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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2011年4月8日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2011年4月

調査情報部
 

 2010年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11‐190)が118万4848トンと全体の97.1%を占め、このうち43.7%をタイ、41.5%を豪州、8.6%を南アフリカと、この3ヵ国で93.8%を占める。(財務省「貿易統計」)

タイ

 
 

(1)2011年3月における生産見通し

〜砂糖生産量、大幅に上方修正〜

 2010/11タイ砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、114万ヘクタール(前年度比6.1%増)に増加するとみられる。さとうきび生産量については、2月に行われたほ場調査の結果、単収が当初予測を上回っていることから、7530万トン(同9.9%増)と前月予測から780万トン引き上げられた。これを受け、砂糖生産量は前月予測から80万トン上方修正の820万トン(粗糖換算、同15.1%増)と、前年度からかなり大きく増加すると見込まれる。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度から大幅増加の見込み〜

 生産量の上方修正を受け、輸出量は前月予測を80万トン上回る580万トン(粗糖換算、前年度比19.9%増)と、前年度から大幅に増加すると見込まれる。

 2011年1月における粗糖・白糖輸出量は33万9000トンとなり、前月(9万6000トン)および前年同月(28万5000トン)のいずれの実績も大きく上回った。これは、今年度の製糖作業が本格化し、供給量が増加したことに加え、国際砂糖価格が高騰する中、製糖工場が例年を上回るペースで生産を行ったことが要因とみられる。主要輸出先はインドネシア、日本、韓国などのアジア諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2011”
 
 

豪州

 
 

(1)2011年3月における生産見通し

〜生産量、過去20年間で最低水準に落ち込む〜

 2010/11豪州砂糖年度(4月〜翌3月)における生産は終了した。さとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、37万ヘクタール(前年度比3.0%増)とやや増加したとみられる。しかしながら、さとうきび生産量については、ラニーニャ現象による多雨の影響で前年度からわずかに増加の3060万トン(同2.5%増)と、昨年7月時点の予測から330万トン引き下げられた。これを受け、砂糖生産量は昨年7月時点の予測(470万トン)を大きく下回る360万トン(粗糖換算、同20.4%減)と予測され、当初の増産見込みから一転し、過去20年間で最低の水準に落ち込むとみられる。

 生産の約9割を占めるクイーンズランド州では年末年始にかけて洪水が発生し、また、2月初めには大型サイクロン「ヤシ」が同州北部のケアンズからタウンズビルにかかる一帯を直撃するなど、度重なる悪天候が来年度の生産にも悪影響を及ぼすと懸念されている。これらの被害により、整地や新植などの作業が平年に比べ遅れているほか、多くのさとうきびほ場が水分過剰の状態にあり、日照不足でさとうきびの生育不良も生じているとされ、引き続き動向が注目される。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度から大幅減少〜

 2010/11年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の110万トン(粗糖換算、前年度比1.0%増)と見込まれる。減産を受け、輸出量は前年度から大幅減少の250万トン(粗糖換算、同22.7%減)と、生産量と同様、昨年7月時点の予測(360万トン)を大きく下回るとみられる。  輸出余力の低下により、豪州の砂糖輸出の約9割を扱うクイーンズランド砂糖公社(QSL)は、取引先との契約を履行するため、タイやブラジルなど他国から調達した砂糖を輸出用に手当てしている。豪州の主要輸出先は韓国、インドネシア、日本などのアジア諸国となっている。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2011”
 
 

南アフリカ

 
 

(1)2011年3月における生産見通し

〜生産量は過去15年間で最低〜

 2010/11南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)の生産は終了した。同年度のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、30万ヘクタール(前年度比2.1%増)に増加したとみられる。しかしながら、さとうきび生産量については、主産地クワズール・ナタール州が深刻な干ばつに見舞われ、単収が平年の水準を大幅に下回ったことから、1600万トン(同14.1%減)と前年度からかなり大きく減少したとみられる。

 同州ではかんがい設備が整備されておらず、天候による生産への影響が大きい。さとうきびの減産により、砂糖生産量は過去15年間で最低の210万トン(粗糖換算、同12.5%減)に落ち込むとみられる。南アフリカ砂糖協会(South African Sugar Association)によれば、今年度の干ばつは2011/12年度の生産にも悪影響を及ぼす可能性があり、砂糖生産の本格的な回復は2012/13年度になると見込まれる。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度から半減〜

 2010/11年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の180万トン(粗糖換算、前年度比0.7%増)と見込まれる。輸出量については、減産に加え、前年度の国際価格高騰時に多くの業者が在庫を取り崩して輸出を行った反動から、40万トン(粗糖換算、同47.9%減)と前年度の約半分の水準にとどまるとみられる。  2010年12月における粗糖・白糖輸出量は、減産による供給余力の低下から、前年同月比64.6%減の1万7000トンとなった。主要輸出先はアンゴラ、モザンビーク、マダガスカルなどのアフリカ諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2011”
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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