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4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2013年4月10日

4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

2013年4月

調査情報部

ブラジル

ブラジル
 【生産見通し】
 
中南部地域は生産終了、砂糖生産量は前年度比5.1%増の見込み

 
 中南部地域では、2012/13砂糖年度(4月〜翌3月)の生産が終了した。同地域は国内生産の約9割を占める。ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)によると、3月1日までのさとうきび収穫量は5億3254万トン(前年同期比8.0%増)、砂糖生産量は3409万トン(同8.9%増)、エタノール生産量は2136万キロリットル(同4.0%増)と、いずれも前年度を上回った。一方、北東部地域の生産は終盤を迎えている。今年度は干ばつの影響によりさとうきび収穫量が前年度を下回って推移していることから、ブラジル全体のさとうきび生産量は5億9100万トン(前年度比5.4%増)と、前月予測から100万トン下方修正された。ただ、糖度が当初見込みを上回っているため、砂糖生産量は4139万トン(同5.1%増)と、前月予測から据え置かれた。
 
 2013/14年度の中南部地域におけるさとうきび生産量は、現時点で5億8000万トン〜5億9000万トンと、前年度から9〜11%程度の増加が見込まれている。生産地では昨年11月から今年1月にかけて十分な降雨があり、さとうきびの生育状況は良好とされる。また、ほ場の更新(さとうきびの植え替え)が進み、2013/14年度に初めて収穫されるさとうきびが多いとみられることから、単収の増加も期待されている。
ブラジルの砂糖需給の推移
 【貿易・政策動向等】
 
輸出量は前年度比9.4%増の見通し

 
 2012/13年度の砂糖消費量は、ほぼ前年度並みの1280万トン(粗糖換算、前年度比0.3%増)と予測されている。国内景気の後退により、消費量の伸びは鈍化するとみられている。一方、輸出量は増産を受け、2864万トン(粗糖換算、同9.4%増)に増加の見通しとなっている。2013年1月の粗糖・白糖輸出量は229万7000トンと、前年同月と比べ86.6%増加した。これは、天候不順などの影響で今年度の収穫開始が遅れ、輸出ペースが鈍化した反動とみられる。主要輸出先はインドネシア、ロシア、マレーシアであった。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2013”
UNICA“Sugarcane Harvest Report”2013/3/1
ブラジルの粗糖・白糖輸出の推移

インド

インド
 【生産見通し】
 
砂糖生産量は前年度比7.6%減の見込み

 
 インドでは、2012/13砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖が中盤にさしかかっている。今年度のさとうきび生産量は、モンスーン期の降雨不足などによる単収の低下が見込まれるため、3億3820万トン(前年度比5.4%減)に減少すると予測されている。さとうきびの減産により、砂糖生産量は2631万トン(粗糖換算、同7.6%減)に減少の見通しとなっている。
 
 2月末までのインド全体の砂糖生産量は1880万トン(白糖換算)と、ほぼ前年同期並みとなっている。
 
北部の主産地ウッタル・プラデーシュ州における同月末までの砂糖生産量は、さとうきび価格の決定が難航し、収穫開始が遅れた影響で504万トン(白糖換算)と、前年同期を4.8%下回っている。ただ、同州では作付けの拡大によるさとうきびの増産が見込まれるため、最終的な生産量は前年度から増加が見込まれている。一方、西部の主産地マハーラーシュトラ州の砂糖生産量は同月末時点で654万トン(白糖換算)と、ほぼ前年同期並みとなっている。しかしながら、前年度からの深刻な干ばつの影響により、最終的な生産量は前年度を下回ると見込まれている。
インドの砂糖需給の推移
 【貿易・政策動向等】
 
186万トン輸出の見通し

 
 2012/13年度の砂糖消費量は2545万トン(粗糖換算、前年度比2.7%増)に増加の見込みとなっている。今年度の砂糖生産量は減少が予測されているものの、消費量を上回るとみられ、また、在庫水準も高いことから、インドは前年度に引き続き輸出を行うとみられている。一方で、同国は今年度において既に100万トン近くの粗糖を買い付けたとされる。これは、年度開始前にモンスーン期の降雨不足による減産予測から国内価格が高騰した上、国際価格が軟化したことから、輸入需要が高まった影響とみられている。同年度の最終的な輸入量は200万トン(粗糖換算、同186.9%増)と見込まれ、前月予測から100万トン上方修正された。国内生産が消費を上回ると見込まれることから輸入粗糖の大半は国内で精製後、再輸出されるとみられ、今年度の輸出量は前月予測を56万トン上回る186万トン(粗糖換算、同46.0%減)と予測されている。2012年12月の粗糖・白糖輸出量は前年同月比9.5%増の13万3000トンとなり、主要輸出先はスーダンであった。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2013”
インドの粗糖・白糖輸出の推移

中国

中国
 【生産見通し】
 
砂糖生産量は前年度比14.2%増の見込み

 
 中国における砂糖生産の約9割は南部で生産されるさとうきびを原料とし、残りは北部のてん菜に由来する。両地域とも2012/13年度(10月〜翌9月)の製糖は中盤を過ぎ、2月末までの中国全体の砂糖生産量は前年同期比8.1%増の916万トン(白糖換算)となった。今年度のさとうきび生産量は、作付面積と単収の増加により前年度から大幅増加の1億746万トン(前年度比21.4%増)と予測されている。さとうきびの増産により甘しゃ糖生産量は1302万トン(粗糖換算、同14.6%増)に増加が見込まれている。ただ、国内砂糖生産の6割を占める広西自治区が1月に大寒波に見舞われ、さとうきびの糖度が低下したことから、生産量の予測値は前月から46万トン下方修正された。
 
 てん菜生産量は、作付け拡大を背景に971万トン(同5.8%増)に増加の見込みとなっている。てん菜の増産により、てん菜糖生産量は119万トン(粗糖換算、同9.2%増)と予測されている。
 
 これらのことから、2012/13年度における中国全体の砂糖生産量は1421万トン(粗糖換算、同14.2%増)と前月から46万トン下方修正されたものの、前年度から大きく増加すると見込まれている。
中国の砂糖需給の推移
 【貿易・政策動向等】
 
輸入量は前年度比59.7%減の見通し

 
 2012/13年度の砂糖消費量は1522万トン(粗糖換算、前年度比2.2%増)に増加すると予測されている。今年度の生産量は1421万トン(粗糖換算、同14.2%増)と見込まれ、国内の供給不足は100万トン程度とみられる一方で、10〜翌1月の累計砂糖輸入量は既に98万トンに達し、輸入は今後も継続すると見込まれている。これは、国際砂糖価格の下落を受け、在庫を積み増す動きがあるためとされる。最終的な輸入量がどの程度になるかは不透明であるが、現時点では210万トン(粗糖換算、同58.9%減)と予測されている。2013年1月の粗糖・白糖輸入量は前年同月比71.4%増の24万3000トンとなり、大半はブラジル産であった。
 
 政府は国内砂糖価格の下落を抑制し、生産者の作付け意欲を維持するため、今年度において合計300万トンの砂糖を国内市場から買い上げるとしている。既に1月末までに150万トンの買い上げが実施された。しかしながら、国内生産の拡大や不正な砂糖輸入の増加により、国内価格の下落に歯止めがかかっていない。2013年2月の平均砂糖卸売価格はトン当たり5622元(約8万5454円:1元=15.2円注)と、国内価格が高水準にあった2011年8月の7852元(約11万9350円)から大幅に下落している。このような状況を受け、政府は国内市場からの買い上げの追加や輸入規制などを検討しているとされる。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2013”
注:2月末日TTS相場
中国の粗糖・白糖輸入の推移
中国における砂糖卸売価格の推移
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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