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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2012年3月9日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2012年3月

調査情報部
 

 2011年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11‐190)は149万9581トンと、全体の97.7%を占める。そのうち、タイ(71.5%)、豪州(17.0%)、南アフリカ(2.0%)と、この3ヵ国で90.5%を占める。(財務省「貿易統計」)

タイ

 
 

(1)2012年2月における生産見通し

〜前年度を大幅に上回る製糖ペースで、砂糖生産量は1000万トン台に〜

 2011/12タイ砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび作付面積は、さとうきびの工場買入価格が高く設定されたため、生産者の作付意欲が増大し、前年度を上回る142万ヘクタール(前年度比9.3%増)と見込まれる。しかし、主産地の東北部では、出穂が頻発しているとの報告があり、これによって収穫量の減少が懸念される。現時点で被害状況は不明であるが、さとうきび収穫面積は、129万ヘクタール(同2.6%増)、さとうきび生産量は9600万トン(同0.1%増)と、ともに下方修正され前年度並みに留まると予測される。

 一方、製糖工場は、前年度に製糖終了が大幅に遅延し、産糖量の低下を招いたため、最も早いところで前年度より2週間早い昨年の11月15日から製糖を開始した。また、工場側は、雨季に入るまでに製糖作業を終了させるため、製糖ペースを早めており、2月15日時点で砂糖生産量は600万トン(白糖換算、前年同期比21.0%増)に達している。

 2011/12年度のさとうきび生産量は前年度並みであるが、収穫ペースを早めたことで前年度よりもさとうきびの糖度が高い時期での製糖が可能となることから、砂糖生産量は過去最高の1010万トン(粗糖換算、前年度比1.6%増)に達すると予測される。
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度比23.4%増の750万トンの見込み〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、前年度から4.0%減の260万トン(粗糖換算)となる見通しである。これは、OCSB(さとうきび・砂糖委員会事務局)が、2011/12年度の国内向け割当量を前年度から10万トン減らし、240万トン(白糖換算)に設定したためである。近年この割当量は、近隣諸国への不正輸出を見込んで、実際の国内消費量より多めに設定されてきた。しかし、OCSBは、国際相場の下落と国境付近の監視強化により不正輸出が抑制されているとし、2011/12年度の国内向け割当量を引き下げた。

 一方、輸出量は、国内向けの割当量を引き下げたことにより輸出余力が増し、過去最高の750万トン(粗糖換算、前年度比23.4%増)となる見込みである。

 12月の粗糖・白糖輸出量は、34万6000トン(前月比58.7%増)となった。主要輸出先はインドネシア、日本などのアジア諸国のほかイラクなどの中東諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, February 2012”
 
 

豪州

 
 

(1)2012年2月における生産見通し

〜さとうきびおよび砂糖生産量は前年度から1割増〜

 2011/12豪州砂糖年度(7月〜翌6月)のさとうきび収穫作業は、2月時点で既に終了している。さとうきび収穫面積は、38万ヘクタール(前年度比24.2%増)と、大量の刈り残しが発生した前年度と比べて、大幅に増加した。しかしながら、砂糖生産量は390万トン(同9.4%増)と、450万トン以上で推移していた2009/10年度以前と比較すると、低水準にとどまるとみられる。これは、日照不足やサイクロン「ヤシ」の被害などによるさとうきびの生育不良から、さとうきびの単収が前年度より低下したためである。

 2012/13年度の砂糖生産については、国際価格が堅調に推移していたことなどから、作付面積は2011/12年度を2割ほど上回るとみられる。しかしながら、2月時点において正式に公表されている数値はなく、現時点で生産量を予測するのは早計である。
 
 

(2)貿易状況

〜11/12年度の輸出量は280万トンの見込み〜

 2011/12年度の砂糖消費量は110万トン(粗糖換算、前年度比1.5%増)と、わずかに増加が見込まれる。輸出量は、砂糖生産量の増加を反映して、280万トン(粗糖換算、同10.6%増)とかなりの程度の増加が見込まれる。しかし、過去5年平均(340万トン)と比較すると、低水準である。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, February 2012”
 
 

南アフリカ

 
 

(1)2012年2月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度比4.1%減の見込み〜

 2011/12南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)の生産はほぼ終了した。同年度のさとうきび収穫面積は、前年度をわずかに下回る27万ヘクタール(前年度比2.1%減)の見通しである。ただ、単収は1ヘクタール当たり61.4トンと、深刻な干ばつが発生した前年度(同57.3トン)から増加が見込まれるため、さとうきび生産量は1680万トン(同4.9%増)に増加すると予測されている。しかしながら、前年度の干ばつの影響により2011/12年度に収穫されるさとうきびが生育不良となり、一部のほ場で植え替えを行った結果、生育期間が短くなり、登熟前に収穫されるさとうきびが増加したため糖度は低下した。糖度の低下を受け、砂糖生産量は200万トン(粗糖換算、同4.1%減)と、4年連続の減産となる見通しである。
 
 

(2)貿易状況

〜減産により、輸出量は40万トンに減少の見通し〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、ほぼ前年度並みの180万トン(粗糖換算、前年度比0.6%増)と予測されている。砂糖生産量は前年度をさらに下回るとの見込みから、輸出量は40万トン(粗糖換算、同21.5%減)に減少の見通しである。これは、2009/10年度以前の4割程度の水準である。

 2011年11月の粗糖・白糖輸出量は前年同月比66.3%減の1万2000トンとなり、主要輸出先はモザンビーク、ジンバブエ、マダガスカルなどのアフリカ諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, February 2012”
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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