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地域だより

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最終更新日:2013年2月7日

2013年1月

札幌事務所
 


◆北海道のてん菜・てん菜糖生産と砂糖の価格調整制度を紹介

 平成24年10月31日(水)〜11月5日(月)の6日間、アリオ札幌(札幌市東区)で、北海道の食をPRするイベント「第5回北海道のうまいもの見〜つけた!」(主催:北海道、(株)イトーヨーカ堂)が開催された。会場では、道産農産品などの販売の他、ばれいしょなど道産食材のステージPRやパネル展示が行われ、家族連れなど多くの買い物客でにぎわっていた。

 当事務所では北海道農政部食の安全推進局農産振興課並びに社団法人北海道てん菜協会と連携して、同イベントでは初めて、てん菜・てん菜糖についての普及啓発コーナーを設けた。

 同コーナーでは、てん菜の模型、各種てん菜糖の製品、砂糖に関するパネルなどを展示した。また、各種パンフレットを用い国内産の原料から生産する砂糖のうち、北海道で生産されるてん菜糖が約8割(約60万d)を占めており、北海道が砂糖の一大産地であることなどについて紹介するとともに、砂糖が食生活に欠かせない食品であり、てん菜・てん菜糖生産が地域の経済や雇用に重要な役割を果たしていることや、これら国内の砂糖の安定供給のため価格調整制度が重要な役割を果たしていることなどについて説明を行った。

 また、オリゴ糖をまぶしたドン菓子(ポン菓子)の提供などを行った。てん菜の模型を見た人からは「こんな大根みないたものから砂糖ができるのか」と驚きの声が上がっていた。
 
◆アンケート調査を実施

 土日の2日間、てん菜・てん菜糖に関するアンケート調査を実施し、約500人から回答をいただいた。

 アンケート結果(下記参照)によると、産地とはいえ「てん菜という作物」や「北海道が砂糖の大産地であること」についてよく知っている者は約半数に止まり、さらに「砂糖の価格調整制度」については、半数強の者が全く知らなかったものの、展示を見た後は、大多数の者から「てん菜」「てん菜糖」が地域において重要な作物・産業であることや価格調整制度に対する理解が深まったとの回答をいただいた。

 また、砂糖のイメージについての質問に対しては、「料理に必要(第1位)」、「脳のエネルギー源(第2位)」、「食料として必要(第3位)」の順でプラスのイメージが上位を占めたが、次点は「太る〔肥満の原因〕(第4位)」という回答となった。特に砂糖の働きの中でも特徴的な「脳のエネルギー源」という情報が浸透している点が注目される。
 
◆おわりに

 今後も当事務所では、関係機関と連携を図り、道内の食に関するイベントへの積極的な出展等を通じ、北海道が砂糖の大産地であること、てん菜糖の安定供給に砂糖の価格調整制度が深く関わっていること、砂糖の正しい知識などについて、広く消費者の皆様へ情報発信してまいりたい。

札幌事務所
 


 機構では、消費者の方々に日本の砂糖が安定的に供給される糖価調整制度の仕組みや正しい砂糖の知識を理解していただくための活動として、今年度から出前講座を行っている。

 今回は、平成24年11月30日(金)に、一般社団法人札幌消費者協会(札幌市北区)において31名の参加者を得て開催した。

 出前講座は、まず制度への理解を深めていただくため「日本の砂糖を支える仕組み〜砂糖の価格調整制度〜」をテーマに、当機構特産調整部秋吉管理課長から、北海道のてん菜や鹿児島県及び沖縄県のさとうきびが地域においてなくてはならない重要な作物であること、砂糖には大きな内外価格差があること、農業所得の確保や国内産糖の安定的な供給を図るため糖価調整制度の安定的な運営が必要であること等について、機構パンフレット「日本の砂糖を支える仕組み」やスライド等で紹介した。

 次に、「砂糖の正しい知識〜ご存知ですか?砂糖が白い理由」をテーマに精糖工業会顧問の斎藤祥治農学博士が「砂糖とは何か?」と題して砂糖の生成や製造過程、砂糖の種類等を説明した。その後、白い砂糖は漂泊しているのではないのかという誤解に対して、精製糖工場で実際に行われているろ過工程と同様の原理により、原糖液(原料糖を水に溶かして濾紙でろ過した茶色い液体)を大型の試験管2本を用いて、活性炭→イオン交換樹脂の順にろ過することにより色素を吸着・除去する実験を行なった。1本目の活性炭によるろ過が終了すると、少し茶色みが残っているのを感じる程度までになり、2本目のイオン交換樹脂でろ過した液体はほぼ透明となり、会場からは驚きの声が上がった。参加者の方々は砂糖が白いのは漂泊しているからではなく徹底的に不純物を取り除いていることを実感していただくことができた(注:砂糖の結晶は透明であり、白く見えるのは光の乱反射による)。
 
 出前講座終了後に行ったアンケート調査によると、開催地がてん菜の生産地であったこと、また、参加者が砂糖に興味を持っていたことから、てん菜が北海道で栽培されていることや、それが地域経済に重要な役割を果たしていることについては、約8割の回答者が理解を示したが、価格調整制度や国内消費量の約6割を輸入原料に頼っていることについての理解を示した者の割合は2〜3割と低かった。

 この結果からも、北海道のてん菜・てん菜糖の安定供給に砂糖の価格調整制度が深く関わっていることや砂糖の正しい知識などについて、なお一層の周知、浸透を図る必要があると考えられ、札幌事務所としても引き続きこうした取組みを行っていきたいと考えている
 

那覇事務所
 


 平成24年12月13日(木)、当機構那覇事務所は、那覇市の青年会館会議室において、地域情報交換会を開催した。

 今回の地域情報交換会は、かねてから関係者より海外のさとうきび生産地の状況や平成23年度に沖縄県内で発生したイネヨトウ等の害虫についての情報提供の要望があったことから、「米国の砂糖需給および政策動向とさとうきび生産事情」、「イネヨトウの生態とこれからの対策」と題し、当機構調査情報部の植田職員と沖縄県農業研究センター永山研究員がそれぞれ話題提供を行った。参加者は、県内のJA、製糖企業、行政関係者および関係機関など合わせて42名が参加した。

 開会に当たり、大泉那覇事務所長から、挨拶と配布資料「我が国の砂糖をめぐる事情」の紹介を行った後、当事務所の伴職員から、砂糖生産および砂糖制度に関する消費者向け展示パネルの紹介を行った。
 
1 砂糖生産および砂糖制度に関する消費者向け展示パネルについて

 砂糖の価格調整制度における調整金は、最終的に砂糖の価格に転嫁される。つまり、国内の砂糖生産は消費者に支えられているので、制度の安定的な運営には消費者に一層の理解を得ることが必要である。

 このため当機構では、消費者への制度の周知・浸透に向けた取り組みの一環として、消費者向け展示パネルの貸し出しを行っており、今回はパネルの内容について資料を配布したほか、会場内に展示を行った。
 
2 米国の砂糖需給および政策動向とさとうきび生産事情

 当機構調査情報部の植田職員から、「米国の砂糖需給および政策動向とさとうきび生産事情」と題し、8月に実施した現地調査をもとに講演が行われた。

 米国内の砂糖需給は、消費量が年々増加していることから国内需要の不足分は輸入で補う状況であること、また、政策動向については、2013年に次期農業法が制定されることから、現行の砂糖プログラム(販売割当、関税割当、価格融資制度、エタノールプログラム、現物支払い制度、砂糖貯蔵施設融資プログラムなど)について、砂糖業界と実需者との間で意見が分かれているものの、継続される見通しであることなどが報告された。

 米国の砂糖消費拡大プロモーション活動については、科学的根拠に基づいた普及啓発などが行われているが、米国の砂糖消費量が年々増加していることなどから一定の効果が表れているものと思われ、参加者から高い関心が寄せられていた。

 また、米国ルイジアナ州の生産現場においては、栽培技術研究機関と指導機関の情報共有体制、生産者への栽培技術指導体制、農業コンサルト会社を活用した害虫の予防的防除が確立されていることなどが報告された。
 
3 イネヨトウの生態とこれからの対策  

 沖縄県農業研究センター永山研究員から、「イネヨトウの生態とこれからの対策」と題し、講演が行われた。

 講演の中では、イネヨトウの防除に当たっては、まず、雑草防除が効果的であるとした上で、交信かく乱を主軸とした防除についての提案があった。交信かく乱による防除は非常に効果が高く、また目的とする害虫だけを防除するので環境に優しいこと、特別な機械を必要としないことなどの利点があげられる一方で、地域全体で一斉に機材の設置を行わなければならないこと、また効果が出るまでに一定の時間がかかることなどの課題についても報告があった。

 また、伊是名島で実施された交信かく乱による防除の結果、海沿いなど効果の出づらい場所があることも判明した。このような場所では従来の乳剤等を施用すること、またその際はイネヨトウに直接触れるよう、葉鞘のポケット部分に散布する等の注意点が紹介された。
 
 参加者からは、「時宜を得た話題であったことや外国における政策は、興味深かった」、「イネヨトウの防除について、詳しく知ることができた」、「有意義な情報交換会であり、今後もこのような会を設けて欲しい」などの意見があった。

 当事務所では今後も沖縄県内の関係者に対し、地域情報交換会などを通じて有益な情報を発信していきたいと考えている。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713