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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2011年6月10日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2011年6月

調査情報部
 

 2010年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11‐190)が118万4848トンと全体の97.1%を占め、そのうち43.7%をタイ、41.5%を豪州、8.6%を南アフリカと、この3ヵ国で93.8%を占める。(財務省「貿易統計」)

タイ

 
 

(1)2011年5月における生産見通し

〜砂糖生産量、最高記録更新の見込み〜

 英調査会社のLMCによると、2010/11タイ砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、前年度から大幅増加の131万ヘクタール(前年度比21.7%増)の見通しである。さとうきび生産量は、収穫面積の増加に加え、ラニーニャ現象の影響による季節外れの降雨で単収が増加したため、前年度から大幅増加の8620万トン(同25.8%増)と予測されている。今年度の砂糖生産量は当初、700万トン程度と見込まれていたが、さとうきびの増産を受け、過去最高を記録した2007/08年度(790万トン)を大きく上回る960万トン(粗糖換算、同31.4%増)に達すると見込まれている。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度比15.5%増の見通し〜

 2010/11年度の砂糖消費量は290万トン(粗糖換算、前年度比8.6%増)と予測されている。これは、今年度において国内供給用の割当数量が前年度の200万トン(白糖換算)から50万トン引き上げられ、さらに15万トン追加される可能性があるとの見込みに基づく。国内割当数量の拡大は、食品メーカーなど加工部門を中心に需要が高まっているほか、前年度の国際砂糖価格高騰時に、国内向けの砂糖の一部が不正に輸出され、国内需給がひっ迫する事態が発生したことを受けたものである。生産量の大幅増加を受け、輸出量は670万トン(粗糖換算、同15.5%増)と、生産量と同様、過去最高に達すると見込まれている。

 3月の粗糖・白糖輸出量は、前月から大幅増加の78万1000トン(前月比68.3%増)となった。国際価格が2月の高値から下落し、輸入需要が回復した影響とみられている。主要輸出先はインドネシア、日本、マレーシアなどのアジア諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, April 2011”
 
 

豪州

 
 

(1)2011年5月における生産見通し

〜砂糖生産量400万トンに回復見込み〜

 米国農務省(USDA/FAS)によると、2011/12豪州砂糖年度(7月〜翌6月)のさとうきび収穫面積は38万ヘクタール(前年度比7.6%増)、さとうきび生産量は3000万トン(同9.7%増)と予測されている。さとうきびの増産は、天候の回復が見込まれるほか、ラニーニャ現象の影響による大雨で前年度に収穫できなかったさとうきびが2011/12年度に収穫されるためとされる。砂糖生産量は前年度からかなり増加の400万トン(粗糖換算、同8.1%増)と、生産量が過去20年間で最低に落ち込んだ前年度から回復が見込まれている。ただし、これは過去10年平均値(470万トン)を大幅に下回る水準である。収穫作業は例年、6月中旬に開始されるが、業界筋によると、一部の生産地でさとうきびの糖度がピークに達しつつあることから、今年度の収穫は5月中旬に開始される見通しである。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度比3.6%増の見通し〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、前年度並みの130万トン(粗糖換算)と見込まれている。輸出量は前年度からやや増加の290万トン(粗糖換算、前年度比3.6%増)と予測されているが、過去10年平均値(350万トン)を大きく下回る水準である。豪州の砂糖輸出の約9割を扱うクイーンズランド砂糖公社(QSL)は、前年度において、大幅な減産により輸出余力が低下したため、タイやブラジルなど他国から調達した砂糖を輸出用に手当てしたとされる。豪州の主要輸出先は韓国、インドネシア、日本などのアジア諸国となっている。

資料:ISO “Market Report & Press Summary, April 2011” USDA “GAIN Report, Australia Sugar Annual” 2011/4/15
 
 

南アフリカ

 
 

(1)2011年5月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度比7.0%減の見込み〜

 米国農務省(USDA/FAS)によると、2011/12南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は25万ヘクタール(前年度比9.3%減)に減少すると見込まれている。南アフリカでは近年、さとうきびの作付けが減少傾向にある。土地の再配分問題が主な原因とみられており、白人農場主は、先行きの不透明さから農地への投資に慎重になっているとされる。さとうきび生産量は、収穫面積の減少に加え、前年度の干ばつが今年度に収穫されるさとうきびの初期生育にも悪影響を及ぼしたことから1500万トン(同6.3%減)に減少すると予測されている。主産地クワズール・ナタール州(同国生産の75%)ではかんがい設備が整備されておらず、天候による生産への影響が大きい。さとうきびの減産により、砂糖生産量は180万トン(粗糖換算、同7.0%減)と、過去15年間で最低となった前年度をさらに下回ると見込まれている。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は50万トンにとどまる見通し〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、経済成長を背景に170万トン(粗糖換算、前年度比1.5%増)に増加する見通しである。減産により、輸出量は前年度からかなり減少の50万トン(粗糖換算、同10.0%減)と予測されている。これは、2009/10年度(80万トン)の約半分の水準である。

 2011年2月における粗糖・白糖輸出量は、減産による供給余力の大幅な低下から、前年同月比60.9%減の9000トンとなった。主要輸出先はアンゴラ、マダガスカル、ガーナなどのアフリカ諸国であった。

資料:USDA “GAIN Report, South Africa-Republic of, Sugar Annual” 2011/4/14
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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