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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2013年12月10日

砂糖類の国内需給

2013年12月

調査情報部

1.需給見通し

 農林水産省は、9月に「平成25砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。その概要は以下のとおりである(詳細は2013年10月号 参照)。
見通し
表2

2.輸入動向

【甘しゃ糖・分蜜糖の輸入動向】
2013年9月の甘しゃ糖・分蜜糖の輸入価格は、前月から1,944円下げ再び4万4000円台に


 財務省「貿易統計」によると、2013年9月の甘しゃ糖・分蜜糖の輸入量は、13万4381トン(前年同月比0.7%減、前月比28.6%増)であった(図2)。輸入相手先は、豪州、タイ、フィリピン、米国の4カ国であった。

 国別の輸入量を見ると、豪州が7万8531トン(前年同月比9.1%増、前月比66.8%増)と、前月に続き首位国となった。次いで、タイが4万1849トン(前年同月比34%減、前月比52.5%増)、米国が23トン(前年同月輸入実績なし、前月比11.5%減)となった(図3)。豪州の主産地クイーンズランド州の製糖工場の操業が順調であることもあり、豪州からの輸入量が前月から大きく伸びている。

 同年1〜9月の甘しゃ糖・分蜜糖の輸入量累計は、98万865トンとなり、前年同期より3万529トン(3%)減少した。一方で同年同期の異性化糖の移出量累計が前年同期に比べ、2.2パーセント増加していることを踏まえると、今夏の猛暑による砂糖需要の一部が異性化糖にシフトしたことが考えられる。
図2,3
 2013年9月の1トン当たりの輸入価格は、4万4686円(前年同月比1.8%安、前月比4.2%安)であった(図4)。同月の国別1トン当たり輸入価格は、豪州が4万5846円(前年同月比3.2%高、前月比0.5%安)、タイが4万3217円(前年同月比7.5%安、前月比3.6%高)、フィリピンが4万2369円(前年同月、前月輸入実績なし)、米国が16万3261円(前年同月輸入実績なし、前月比1.9%高)であった。
図4
【甘しゃ糖・含蜜糖の輸入動向】
2013年9月の甘しゃ糖・含蜜糖の輸入価格は前月から1万994円下げるも高水準が続く


 財務省「貿易統計」によると、2013年9月の甘しゃ糖・含蜜糖の輸入量は、177トン(前年同月比43.9%増、前月比7.8%減)であった(図5)。国別の輸入量を見ると、ボリビアが120トン(前年同月比17.6%増、前月比5.5%減)と最も多く、次いで、中国が39トン(前年同月輸入実績なし、前月比160%増)、フィリピンが18トン(前年同月比14.3%減、前月比5.3%減)であった(図6)。同年1〜9月の甘しゃ糖・含蜜糖の輸入量累計は、9,968トンとなり、前年同期とほぼ同水準(0.3%減)で推移した。
図5
図6
 同月の1トン当たりの輸入価格は、11万4808円(前年同月比42%高、前月比8.7%安)であった(図7)。国別では、ボリビアが10万6242円、中国が10万5795円、フィリピンが19万1444円であった。前月から輸入価格が低下したのは、中国からの輸入価格が前月から4万5605円(30.1%)低下したことが影響している。これに伴い、中国からの輸入量も前述のとおり前月比160パーセント増加したと考えられる。
図7
【加糖調製品の輸入動向】
2013年9月の加糖調製品の輸入量は、前年同月比で8.6パーセント減少


 財務省「貿易統計」によると、2013年9月の加糖調製品の輸入量は、4万1294トン(前年同月比8.6%減、前月比10.2%減)であった(図8)。品目別の輸入量は、ミルク調製品が1万256トン(前年同月比9%減、前月比23%減)と最も多く、次いで、ソルビトール調製品が8,691トン(前年同月比11.3%減、前月比12.9%減)、ココア調製品が7,560トン(前年同月比3.3%増、前月比7.2%増)となった。なお、コーヒー調製品の輸入は実績がなかった。ミルク調製品の輸入量が前月比23パーセントと大きく減少した要因としては、前月のミルク調製品の輸入量が前年同月比18パーセントの増加と高水準であったため、その反動ではないかと考えられる。

 同年1月〜9月の加糖調製品の輸入量の累計は、41万7414トン(前年同期比0.7%減)と前年同水準となった。品目別では、ミルク調製品が11万2996トン(同7.9%増)、ソルビトール調製品が8万3415トン(同4.3%減)、ココア調製品が6万2539トン(同8.3%減)となった。ミルク調製品が前年同期比で増加した要因のひとつとして、脱脂粉乳の供給不安が考えられる。平成25年1月以降、国内の脱脂粉乳の出回り量は、対過去5カ年増減率がマイナス傾向で推移しており、脱脂粉乳の供給不安からミルク調製品へのシフトが進んだと考えられる。
図8

3.異性化糖の移出動向

2013年10月の異性化糖の移出量は前年同月比3.9パーセント減少

 2013年10月の異性化糖の移出量は、6万2215トン(前年同月比3.9%減、前月比3.5%減)となった(図9)。例年10月は夏場の需要期が終わり、移出量が落ち込む時期であることから、前年同月に比べるとやや減少しているものの、本年においても同様の動きとなった。

 同年1月〜10月の異性化糖の移出量累計は、74万5141トンと前年同期に比べ、1万2173トン(1.7%)増加している。これは、本年が昨年に比べ、梅雨明けが早かったことや猛暑であったため、7月と8月の移出量が好調であったためであると考えられる。
図9
 同年10月の規格別の移出量は、果糖含有率40パーセント未満のものが327トン(前年同月比5.3%減、前月比18.8%増)、果糖含有率40パーセント以上50パーセント未満のものが1万7747トン(前年同月比1.1%減、前月比4.8%増)、果糖含有率50パーセント以上60パーセント未満のものが4万2411トン(前年同月比4.5%減、前月比6.5%減)、果糖含有率60パーセント以上のものが1,729トン(前年同月比15.5%減、前月比8.5%減)であった(図10)。
図10

4.市場の動き

 10月の砂糖の日経相場上白大袋価格は、東京は1キログラム当たり182〜183円、大阪は同183円、名古屋は同186円の水準で推移した。

 日経POSデータの小売店販売価格調査によると、10月の小袋のスーパーにおける全国平均小売価格は、上白糖が1キログラム当たり188.2円(前年同月比3.2円安、前月比1円安)、グラニュー糖が同222.2円(前年同月比1円安、前月比0.3円安)、三温糖が同220.2円(前年同月比2.4円安、前月比1.2円安)であった。上白糖の小売価格を地域別に見ると、最も安かったのは関東外郭(茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県)の同179.3円で、最も高かった中国四国の同207円と比較すると、同27.7円の価格差があった。

 また、東北では同199.5円と前月から同10.2円低下している。これは同地域における特売率が前月の2.7パーセントから5.4パーセントと大幅に増加したことが要因として考えられる。

 10月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京タンクローリーもの)は、1キログラム当たり145円〜146円の水準で推移した。

株式会社東京商品取引所

◎10月中 粗糖商況

 月初1日、新甫11月限は、現物需給の引き締まりを受けてNY市場が上昇したことなどを受け、3,020円上鞘の1トン当たり4万7020円で発会した。これは2011年8月2日の高値4万7520円以来の価格となった。しかし、その後、円がドルに対して上昇し、96円台をつけたことなどから、粗糖相場は4万5100円まで下落した。

 その後中旬にかけて、ブラジルの降雨や、主要輸出ターミナルにおける火災などによる供給逼迫感から、NY市場は上昇を続け、現地時間18日には、一時約1年ぶりの高値20.16ドルをつけた。一方当社市場は、海外のこれらの動きを眺めながらも、為替をにらんだ動きが続き、上値は抑えられ、先限は4万5000円台を維持した。

 下旬は、世界的な供給過剰懸念が再燃したことなどから、NY市場は下落基調で推移し、現地時間31日には、約1カ月ぶりの安値18.26ドルをつけて取引を終了したが、当社市場においては円がドルに対し弱含んだことなどに相殺され、先限は4万5000円台で終了した。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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