[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ
alic 独立行政法人農畜産業振興機構
砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 視点 > 健康はバランスの良い食生活から

健康はバランスの良い食生活から

印刷ページ

最終更新日:2011年4月8日

健康はバランスの良い食生活から

2011年4月

女子栄養大学 教授 三浦 理代

はじめに

 古代より健康と長寿は万人の悲願。その健康と長寿を作る源が食べ物です。食物は人間の健康を根本から左右する因子で生体と密接に関係しています。病気から回復するにも食物が重要です。食べ方の善し悪しは健康に直接響いてきます。食べ方がよいと健康を保持・増進できるが、食べ方が悪いと健康が脅かされます。したがって毎日の食事の仕方が、何をどれだけ食べるかということが、将来の健康維持の重要な決め手になります。

1.バランスよく食べるために〜4群点数法〜

 これを食べれば健康になれるという食べ物はありません。いろいろな食べ物をバランスよく食べることが心も体も健康にしてくれるのです。バランスよく食べるための方法として、栄養指導上、世の中にはいくつかのツールがあります。ここでは女子栄養大学で使用している「4群点数法」の概要をご紹介します。

 食品を含まれる栄養素の特徴別に4つのグループ(食品群)に分け、各グループから選択します。第1群から第3群までの各グループの食品を優先的に各3点(1点は80kcal)とり、ビタミンやミネラルを確保した上でエネルギー源となる第4群の食品を性別、年齢、労働の強さ、体重などを考慮してとります。この中で、砂糖は第4群に属し、穀類や油脂と同じ仲間でエネルギー源になります。
 
 
 
 

2.砂糖の消費量が年々減少

 砂糖の消費量は図1に示すように年々減少しています。
 
 
 砂糖の消費量減少については、いくつかの要因が考えられますが、そのひとつに科学的な根拠のない誤解や迷信などが挙げられます。こういった誤解のいくつかの例を以下に紹介します。

(1)「砂糖をとると太る」

 砂糖を食べると肥満になると考える人がいますが、太る、やせるは摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスです。砂糖だけで太ることはなく、食べ物の摂取量全体の問題です。

 こうした誤解を生む一因となっているのが、行き過ぎたダイエット意識です。最近は砂糖だけでなく、「糖質全般について太る」という間違ったとらえ方が多いのも事実です。つまり低カロリー、カロリーオフがもてはやされる時代です。砂糖と同じような甘さがあり、低カロリーで砂糖が持っていない機能性をもつ(虫歯をつくらない、ビフィズス菌を増やす、インスリンを節約する(インスリン分泌を刺激しない、血糖値を上昇させないなど))甘味物質が開発されてきたことも影響しています。

(2)「砂糖は、糖尿病の原因」

 糖尿病には1型と2型があります。1型は若年者に見られ、ウイルスや自己免疫疾患により、すい臓のインスリン分泌細胞に障害が発生して起こります。1型の患者数は日本の全患者数の5%程度です。

 2型糖尿病は中年以降の成人に発症します。患者は増えつつあり、予備軍を含めれば2210万人、国民全体の17%、日本の95%の糖尿病患者は2型です。2型糖尿病は遺伝的要因、加齢、食習慣の乱れ、運動不足、ストレスなどが要因となります。インスリン分泌の不足やインスリンの機能が低下し、ぶどう糖が利用されなくなるのです。

 元来、ぶどう糖は細胞に運ばれて筋肉や臓器で使われ、エネルギーになります。しかし、糖尿病の場合には使われず、血液の中にあふれてしまいます。細胞内にはぶどう糖がほとんどないということになるのです。

 わが国の2型糖尿病は複数の遺伝子異常と環境因子が相互作用して発症するといわれています。環境因子としては、運動不足と肥満、食べ過ぎ、高脂肪食、食事の栄養バランスの悪さなどによります。砂糖と糖尿病とは直接の関係はありません。

(3)「砂糖は、虫歯の原因」

 虫歯は虫歯菌、糖質、糖質が歯に停滞する時間の3つの条件がそろわなければ発生しません。3つのうち1つでも欠ければ虫歯にはならないといわれています。砂糖を食べるから虫歯になるといわれますが、虫歯になるかどうかの鍵は食べ方にあります。食事の時間以外に甘いものをダラダラと食べると、虫歯の発生率が高くなります。虫歯を防ぐために、食後きちんと歯磨きをすることが大切です。

3.フードファディズムの影響

 こうした誤解の根底にあるのが「食べ物信仰」ともいわれる「フードファディズム」です。「ファディズム」とは「のめり込む」という意味です。砂糖の有害論が一時期唱えられました。良い食品、悪い食品と単純に分けるやり方です。食べ物や食品が健康に及ぼす影響を過大に信じさせるというからくりです。実際は科学的根拠に基づいていません。「砂糖を食べると糖尿病になる」というと人々は不安に陥れられます。その時点で、砂糖は悪者になってしまいます。不安情報はいつの時代にも人々の心をとらえます。マスメディアの情報も時々人々を混乱させてしまいます。

4.砂糖がもつ科学的に知られたさまざまな働き

 砂糖には、栄養面、調理面でさまざまな働きがあります。

(1)ぶどう糖は脳の唯一のエネルギー源です。砂糖は食べるとすぐにぶどう糖と果糖に分解されるため、吸収が早く、即効的なエネルギー源です。また、脳を活性化すると同時に疲れをとってくれます。疲れた時にはキャンデー、和菓子、ケーキなどの甘いものがほしくなります。甘いものは人類が昔から求め、好んできました。今も同じです。

(2)人々が集まるところには必ず甘いお菓子があります。その場の雰囲気を盛り上げ、楽しく会話が弾みます。砂糖はコミュニケーションの場作りに欠かせません。

(3)砂糖は代表的な調味料であり、砂糖と醤油の調味料により日本の旨味文化を築いてきました。砂糖は和食料理には欠かせません。和食料理は、日本型食生活の原点にあります。日本人が世界一の長寿国になったのも和食を中心とした日本型食生活がよかったからだという考えは定着しています。

(4)砂糖は甘味料としてのはたらきの他に、さまざまな調理特性があります。
  ア)親水性、保水性
  イ)防腐効果(水分活性を低下させ、微生物の繁殖を防ぐ)
  ウ)油の酸化防止
  エ)気泡を安定化させる(メレンゲに砂糖を加える)
  オ)ジャム、マーマレード作りにおいてゼリー化する。
  カ)でん粉の老化防止
  キ)焼き色、照り、つやなどをつける。アミノカルボニル反応である。

 このように、砂糖はさまざまな働きをもっています。日本型食生活には砂糖は欠かすことができない重要な食品です。

おわりに

 健康な生活を送るために必要な要素は、「バランスのとれた栄養、適度な運動、休養と規則正しい生活習慣」です。栄養面で言えば、必要な栄養素を過不足なくとるということです。目先の、科学的根拠のない情報、フードファディズムに惑わされず、正しい知識を身につけ、砂糖の効果を知って、食生活を豊かに健康的にすることをお勧めします。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



このページのトップへ

Copyright 2016 Agriculture & Livestock Industries Corporation All rights Reserved.