界は、輸出可能量が440万トン以下に抑制されるとして反発している。LMCは現時点で2010/11年度の輸出量を500万トン(粗糖換算、前年度比4.2%増)と予測するが、今後の状況によってはこれを下回る可能性もあり、OCSBの検討状況が注目される。タイの主要な輸出先はアジア諸国であり、中でもインドネシアの比率が高い。前年度に増加したインド向けは、国内生産の回復により減少が見込まれる。
 
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, August 2010”
 
 
 
 

◆豪 州◆ 〜増産により2010/11年度の輸出量は前年度比12.1%増の見込み〜

(1)2010年8月における見通し

 2010/11豪州砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰を受け作付けが増加したことから41万ヘクタール(前年度比5.1%増)に回復するとみられ、さとうきび生産量は3390万トン(同7.6%増)と予測される。
 
 砂糖生産量については、さとうきびの糖度上昇により前月の470万トンから480万トン(粗糖換算、同6.7%増)に上方修正され、2006/07年度の水準に回復すると見込まれる。

(2)粗糖・白糖貿易状況

 豪州の砂糖消費量は毎年100万トン程度で安定しており、増産は輸出の増加をもたらす。このため、2010/11年度の輸出量は前月から10万トン上方修正の370万トン(粗糖換算、前年度比12.1%増)と見込まれる。主要輸出先は日本を含むアジア諸国であり、中でも、国内需要の増加により輸入を増やしているインドネシア向けの比率が高まっている。
 
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, August 2010”
 
 
 
 

◆南アフリカ◆ 〜主産地の干ばつにより生産低迷の見通し〜

(1)2010年8月における見通し

 2010/11南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰により作付けが増えたことから30万ヘクタール(前年度比3.4%増)に増加するとみられる一方、さとうきび生産量は1900万トン(同1.6%増)と前月の予測から10万トン下方修正された。
 
 北部のムプマランガ州は降雨に恵まれ生産が順調であるものの、生産の80%を占めるクワズール・ナタール州では2010年1月から6月までの降雨量が252ミリと平年の491ミリを大幅に下回り、干ばつ被害により単収が低下したためである。さらに、同州内陸部で霜害が発生したことから、さとうきび生産量のさらなる下方修正が懸念されている。
 
 さとうきび生産量の下方修正を受け、砂糖生産量は前月から10万トン減の230万トン(粗糖換算)に下方修正され、前年度並みにとどまるとみられる。
 
 

(2)粗糖・白糖貿易状況

 2010/11年度の輸出量は、生産量が前年度並みにとどまる上、前年度は国際砂糖価格高騰を受け在庫を取り崩して輸出を行った業者が、今年度は在庫の積み増しを優先するとみられることから、前年度から大幅に減少し60万トン(粗糖換算、前年度比25.0%減)とみられる。主要な輸出先はアフリカ諸国である。
 
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, August 2010”
 
 
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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