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地域だより

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最終更新日:2013年6月14日

平成25年度 公益社団法人鹿児島県糖業振興協会総会の開催について

2013年6月

鹿児島事務所
 


 平成25年5月30日(木)に鹿児島市内において、平成25年度公益社団法人鹿児島県糖業振興協会の総会が開催された。

 同協会は、昭和49年に設立され、鹿児島県内におけるさとうきびおよび甘しゃ糖の生産振興、さとうきびの品質取引の円滑な運営ならびに酒造用含みつ糖の生産安定を図ることにより、さとうきび生産農家の経営の向上および甘しゃ糖業の振興に寄与することを目的として、鹿児島県をはじめ、さとうきび生産が行われている市町村、JA鹿児島県経済連・JA鹿児島県中央会、農業協同組合、製糖会社、酒造関係団体など28会員で構成されている。今回の総会では、鹿児島県農政部長や日本甘蔗糖工業会会長をはじめ28名が出席(代理出席含む)し、平成24年度事業実績の報告や役員の改選などが審議承認され、また、平成25年度の事業計画および収支予算について報告があった。

1.平成24年産さとうきびおよび甘しゃ糖の生産実績など

 平成24年産の鹿児島県におけるさとうきび生産実績は、前期の記録的な不作の影響により生産農家の作付け意欲が減退したことなどから、収穫面積は対前年比329ヘクタール減少し、9,997ヘクタールとなった。また、10アール当たりの収量は、昨年8月下旬から10月中旬にかけて度重なる大型台風の襲来およびメイチュウ類による食害などにより、種子島で前年比約1割減の5,537キログラム、奄美地域においては3,850キログラム、県全体では、4,320キログラムと2年連続して過去最低水準の単収となり、これらの影響によりさとうきび生産量は43万1874トンとなった。

 製糖会社の操業時期を年明けに遅らせることなどの措置により、原料であるさとうきびの糖度が上昇したものの、産糖量については、原料処理量の大幅な低下の影響をカバーしきれず、前年をわずかに上回る5万1712トンとなり、極めて厳しい年となった。

2.平成24年度事業報告

 さとうきびは、鹿児島県の南西諸島の基幹作物として地域経済を支える重要な作物であることから、同協会は、同県の「さとうきび増産計画」に基づき、関係機関・団体と一体となって増産対策に取り組むとともに、農家の高齢化や労働力不足が進行する構造的変化に対応した、担い手の育成や地域営農の組織体制づくりなどに取り組んでいる。

 しかしながら、平成23年産、平成24年産と2年連続で過去最低水準の生産量となり、台風・干ばつなどの気象災害や病害虫の発生などに対応した生産力の向上と製糖工場の操業率の向上が急務となっている。総会では、こうした現況を報告した上で、平成24年度の事業実績として、以下のとおり報告があった。

 同協会では、「さとうきび増産計画」の達成に向けた、さとうきびの生産性向上対策の推進、品質取引の円滑な実施、優良品種選定などの試験研究、酒造用含みつ糖の生産安定対策を推進するとともに、「さとうきび増産基金事業」によるさとうきびの生産回復や、気象災害影響緩和対策事業などによる甘しゃ糖製造業の経営の安定化に取り組み、さとうきび生産農家の経営安定と甘しゃ糖業の振興に努めた。

 また、品目別経営安定対策に対応した安定的な生産体制を確立するため、種子島糖業振興会や奄美群島糖業振興会と連携して、担い手の育成に向けた地域活動を支援するとともに、さとうきび生産改善共励会の実施により品質および生産性向上を推進した。

 このような中、さとうきびの品質取引については、これまで、琉球大学などの協力を得て、細裂NIR法(注)による品質測定の基準となる検量線の開発などに取り組んできたところであるが、平成24年度には品質測定要領などの改正や関係者への周知を行ったうえで、細裂NIR法による品質取引測定に移行した。

 なお、平成24年度から協会の体制を公益法人に移行し、より効率的な事業の推進と健全な財務の運営に努めた。

 (注)細裂NIR法:従来、さとうきびの品質は搾汁液を利用して測定されていたが、細裂したサンプルを近赤外分光法(NIR法)により直接分析することにより、迅速かつ低コストで測定できるようになる。

3.平成25年度事業計画

 平成25年度の事業計画として、以下のとおり理事会で了承された旨の報告があった。

 さとうきび増産計画の達成に向け、さとうきび増産基金事業の推進により、2年連続の不作からの早期回復を図るとともに、機械化一貫作業体系の普及などによる経営規模の拡大、適期の病害虫防除と基本技術を励行する単収アップ実践技術の実証、生産改善共励会の実施など生産性の改善を積極的に進める。

 品目別経営安定対策については、担い手育成や増産に対する推進指導を強化するため、これまでに引き続き、種子島糖業振興会や奄美群島糖業振興会の取り組みを支援し、さとうきびの安定的な生産体制の確立に努める。

 また、品質取引については、平成24年度に品質測定要領などの改正を行い、各製糖工場が細裂NIR法による品質測定へ移行したところであり、公正かつ円滑な品質取引が運営されるよう品質測定システムの管理業務を沖縄県糖業振興協会と連携して進める。

 さらに、優良品種の選定や新技術の開発普及、酒造用含みつ糖の生産安定など、各般の施策を関係機関・団体と一体になって取り組み、さとうきびの増産と甘しゃ糖製造業の経営の安定化を図る。

 機構としては、今後とも引き続き、さとうきび生産および甘しゃ分蜜糖業の発展のため、同協会と緊密に情報交換を行い、さとうきび生産者および甘しゃ糖製造事業者への交付金交付業務の適正な運営に努めてまいりたい。
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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