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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2011年2月2日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2011年2月

調査情報部

 2009年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11‐190)が128万3443トンと全体の98.8%を占め、そのうち57.8%をタイ、27.3%を豪州、11.7%を南アフリカと、この3ヵ国で96.8%を占める。

◆タ イ◆

 
 

(1)2011年1月における生産見通し

 10月に発生した洪水の影響により、2010/11タイ砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖作業は例年に比べ約2週間遅い12月中旬に開始された。
 
 同年度のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、118万ヘクタール(前年度比9.8%増)に増加するとみられるが、さとうきび生産量については、雨期の干ばつにより単収が低下すると予測されることから、前年度からわずかに減少の6750万トン(同1.5%減)とみられる。一方、砂糖生産量は、干ばつによるさとうきびの糖度上昇が見込まれるため、前年度からやや増加の740万トン(粗糖換算、同3.1%増)と見込まれる。
 
 

(2)貿易状況

 政府は、2010/11年度における国内供給用の割当数量を前年度から50万トン引き上げ、250万トンに設定した。これは、食品メーカーなど加工部門を中心に需要が高まっているほか、前年度の国際砂糖価格高騰時に、国内供給用に割り当てられた砂糖の一部が国外へ流出し、需給がひっ迫する事態が発生したことを受けたものである。2010/11年度の砂糖生産量は740万トン(粗糖換算、前年度比3.1%増)と予測されることから、輸出量は490万トン(粗糖換算、同2.3%増)と見込まれる。
 
 2010年11月における粗糖・白糖輸出量は、国際砂糖価格が高騰した年初に輸出を大幅に増やした反動から、前年同月比78.6%減の8万8000トンとなった。主要輸出先はカンボジア、フィリピン、日本などのアジア諸国であった。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, January 2011”
 
 
 

◆豪 州◆

 
 

(1)2011年1月における生産見通し

 2010/11豪州砂糖年度(4月〜翌3月)の生産は、昨年12月でほぼ終了した。さとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、40万ヘクタール(前年度比11.6%増)とかなり大きく増加したとみられる。しかしながら、ラニーニャ現象の影響により収穫期に降雨が続いた結果、収穫に大幅な遅延が生じ、約500万トンの刈り残しが発生したとされる。
 
 このため、さとうきび生産量は前年度からわずかに増加の3060万トン(同2.5%増)にとどまったとみられる。さらに、糖度も大幅に低下したことから、砂糖生産量は390万トン(粗糖換算、同14.8%減)と、当初の増産予測から一転し、過去20年間で最低の水準に落ち込むとみられる。
 
 生産の約9割を占めるクイーンズランド州では大雨が続き、年末年始にかけて大規模な洪水が発生するなど、悪天候が来年度の生産にも影響を及ぼすとの懸念が生じている。新植が進まず、土壌水分の過多と日照不足でさとうきびの発芽も阻害されているほか、施肥作業にも遅れが生じているとされる。
 
 
 
 

(2)貿易状況

 2010/11年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の110万トン(粗糖換算、前年度比1.1%増)と予測される。輸出量は、天候不順による減産で前年度からかなり大きく減少し、280万トン(粗糖換算、同14.8%減)と見込まれる。減産による輸出余力の低下を受け、豪州の砂糖輸出の約9割を扱うクイーンズランド砂糖公社(QSL)は、取引先との契約を履行するため、他国から調達した砂糖を輸出用に手当てし始めたと伝えられる。主要輸出先は韓国、インドネシア、日本などのアジア諸国となっている。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, January 2011”
 
 
 
 

◆南アフリカ◆

 
 

(1)2011年1月における生産見通し

 2010/11南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、30万ヘクタール(前年度比2.1%増)に増加するとみられる。しかしながら、さとうきび生産量については、主産地クワズール・ナタール州が深刻な干ばつに見舞われ、単収が平年の水準を大幅に下回るとみられることから、1640万トン(同11.9%減)に減少すると予測される。このため、砂糖生産量は210万トン(粗糖換算、同12.2%減)と、過去15年間で最低の水準になると予測される。
 
 
 
 

(2)貿易状況

 2010/11年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の180万トン(粗糖換算、前年度比0.7%増)と見込まれる。輸出量は、減産に加え、前年度の国際砂糖価格高騰時に多くの業者が在庫を取り崩して輸出を行った反動により、前年度から大幅減少の40万トン(粗糖換算、同47.9%減)と予測され、生産量と同様、低水準になるとみられる。
 
 2010年10月における粗糖・白糖輸出量は、減産による供給余力の低下から、前年同月比52.5%減の2万9000トンとなった。主要輸出先はモザンビーク、タンザニア、ケニアなどのアフリカ諸国であった。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, January 2011”
 
 
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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