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4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2012年4月10日

4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

2012年4月

調査情報部

ブラジル

 
 

(1)2012年3月における生産見通し

〜砂糖生産量の予測値は、前年度比4.2%減少と依然、低調の見通し〜

 2011/12ブラジル砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきびの生産量は、5億6000万トン(前年度比9.6%減)と、前年度をかなりの程度下回ると見込まれる。これは、さとうきびの収穫面積が前年度並みの780万ヘクタールとなるものの、単収が1ヘクタール当たり71.4トン(同10.0%減)と前年度をかなり下回ると見込まれるためである。さとうきびの減産が響き、砂糖の生産量は3900万トン(同4.2%減)と前年度を下回る見通しである。

 主産地である中南部における2011/12年度の砂糖生産は、ほぼ終了した。3月1日のブラジルさとうきび産業協会(UNICA)の発表によると、2月16 日時点で、中南部における2011年4月からのさとうきび圧搾量は、4億9400万トン(前年同期比11.3%減)と前年度をかなり大きく下回った。また、ATR(さとうきび1トン当たりの回収糖分)も137.55キログラム(前年度比2.1%減)とわずかに下回った。

 2012/13年度の中南部におけるさとうきびの予測生産量は、5億1000万トン〜5億4000万トンと、2011/12年度からさらに減産と見込まれている。この理由としては、2011年第4四半期から2012年第1四半期にかけて発生したラニーニャの影響により、降雨が不安定な状況にあることが挙げられる。特に中南部の生産量の10%強を占めるマットグロッソドスル州やパラナ州においては、12月および2月における乾燥、1月の多雨など、異常気象によりさとうきびの生育には好ましくない状況が続いた。

 今後のさとうきびの生育には、3月〜4月の十分な雨量が必要とされるが、International Research Institute for Climate and Society注)によれば、向こう3カ月間の南部の雨量は平年以下になる可能性が40%あるものの、中南部全体では平年並みの雨量を観測する可能性があるとされることから、生産量の回復に期待がかかる。

注)米国海洋大気庁(NOAA)とコロンビア大学により1995年に設立された研究機関。開発途上国の気候の影響の予測等を通じ、当該国の気候リスク管理能力の向上を図っている。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜砂糖減産により、輸出量は前年度比10.0%減の見込み〜

 2011/12年度における砂糖の輸出量は、砂糖生産量が減少したことから2610万トン(粗糖換算、前年度比10.0%減)と前年度に比べかなりの程度減少すると予測される。なお、2011/12年度の砂糖の消費量は、1320万トン(粗糖換算、同1.9%増)と、前年度からわずかに増加する見通しである。

 2月の砂糖輸出量は、前月(123万トン)より8.9%増、前年同月(127万トン)より5.4%増の134万トンとなった。2011/12年度の輸出先上位国は、2月時点で、ロシア、中国、次いでエジプトとなっているが、全体の8.8%にしか当たらないことから、ブラジルの砂糖輸出先が多様化していることがうかがえる。

資料:LMC“Monthly Sugar Report, March 2012”
    ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)プレスリリース(英語版)(2012/3/1)
 
 
 
 

インド

 
 

(1)2012年3月における生産見通し

〜2011/12年度の砂糖生産はおおむね好調、前年度比5.2%増の2750万トンとなる見込み〜

 2011/12インド砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、510万ヘクタール(前年度比5.7%増)と予測される。今年度はモンスーン期における降水量が、過去50年間の平均(長期平均)並みとなったため、単収は前年度と同水準の見込みである。これにより、さとうきび生産量は前年度を上回る3億5450万トン(同6.8%増)となる見込みである。

 砂糖生産量は、3月15日現在で、2116万トン(白糖換算、前年同期比13.9%増)と、前年度を上回るペースで製糖されている。以下のとおり主産地ごとに製糖作業の事情は異なるが、最終的には2750万トン(粗糖換算、前年度比5.2%増)に達すると予測される。

 最大産地のマハーラーシュトラ州では、稼働する製糖工場が170(前年度は163)にのぼり、製糖ペースが早まったことで、3月15日現在の砂糖生産量は730万トン(白糖換算、前年同期比13.0%増)となった。ただし、同州ではモンスーン期の降水量にばらつきがあったことや株出比率の上昇により、さとうきびの単収が低下している。このため、最終的な砂糖生産量は当初期待されたほど伸びない見込みである。

 ウッタル・プラデーシュ州でも、州政府が製糖工場に対して製糖開始を早めるよう要請したこともあり、前年度を上回るペースで製糖作業が進行している。また、実質的なさとうきびの工場買入価格であるSAP(州政府勧告価格)が、前年度より15〜20%高めに設定されたため、グル注1向けのさとうきびも砂糖向けに流入している。このため、3月15日現在で、砂糖生産量は602万トン(白糖換算、同13.0%増)に達した。ただし、今回SAPが高く設定されたことで、製糖工場側は原価割れを起こし、生産者に対しさとうきび代金の支払いが遅延する懸念がある。現時点では、工場から生産者への支払いの約20%が未払いになっているといわれている。

注1:遠心分離機を使わず、オープンパン(釜炊き)でさとうきびの搾汁を煮詰め、固形状もしくは板状にした砂糖
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜政府が砂糖200万トンの輸出を許可〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、2500万トン(粗糖換算、前年度比2.2%増)と、2008/09年度と同水準まで回復すると予測される。

 輸出については、OGL方式注2による国産原料由来の砂糖について200万トンが政府に許可された。同方式の輸出は、当初100万トンが許可されたが、その後も製糖業界からの強い要請もあり、2月7日に追加輸出100万トンが許可された。砂糖の国内価格が低迷する中、製糖業界は輸出によって利益を確保するため、政府に対して輸出枠のさらなる拡大を要請している。同方式によるさらなる追加輸出の是非については、今後の閣僚会議で検討されることとなっている。現時点では生産余剰との差から輸出量は240万トン(粗糖換算、同14.9%減)と予測される。

注2:OGL(Open General License)とは、登録を行った業者に対し、手続きを簡素化するために、包括的に輸出を許可する制度。
資料:LMC “Monthly Sugar Report , March 2012”
 
 

中国

 
 

(1)2012年3月における生産見通し

〜不作であった前年に比べ増加するが、主産地である雲南省の干ばつの影響が懸念〜

 2011/12年度(10〜翌9月)のさとうきびの生産量は、主要生産地である雲南省、広東省の一部、海南島での収穫面積拡大と単収の増加により、不作であった前年度に比べ10.6%増の8930万トンとかなりの増加が見込まれる。

 最大の生産地である広西チワン族自治区においては、多雨の影響および旧正月が1月にあったことから、1月までの産糖量が前年同期比で15%少なく、産糖ペースは前年より遅れて推移している。雲南省は前年同期比10%増で推移しているが、干ばつの影響により最終の生産量は若干減少する見込みである。

 てん菜の生産量は、収穫面積の拡大と天候が良好であったことから単収の増加が見込まれ、同31.9%増の900万トンと大幅な増加が見込まれる。糖度は前年度並みとみられており、てん菜糖生産量は110万トン、同28.5%増の大幅な増産が見込まれる。

 甘しゃ糖及びてん菜糖の増産が予測されていることから、砂糖生産量は1230万トンと、前年度比8.8%の増加が見込まれる。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜2011年10〜11月の輸入量、前年同期の3倍〜

 砂糖の増産が見込まれているが、国内需要には依然追いつかず、2011/12年度も需給はひっ迫するものとみられている。このため、粗糖・白糖輸入量は、前年度比39.5%増の320万トンと見込まれる。

 1月の主な輸入先は、ブラジル(9.8万トン)、グァテマラ(2.7万トン)、韓国(0.9万トン)で前月に比べると輸入量は大幅に減少した。1月のCIF価格はトン当たり622ドルと前月から25ドル上昇している。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2012”
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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