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3.世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2013年11月11日

3.世界の需給に影響を与える諸国の動向

2013年11月

ブラジル

 
【生産見通し】
2013/14年度サトウキビの砂糖仕向け割合は前年度から減少するも、砂糖生産量は前年度より増加


 2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は889万ヘクタール(前年度比4.8%増)、生産量は6億5380万トン(同11.0%増)と、前年度から大幅に増加する見込みである。同年度の砂糖生産量は、7月の霜害や降雨による収穫の遅れに伴うサトウキビの品質低下により、回収糖分(ATR)が前年度の水準にも満たないことから、3980万トン(粗糖換算、同1.0%減)と前月予測から153万トン下方修正された(表2)。また、砂糖仕向け割合は、前年度から3.9パーセント減少し、45.6パーセントとされている。

 サトウキビ産業協会(UNICA)の報告(10月16日現在)によると、砂糖仕向け割合は前年度から減少しているものの、中南部地域のサトウキビ圧搾量は4億7139万トン(前年同期比12.4%増)と前年同期を上回っていることから、同期までの砂糖生産量は2715万トン(粗糖換算、同1.3%増)と前年同期よりも増加した。一方、エタノール生産量は、2019万キロリットル(同20.6%増)と大幅な増加となっている。
 
【貿易・港湾動向等】
2013/14年度輸出量は、前年度から減少する見込み


 2013/14年度輸出量は、砂糖生産量の下方修正をうけ、2615万トン(粗糖換算、前年度比4.0%減)と前月から215万トンの減少見込みとなった。2013年8月の粗糖・白糖輸出量は、330万トン(前年同月比34.3%増)となった(図4)。主要輸出先は中国、バングラディッシュ、ナイジェリアであった。

 なお、サンパウロの80キロメートル南東に位置する世界最大の砂糖輸出港であるサントス港では、10月18日、同国最大の粗糖輸出業者コパスカーが所有する倉庫での火災により、18万トン近くの原料糖が焼失し、今後の輸出への影響が懸念されている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, October 2013”
 

インド

 
【生産見通し】
2013/14年度砂糖生産量は、前年度から増加する見込み


 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、植え付け時のサトウキビ価格が競合作物の価格を上回ったことを背景に、527万ヘクタール(前年度比0.3%減)と、前年度とほぼ同水準での推移が見込まれている(表3)。また、マハーラーシュトラ州とカルナータカ州における2012年の干ばつの影響は、2013年のモンスーンによる降雨で緩和したとみられており、生産量は3億7421万トン(同1.1%増)と、前月予測から2626万トン増加の見込みとなっている。一方で、インド製糖協会(ISMA)は、収穫面積は前年度並みと見通しているものの、株出し回数増加による単収低下から、生産量への影響を懸念している。

 サトウキビの増産を受け、砂糖生産量は2770万トン(粗糖換算、同1.1%増)の見込みとしており、前月予測から上方修正されている。
 
【貿易・政策動向等】
地方政府は5つの製糖工場に対し「回復証明書」を発行


 2013/14年度の砂糖消費量は、2550万トン(粗糖換算、前年度並み)と見込まれており、4年度連続で生産量が消費量を上回る見通しである。輸出量は、88万トン(粗糖換算、前年同月比20.0%減)と前年度から大幅な減少が見込まれ、輸入量は、国際砂糖価格が国内価格を下回ったことから、161万トン(粗糖換算、同10.0%増)と増加の見込みとなっている。2013年7月の粗糖・白糖輸出量は、14万6000トン(前年同月比70.9%減)となり、主要輸出先はスーダン、アラブ首長国連邦、ソマリアであった(図5)。

 同国では、製糖会社からサトウキビ生産者への支払いは、14日以内に行わなければならないと義務付けられているものの、近年、この支払い遅延が慢性化している。主要生産地域であるウッタル・プラデーシュ州政府は、この支払いが遅延している5つの製糖会社に対し「回復証明書(Recovery Certificates)」を発行し、支払いが行われなければ工場の資産を差し押さえることも検討されている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, October 2013”
 

中国

 
【生産見通し】
2013/14年度砂糖生産量は、原料生産量の増産により増加する見込み


 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、198万ヘクタール(前年度比2.5%増)と前月予測からわずかに下方修正されたが、ほぼ前年度並みの見込みである。なお、生産量は、1億2917万トン(同2.5%増)と増加するものの、雲南省での干ばつなどの発生により、前月から58万トン下方修正された。一方、てん菜収穫面積は31万ヘクタール(同2.5%増)、生産量は1292万トン(同2.5%増)と予測されている。

 国内砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖の生産量は、1350万トン(粗糖換算、前年度比3.7%増)と主要生産地でのサトウキビ生産量が増加見込みであることを背景に、前月から20万トン上方修正された。一方、てん菜糖の生産量は105万トン(粗糖換算、同10.9%減)と最大の新彊に次ぐ産地である黒龍江省での作付面積減少が見込まれており、前月から11万トン下方修正された。中国全体の砂糖生産量は、1455万トン(粗糖換算、同1.9%増)と見込まれている(表4)。

 また、同国では、2011年に1トン当たり8,000元(13万2000円:1元=16.5円)であったサトウキビ価格は、現在、同5,300元(8万7500円)まで下落しており、国内産砂糖の備蓄買取により価格安定を図っている。

注:10月末日TTS相場
 
【貿易動向等】
2013/14年度輸入量は、前年度から増加する見込み


 2013/14年度の輸入量は、今年度も引き続き国内需要が堅調であることから、291万トン(粗糖換算、同7.8%増)と前年度から増加する見込みである。2013年9月の粗糖・白糖輸入量は59万2000トン(前年同月比1.0%増)となり、主な輸入先はブラジル、タイ、韓国であった(図6)。また、新砂糖年度に入ったブラジルからの輸入量が、7月以降増加している。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, October 2013”
 
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