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3.世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2013年12月10日

3.世界の需給に影響を与える諸国の動向

2013年12月

ブラジル

ブラジル見通し
【生産見通し】
10月の長雨により、回収糖分が低下


 2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は889万ヘクタール(前年度比4.8%増)、生産量は6億5380万トン(同11.0%増)と、前年度から大幅に増加する見込みとなっており、前月予測から変更はない(表2)。同年度の砂糖生産量も前月予測から変わらずの3980万トン(粗糖換算、同1.0%減)と、回収糖分(ATR)の減少により、前年度からわずかに減少する見通しである。

 サトウキビ産業協会(UNICA)が11月18日に発表した報告では、同月1日現在までの中南部地域(同国砂糖生産量の9割以上を占める地域)のサトウキビ生産量は5億1013万トン(前年同期比12.0%増)と、製糖開始時期の長雨から製糖が大幅に遅れた前年度に比べ順調である。しかし、10月から続く降雨により、サトウキビの収穫は停滞しつつあり、また、回収糖分の低下など歩留まりへの影響も出てきていることから、砂糖生産量は2956万トン(同0.76%増)と、前年同期から微増にとどまっている。また、国際砂糖需給の緩和から砂糖価格が下落しているため、同国のサトウキビ砂糖仕向け割合は45.3パーセントと、前年同期から減少している。そのため、エタノール生産量は、2183万キロリットル(同19.8%増)と大幅な増加となっている。
表2
【貿易・港湾動向等】
サントス港の火災による砂糖輸出への影響は一時的


 2013/14年度輸出量は、砂糖の減産予測により、2615万トン(粗糖換算、前年度比4.0%減)と減少するものの、ほぼ前年度と同水準の見込みである。2013年9月の粗糖・白糖輸出量は、253万トン(前年同月比4.4%減)となった(図4)。主要輸出先は中国、インドネシア、インドであった。

 なお、世界最大の砂糖輸出港であるサントス港では、10月18日に発生した粗糖輸出業者コパスカー社が所有する倉庫での火災により、18万トンの原料糖が焼失した。現在、同社では、輸出への影響が最小限に収まるよう対応しており、輸出への混乱は生じていない。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, November 2013”
図4

インド

インド見通し
【生産見通し】
ウッタルプラデーシュ州のサトウキビ価格据え置き


 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、527万ヘクタール(前年度比0.3%減)と前年とほぼ同水準での推移が見込まれている(表3)。また、今年のモンスーンによる降雨により、主要生産地であるマハーラーシュトラ州とカルナータカ州で発生した2012年の干ばつの影響は緩和したとみられており、生産量は3億7421万トン(同1.1%増)と前年度から増産する見通しである。同国では、サトウキビ価格が高水準で維持され、競合作物よりも利益が多いとされており、農家のサトウキビ作付意欲は高い。さらに、11月20日、ウッタルプラデーシュ州政府は、今年度のサトウキビ価格を、現在の1キンタル当たり280インドルピー(4,956円/t:1キンタル=100kg、1ルピー=1.77円)で据え置くと発表した。これにより、次年度以降も農家の作付意欲は継続されるものの、製糖企業は、この価格水準では採算が合わないといっている。

 同年度砂糖生産量は、サトウキビの増産を受け、2770万トン(粗糖換算、同1.1%増)と見込まれている。

注:11月21日TTS相場
表3
【貿易・政策動向等】
今年度砂糖輸出量、300〜400万トンを目指す


 2013/14年度の砂糖消費量は、2554万トン(粗糖換算、前年度並み)と前月予測から4万トン増加見込みとされたものの、依然、4年度連続で生産量が消費量を上回る見通しである。輸出量は、93万トン(粗糖換算、前年度比20.0%減)と前月予測から5万トン増加し、前年度から大幅な減少が見込まれている。輸入量は、前月予測から18万トン上方修正され、179万トン(粗糖換算、同10.0%増)の見込みとなっている。2013年8月の粗糖・白糖輸出量は、14万3000トン(前年同月比40.2%減)となり、主要輸出先はスーダン、スリランカ、タンザニアであった(図5)。

 850万トンの余剰在庫を抱える同国では、国内市場の価格安定を図るため、輸出補助金により、今年度輸出量を300〜400万トンとすることを目標としている。同国製糖協会のベルマ事務局長は、「目標を達成する上で必要不可欠であるこの緊急輸出補助金を歓迎する」とコメントしており、輸出に前向きな姿勢をとっている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, November 2013”
図5

中国

中国見通し
【生産見通し】
2013/14年度砂糖生産量は、サトウキビ増産から増加する見込み


 国内砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖の原料となる2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ生産量は、1億3058万トン(前年度比2.5%増)と前年度から増加する見込みであることから、甘しゃ糖生産量は、1350万トン(粗糖換算、同3.7%増)の増産見込みとなっている。一方、てん菜生産量は1292万トン(同2.5%増)と増加が見込まれているものの、歩留まりの低下により、てん菜糖生産量は105万トン(粗糖換算、同10.9%減)と減産見込みとなっている。これらのことから、今年度の同国全体の砂糖生産量は、1455万トン(粗糖換算、同2.5%増)と見込まれている(表4)。

 また、フィリピンレイテ島に甚大な被害を与えた台風30号により、広西チワン自治区では豪雨による糖度低下と収穫の遅れが懸念されているものの、同国では現在、大量の砂糖備蓄があるため、市場への影響は出ないとされている。
表4
【貿易動向等】
2013/14年度輸入量は、前年度から増加する見込み


 2013/14年度の輸入量は、今年度も引き続き国内需要が堅調であることから、397万トン(粗糖換算、同7.8%増)と前月予測から106万トン上方修正された。2013年10月の粗糖・白糖輸入量は71万トン(前年同月比108.8%増)となり、主な輸入先はブラジル、豪州、韓国であった(図6)。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS,November 2013”
図6
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713