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平成23年度消費者代表の方々との意見交換会

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最終更新日:2012年1月10日

平成23年度消費者代表の方々との意見交換会

2012年1月

特産業務部

はじめに

 当機構では、平成23年11月25日に消費者代表の方々とさとうきび生産者および甘しゃ糖製造事業者との意見交換会を開催しました。この会は、消費者の代表とさとうきび生産者および国内産糖製造事業者との意見交換を通じて、消費者に対し、さとうきびおよびてん菜が地域経済を支える基幹作物として重要な作物であること、これを支えるため、また砂糖を消費者に安定的に供給していくために糖価調整制度が機能していることなどについて理解を深めてもらい制度の円滑な運用を図ることを目的として企画したものです。

 本稿ではその概要を紹介いたします。

1.交換会の内容

 交換会では、(1)学識経験者からさとうきび産業の地域経済・社会にとっての重要性、(2)農林水産省から糖価調整制度の仕組みと同制度の消費者との関わり、(3)さとうきび生産者、甘しゃ糖製造事業者からさとうきび栽培、甘しゃ糖製造の実態などについて講演がなされた後、意見交換が行われた。
 
 

2.講演概要

(1)「さとうきび産業の地域経済・社会にとっての重要性」

 宇都宮大学農学部の神代准教授は、鹿児島県南西諸島・沖縄県ではさとうきび生産が産業の基盤にあるからこそ、地域経済が機能しており、また、島内でさとうきび生産と甘しゃ糖工場の連携が、環境保全機能などの社会的機能が果たされ、さとうきび生産の地域経済・社会への重要性を説明した。
 
 
 
 

(2)「糖価調整制度の仕組みと同制度の消費者との関わり」

 農林水産省の藤田砂糖類調整官は、さとうきびとてん菜の栽培から砂糖ができるまでの過程と、国の政策として海外から安い砂糖が輸入される際に、輸入者(精製糖企業など)から調整金を徴収し、それを国内の農家と砂糖製造工場の支援に充てて国内産の砂糖を支える仕組みなどを説明した。
 
 

(3)「沖永良部島におけるさとうきび栽培の取組について」

 鹿児島県沖永良部島のさとうきび生産者の瀬川氏は、同島は台風の常襲地帯で、台風によりさとうきび以外の作物は大きな被害を受ける一方、さとうきびは被害を受けても回復力が早いことから島には欠かせない作物であること、また、現在各集落で高齢農家の支援や農業後継者の育成、単収向上などに積極的に取り組んでいることなどを紹介した。
 
 

(4)「私のさとうきび栽培」

 沖縄県宮古島のさとうきび生産者の川満氏は、同島在来種である下大豆による緑肥と深耕などによる土作り、土壌害虫防除やさとうきびの生育状況に応じた適期かん水を心掛けていること、今後は後継者の育成も視野に入れ、規模拡大に取り組んでいることを紹介するとともに、さとうきびは砂糖の価格調整制度のもとで安定生産を維持できている、と述べた。
 
 

(5)「沖縄県におけるさとうきびおよび製糖工場の役割について」

 沖縄県の製糖企業、大東糖業株式会社の儀武専務取締役は、製糖工場では毎年原料糖を出荷時、所属団体の日本分蜜糖工業会を通じて残留農薬の検査を行っているが、今まで問題が起きたことがなく、沖縄のさとうきびが安心・安全な作物であること、また、島内全従事者の83%が農業関連従事者であり、さとうきび生産および製糖工場が地域の雇用・経済に非常に重要であることなどを紹介した。
 
 

3.意見交換の概要

(1)意見交換のQ&A

Q1:今日の意見交換会のような取組を他でも行っているのですか?また、生産者がこのことについて理解し、現場での取組については行っているのですか?

A1:現在、ALIC が関係者に制度の周知の浸透を図ることを精力的に行っており、農林水産省も機会があるごとに取り組んでいる。ALIC には地方事務所が鹿児島県・沖縄県の両県にあり、定期的に意見交換会・説明会を行える体制が整っている。(農林水産省)
A1:制度では農家が工場から原料代と国(ALIC)からの交付金の二本立てで支払いを受けている。農家が交付金の支払いを受けるためには、担い手を育てるための作業委託などが要件であり、このことは十分に農家に浸透しており、このことから農家が制度について認識していると思われる。(生産者)
A1:平成19年度以前までは国(ALIC)から交付金を受けた製糖工場が、最低生産者価格として農家に支払う仕組みであったが、新制度にかわり、国(ALIC)から直接交付金が農家へ支払われるようになり農家の意識が変わった。  新しい制度では国が定めた要件があり、この要件を備えていない農家は交付金交付対象外である。この要件審査は毎年行われ、その手続き時に農家には制度に関する情報が伝えられること、また、JAでも毎年農業者代表会議や優秀な農家を表彰する会など農家が集まる機会がある毎に、制度に関する情報を農家に伝えている。(製糖業者)


Q2:砂糖の価格調整制度で補助する仕組みではなく、国が直接税金を投入して支えていく仕組みにすべきではないか?

A2:この制度は非常にバランスのとれた制度で、昭和40年から今日まで続いてきているが、現在、この制度のバランスが取れなくなってきており、収支において累積債務を抱えている。また、国が直接税金を投入して、支えていく仕組みには、今は財政事情が非常に厳しい状態であり、みなさんのお力をお借りし、この制度を維持していきたい。(農林水産省)


Q3:中双糖と三温糖は、上白糖と比べると少し価格が高いが、中双糖と三温糖は、上白糖に比べると製造工程に手間がかかっていないのではないか?

A3:中双糖は小さい結晶をより大きくする工程を得、さらに、カラメルをかけているので手間がかる。また、三温糖については、グラニュー糖や上白糖の製造工程ではまだ糖分が残っており、再び、これを工程に戻し、このような工程を3回行うので三温糖といわれ、その色は工程で加熱を繰り返したためにカラメル状になったものである。グラニュー糖よりも手間がかかる。(農林水産省、機構)


Q4:米については、新潟産米とか山形産米とか北海道産米とか産地銘柄があるが、砂糖については少ないのではないか?

A4:国内の製糖業者が沖縄産100%の白い砂糖を作るには製造ラインを変更しなければならない。それを作っても製造コストと販売価格が見合うかどうかわからない。沖縄産100%の白い砂糖を作ることはコスト的に見ても非常に難しいことである。(製糖業者)

(2)その他

 さとうきびについて各方面の方からの話を聞くことができ大変感謝している。特に、鹿児島県、沖縄県の離島からこの会に参加し、さとうきび栽培におけるさまざまな苦労や情熱を傾けて営農を行っていることをお聞きし大変感激した。これまでは、さとうきび栽培について何も知らなかったが、今回、日本の砂糖の自給率が高いことや砂糖の制度について勉強させていただいた。これからも砂糖の制度について詳しく聞かせていただく機会を設けてもらいたい、などの感想もいただいた。
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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