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地域だより

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最終更新日:2012年7月11日

2012年6月

「体験テスト講座 〜食味、味覚、官能評価〔検査〕と5味〜」について

札幌事務所
 

 平成24年5月29日(火)、一般社団法人札幌消費者協会の主催により「体験テスト講座〜食味、味覚、官能評価〔検査〕と5味〜」が開催された。今回の体験テスト講座とは商品の特性を食味と表示の両面から研修する内容で、一般公募により選ばれた食味テスター63名(午前は新規の者を中心に30名、午後は昨年からの継続の者を中心に33名)が受講した。

 食味テスターとは、新規に販売される商品の食味検査や民間企業と味・表示・パッケージなどについて意見交換を行う試験者のことで、人間の五感をすべて使って食品の好みを評価する。味に対して鋭敏な感度は要求されないが、食品表示を理解することも求められている。

 体験テスト講座の開催に当たり、食味テスターの方に「5味」(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)を体験していただくために、当事務所では同協会の依頼を受けて講座の中で使用する甘味料を関係者の協力を得て提供するとともに、冒頭に当事務所の山ア所長から砂糖の特性や原料(てん菜とさとうきび)ならびに北海道畑作におけるてん菜の重要性および砂糖の価格調整制度について説明を行った。

 体験テスト講座は、同協会啓発指導員の三上氏と小山氏の2名が担当して進められた。今回は、食味テスターに求められることの説明や甘味料を中心に簡易な識別試験(実験)などを行いながら体験的に食味テスターとしての基礎知識を学んだ。

 実験では、自分の舌が味を正確に判断できるかについて甘味、塩味、酸味についての識別試験を行った。さらに、甘味について、果糖、アスパルテームが温度の違い(室温と50℃)によってどう違って感じるか、また、エリスリトールの特性である冷涼感(溶解時の吸熱作用)の実験を行った。

 体験テスト講座の受講者には、天然の甘味料である砂糖と他の甘味料の違いを理解していただくとともに、砂糖の安定供給を図っている砂糖の価格調整制度に対するご理解とご支援を期待したい。 

鹿児島事務所
 

1.はじめに

 鹿児島県における平成23年産さとうきびは、春先の低温・日照不足による初期生育の遅れ、5月末の季節外れの台風2号が奄美地方へ直撃したことによる葉部損傷や塩害、7〜8月にかけてメイチュウ類が大量発生し茎内部を食害されることによる芯枯れ、8月後半の干ばつといった様々な生産環境の悪条件が重なり、生産量は、約45万9000トンと前年度の約64万8000トンの7割にとどまり、史上最低となった。

 こうした状況を受け、国をはじめとする各関係機関や生産者によって、平成24年産以降の再生産や収量確保に向けた支援措置および各種の取組が実施されているところである。

 当事務所では、平成24年産の収量確保へ向けた各島の取組について現地聞き取り調査を実施するとともにその内容を整理することとした。

 今回は、奄美大島の概要を報告する。
2.奄美大島における取組

 (1)製糖企業による取組

 富国製糖株式会社では、平成23年産の原料搬入実績が約1万6997トンと昨年産実績約3万1541トンの約半分に落ち込んだ。この事態を重く受けた同社は、各生産者に対し、生育が夏植と比して短期間でほ場の利用効率も高い春植の推奨、それに伴う早期株出しの必要性の周知、苗消毒のための消石灰の提供を行うなど、収量回復に努めている。

 今後も、生育調査と併せて作業の巡回指導を実施することで、生産者並びに地域関係機関と連携しながら原料回復に努めたいとのことである。


 (2)生産者による取組
 

 今回のレポートでは、さとうきびの生育ステージにおいて最も重要とされる防除作業を中心に報告する。

 今回、笠利町の営農集団構成員の奥輝人氏の生産現場を訪問した。平成23年産の奥氏の生産量は前年比約4割減を余儀なくされたが、防除作業が肝心な作業であるとして、天候や雑草の伸長を見て「適期を逃さず作業の実施を徹底すること」が重要であるとして、奥氏は基幹作業等を効率よく的確に行うことを念頭に置き本年産に臨んでいる。

 同氏は、ほ場の雑草の種類に応じて、複数の除草剤を使い分けて散布している。調査当日は、センコル水和剤1袋(300g)、アージラン液剤3本弱(特にイネ科のタチスズメノヒエに効果あり)、2,4-Dアミン塩を使用し、動力ポンプを使用して散布を行っていた。当該防除作業は、雑草の伸長によってさとうきびの初期生育が抑制されることを避けるため早期実施が効果的である。また、繁茂する雑草が餌となりメイチュウ類の害虫発生の原因となることもあるので、徹底的な防除作業が必要であるとのことである。加えて、メイチュウ類の対策に効果的なスミチオン乳剤を発生期と予想される4月下旬から5月中旬頃に散布するとのことであった。

 5月10日及び11日には、奄美市さとうきび対策協議会等がスミチオン乳剤(国の産地活性化総合対策事業(さとうきび全島適正防除推進事業)による補助)を配布し、5月18日までを防除期間に設定し、奄美市約670ha・龍郷町約80haの計約750haを対象に生産者による一斉防除が行われた。

 また、さとうきびの新根の発生や伸長を促進するための中耕・培土作業も、株元の雑草が小さい段階で行うことによって、雑草の繁茂を抑制する効果がある。適期の管理作業の実施がさとうきびの良好な生育に繋がるとのことである。
 上記の取組のほか、同氏は、夏場の干ばつ対策のため自身で保有するスプリンクラーを使用してほ場への灌水を行うとともに、複合経営の一つである肉用牛繁殖牛舎からの排せつ物を堆肥としてほ場へ散布する手法により土壌改良を行うことで、生産性向上やコスト低減に努めている。


3.おわりに

 奄美大島における収量確保に向けた取組について調査した結果を報告した。奄美群島では既にメイチュウ類の被害が見られ、鹿児島県病害防除所は4月27日に病害虫発生予測注意報(第1号)を発令した。当該発令に係る巡回調査(4月16〜23日)では、被害発生ほ場率が、奄美群島で76%(前年同期42%)にまで及んでいることが確認されたという。今後のメイチュウ類への効果的な対策の検討や各生産者における防除対策の徹底が求められている。

 鹿児島事務所では、今後も各地域の取組について情報提供を行う予定である。

鹿児島事務所
 

1.はじめに

 鹿児島県における平成23年産さとうきびは、春先の低温・日照不足による初期生育の遅れ、5月末の季節外れの台風2号などの気象要因及びメイチュウ類が大量発生し茎内部を食害されたことによる芯枯れなどの病害虫要因により、過去最低の収量となった。当該状況を受け、各生産地域において平成24年産以降の再生産や収量確保に向けた支援措置および取組みが実施されているところである。

 当事務所では、平成24年産の収量確保へ向けた各島の取組みについて現地聞き取り調査を実施するとともに当該内容を整理することとした。今回は沖永良部島において当該調査を実施したので、その概要を報告する。
 
 
2.沖永良部島における取組み

(1)沖永良部さとうきび生産対策本部の取組み


 平成23年産の減産の大きな要因の一つとなったメイチュウ類による被害を食い止めるため、あまみ農業協同組合が事業実施主体となり国の産地活性化総合対策事業(さとうきび全島適正防除推進事業)を活用し、沖永良部さとうきび生産対策本部(以下、「生産対策本部」という。)が知名町及び和泊町のそれぞれの実態に合わせた一斉防除を行っている。

  知名町では、平成22年産まではメイチュウ類が収穫量に深刻な影響を与えるまでに至っていなかったことから、薬剤を配付するだけでは防除が実施されないほ場が出てくる恐れがあることから、防除作業の実施を徹底するため、町内の業者に防除作業を委託し、防除機2台を使ってメイチュウ類の防除に効果があるスミチオン乳剤を町内で一斉散布している。防除機でスミチオン乳剤を散布する様子
 
 
 当該散布は、鹿児島県病害虫防除所(以下、「県防除所」という。)の発生予報に基づき、知名町の全ほ場(約700ha)に対し2回ずつ行う予定であり、調査時(5月10日)には1回目の散布が実施され、2回目の散布は、6月中旬の見込みである。

 なお、薬剤散布に当たっては、他作物への影響を考え、薬剤の飛散がないよう風向きに注意して散布するように努めている。

 和泊町では、集落ごとに一斉防除を行うことが効果的であるという考え方から、全ほ場(約630ha)について各地区の共同利用組織が作成した共同防除計画に基づき共同防除及び個人防除による防除作業を実施しており、県防除所により公表されている発生予察日4月19日、5月10日、5月20日を基準にスミチオン乳剤を散布するよう各農家へ指導している。

 生産対策本部では、今回の一斉防除の効果について、今後、知名町と和泊町で8〜10ha程度の実証ほ場をそれぞれ2カ所設け、効果測定を行う予定としているが、防除に使用しているスミチオン乳剤は、さとうきびの内部に侵入した幼虫には効力がなく、残効期間が短いため、一年中温暖でメイチュウ類が様々な形態で存在している沖永良部島においては、発生のピーク時に合わせて、散布を行うことが困難であるという課題に直面している。このため当該課題を解決する方策として、一度設置すると長期間の効果が得られるフェロモントラップ注)(メイチュウ類用)の導入が期待されている。現在はメイチュウ発生予察用として島内に5カ所設けられ、捕獲匹数に応じてメイチュウの発生状況の把握を行うとともに、防除作業のタイミングを計る参考として活用するに留まっている状況である。

 なお、ベイト剤による効果で近年減少してきたハリガネムシについても、フェロモントラップ対策を引き続き行っていく予定である。
 
 
 また、生産対策本部では、栽培品種や使用する肥料等が変化してきたことに伴い、昨年12月、約6年ぶりに生産者向けの栽培暦を改訂しており、生産者へさとうきび栽培管理の適期作業の徹底の周知を図っている。

注)人工的に合成された性誘引フェロモンにより害虫を誘引し、捕獲する装置。


(2)さとうきび生産者の取組み

  1)西 武勇 氏(知名町)


 社団法人鹿児島県糖業振興協会主催の平成23年度鹿児島県さとうきび生産改善共励会にて最優秀賞を受賞した西武勇氏の協力の基に聞き取り調査を行った。

 西氏は、さとうきびを8ha作付けしており、メイチュウ類対策は、防除機により一斉防除が実施されているが、メイチュウ類の被害が確認されたほ場については、中耕時にもメイチュウ類やハリガネムシの防除に効果があるベイト剤を散布するようにしている。

 同氏は、病害虫の温床となる雑草の除草作業については、「適切な時期に的確に行うことがさとうきびの栽培にとっては重要である。」と、朝・夕の2回はほ場に出向き日々の生育状況の確認を行っている。
 
 
 同氏は、初期生育時に除草剤を散布すると、生育に悪影響を及ぼすとの考えから、除草剤の散布を極力抑えるため、繰り返しの中耕作業により除草を行うことで、土壌を整え、生育を良好に保つことができると考えている。また、台風後の潮風害や夏場の干ばつなどに効果がある灌水についても重要な作業であるため、畑を借用する際は、畑地灌漑施設が整備されているほ場を借りるようにしている。畑地灌漑が整備されていないほ場では灌水に当たり散水車等を使用しなければならずコストが高くなるため十分な灌水が困難となるからとのことであった。


 2)園田 孝徳 氏(知名町)

 当機構主催の平成23年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会へ出席された園田孝徳氏の協力の基に聞き取り調査を行った。園田氏のほ場も知名町にあり、平成23年産の収穫ほ場では、約20ha中約1haがメイチュウ類の被害にあった。

 防除作業については防除機による防除のほか、自らが所有する防除作業機ブームスプレイヤーによりスミチオン乳剤を散布している。

 平成23年産の夏植えでは、7月植え付けと10月植え付けを比較した場合、明らかに7月植え付けの生育が良好であった。今期も現時点では、曇天や雨天が多く日照不足の影響から生育状況があまり良くないため、平成24年産の夏植えは7月に植え付けを予定しているという。また、畑作灌漑が整備されていないほ場ではスプリンクラーやホースの設置が必要となり、大変な重労働であるため、夏場の干ばつ前までにさとうきびを大きくして、ほ場の土に直射日光が当たらないよう早い時期の植え付けを心がけている。
 
 
 なお、同氏は、生産者の高齢化が進む中で、高齢生産者のほ場を借り入れ、夏植え1作分を自らの収入とした後、収穫後の株出管理作業を行った後、ほ場を返す等、地域の生産者と連携を図り、地域のリーダー的存在となっている。

 今後は、1人で耕作する面積が上限に近づいていると感じるため、管理作業を適期に行うことにより単収向上を目指し、ゆとりある農業経営の実現を目指している。


  3)瀬川 静一郎 氏(和泊町)

 瀬川静一郎氏のほ場は和泊町にあり、防除作業については、瀬名地区の共同利用組織の防除計画に基づく共同防除又は個人防除を行っている。同氏は、個人のほ場ごとに防除作業を行うとメイチュウ類が近隣の畑に逃げていくため、発生予察日に合わせて集落ごとに一斉に防除を実施することが効果的であるとの考えから組合員による一斉防除を実施しており、個人防除を行う組合員については、集落の取りまとめ役として、防除日誌の管理も担当している。共同で作業を行うことで各生産者の相互間によるコミュニケーションが生まれ、情報交換などを行いやすい雰囲気を作ることが、集落全体の生産性を向上させることに繋がるという。

 同氏の集落では、1回目の発生予察日である4月19日に合わせ、すでに防除作業を実施しており、2回目の発生予察日である5月10日に合わせて2回目の防除作業を実施しているところであった。

 スミチオン乳剤については、1週間程度の残効があり、同氏は、頻繁にほ場を見回り、害虫の発生を確認した場合は、その箇所に集中的に散布することとしている。
 
 
 瀬川氏は、平成23年産について特にメイチュウ類の被害が多かった理由として、台風による全島の潮風害によりメイチュウ類が卵を生み付けていた畔の雑草が無くなったことで、さとうきびがその代替となり、メイチュウ類の被害が増大したのではないかとの見解であった。

 これを受け、畔のススキには、メイチュウ類の天敵であるヒバリが巣を作るため、例年行っていたほ場の周囲の野焼きを今春は行わず、ヒバリにメイチュウ類を捕食させることでメイチュウ類の減少を図れないかと試行がされていた。


3.おわりに

 平成23年産の減産を受け、沖永良部島における平成24年産のさとうきび収量確保に向けた取組みについて報告した。現在のところ、昨年に続き低温や日照不足の影響で生育が遅延している状況となっており、今後の回復に期待したい。また、今回の聞き取り調査を通して、メイチュウ類等の対策については、防除作業のほか、日々の管理作業についても重要であると再認識させられた。

 平成24年産の生産量が増加するとともに、島全体が活気づくことを期待したい。

鹿児島事務所
 


1.はじめに

 鹿児島県における平成23年産さとうきびの収量は、台風等の気象要因やメイチュウ類による病害虫要因など生産環境の悪条件が重なり、過去最低となった。当事務所では、平成24年産の収量確保へ向けた各島の取組みについて現地を訪問し、聞き取り調査を実施するとともに当該内容を整理することとした。

 今回は、既報(奄美大島、沖永良部島)に続き、与論島にてさとうきび生産現地実態調査を実施したので、その概要を報告する。
 
 
2.与論島における取組み

(1)製糖企業の取組み


 与論島内で唯一の製糖会社である与論島製糖株式会社から一斉防除について聞き取りを行った。

 同社は、与論町役場の産業振興課とあまみ農協(与論事業本部)とともに運営している糖業振興会として島内のさとうきびほ場の一斉防除に取り組んでいる。平成24年産の収量確保に向けた取組みとして、同会では、国の産地活性化総合対策事業(さとうきび全島一斉防除推進事業)を活用して、メイチュウ類やハリガネムシ類の防除に効果のあるオンコル粒剤を購入した後、5月14日から1日に1集落ずつ訪問し、全9集落に対し薬剤の配付を行うとともに、薬剤の配付日からできるだけ早期に10aあたり4kgを散布した上で中耕・培土を行うよう散布方法について説明を行っているところである。

 与論島における平成23年産さとうきびの収量は過去最低となったが、減産には台風による潮風害が大きく影響した一方、メイチュウ類による被害は奄美群島の他島と比較して少ない状況であった。その要因として、糖業振興会を構成する3者が出資して基金の造成を図り、スミチオン乳剤やスミチオン微粒剤について生産者への助成を行っており、昨年も5月上旬に当該薬剤を散布するよう生産者に対し呼びかけを行い、病害虫防除に対する意識の醸成を図っていたことが挙げられた。


(2)生産者の取組み(野本 勝彦氏)

 与論島JAさとうきび部会の副部会長をしている野本勝彦氏の協力の下に聞き取り調査を行った。同氏は約130aのほ場でさとうきびを栽培しており、その他、さといもや肉用牛の複合経営を行っている。

 平成23年産のさとうきびの栽培において、島内の生産者の中でも特に同氏のほ場はメイチュウ類による被害が少なかった状況にある。
 
 
 同氏は、害虫防除作業については、例年、2月下旬から4月にかけての中耕培土時にハリガネムシの防除に効果があるベイト剤を散布し、5月上旬にはメイチュウ類やチンチバックの防除に効果があるスミチオン乳剤の散布を行うとともに日頃から除草を適切に行っているとのことであった。

 また、平成24年産においては例年と同様の防除のほか、メイチュウ類対策として、糖業振興会から配付されるオンコル粒剤を散布しているため、例年以上の高い防除効果が期待される。散布にあたっては、糖業振興会の指導のもと10a当たり4kgを手製の散布道具を活用してさとうきびの株元へ散布し、散布後には、中耕作業を行う予定としている。
 同氏は「さとうきびは手をかけた分だけ結果に出る作物であり、除草などの日々の基本的な管理作業が最も重要である。」と説明し、除草作業についてはこまめに行うよう努めている。また、日々の作業の実施状況や薬剤の散布量などをほ場ごとに作業日誌等に記録することで、ほ場の管理を効率的に行うことが可能となり、確実な作業を実施する上で欠かせない資料となっているとのことである。

 灌水作業については、灌水中にスプリンクラーが転倒することを防止するために安定感のある土台の取り付けを行い、持ち運びの負担を軽減するために口径が50mmの一般的なホースではなく25mmのホースを接続できるようにするなど、十分な灌水をより簡便に行える工夫が施されていた。
3.おわりに

 今回の調査では、日々の管理作業の重要性を再認識するとともに、スプリンクラー等の栽培器具を島の環境や生産現場の実態に合わせて改良することで、基幹作業を効率的に行うことが可能となることについて一層の認識を図ることができた。平成24年産のさとうきびが増収となり島の経済が活性化することを祈念するとともに、今般の一斉防除が島にどのような良好な影響を及ぼすのか、引き続き調査を実施してまいりたい。

鹿児島事務所
 

1. はじめに 

 九州農政局鹿児島地域センターでは、「食育月間」の取組みの一環として、平成24年5月25日から31日の7日間、霧島市の京セラ且ュ児島国分工場第2社員食堂において「移動消費者の部屋」を開催した。同イベントでは、消費者の食生活に対する意識向上を図るため、『日本型食生活の普及促進』をテーマとした展示ブースを開設し、共催となっている潟Oリーンハウス、霧島市と共に同センターの職員が日本型食生活の優れている点について啓発を行った。当機構鹿児島事務所も、これと共催し「砂糖の価格調整制度の周知・浸透の取組」の一環として、砂糖に関するパネル展示やパンフレットの配布を行ったので紹介する。


2. 日本型食生活の普及促進の紹介

 開催期間中は、同工場社員の健康を念頭に置いた食事のメニューの提案等を行っている潟Oリーンハウスの社員が「ウェルネスフェア」と題して食生活改善方策の普及啓発のためのパネルの展示やパンフレット配布、生活習慣病予防のための来場者への血液サラサラチェックを行ったほか、霧島市の管理栄養士による「食事バランス」の健康指導も行われ、400人収容の食堂には同工場の社員が連日来場して展示品やパンフレットを手に取るなどしながら食と健康について理解を深めていた。
3. 砂糖の価格調整制度の紹介

 当機構は、平成23年度から行っている「砂糖の価格調整制度の周知・浸透の取組」の一環として、甘味資源作物の重要性および砂糖の価格調整制度の役割などを紹介した「日本の砂糖を支える仕組み」や砂糖の正しい知識を普及・啓発するための「砂糖は安心な自然食品」などのパンフレットの配布、「砂糖は脳のエネルギー」、「砂糖だけが太る原因ではありません」、「砂糖の白さは結晶が作り出す」などを内容とする砂糖と健康に関するパネルの展示を行い、来場者への砂糖制度の必要性や砂糖の正しい知識について一層の理解の向上を図った。

 来場者からは、「鹿児島や沖縄県で栽培するさとうきびや各島の工場で製造する国内産糖が地域経済に大きく貢献していることを初めて知った」との意見や「砂糖は肥満の原因と認識して避けていたが、健康を保つためには砂糖を含めた食事のバランスや適度な運動が重要であることがわかった」、「砂糖は漂白していると認識していたが、砂糖が白く見えるのは、結晶の表面で、光が乱反射していることによるとわかった」、「砂糖は、脳のエネルギーになる」等の感想を聞くことができた。
4. おわりに

 今後も鹿児島事務所では、関係機関との連携を図り、県内の食に関わるイベントへの出展を積極的に行い、砂糖の価格調整制度や砂糖の正しい知識の普及・啓発のための取組みを行っていきたいと考えている。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713