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地域だより

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最終更新日:2014年1月22日

平成25年度さとうきび収穫用機械オペレータ養成研修の開催について

2014年1月

 那覇事務所 伴 加奈子
 


  沖縄県では、農家の高齢化や収穫作業の省力化に対応して、ハーベスタによる収穫率が年々上昇している。このような状況を踏まえ、沖縄県農林水産部糖業農産課は、ハーベスタを初めて所有する農家や、経験年数の浅いオペレータなどを対象とし、さとうきび収穫用機械オペレータ養成研修を毎年実施している。今年度は、約30名の参加者を対象とし、平成26年1月7日(火)〜8(水)の日程で基礎研修(座学)および実技研修が行われた。

1.基礎研修

 1日目は、那覇市の沖縄県産業支援センターにおいて、ハーベスタに関する講義が行われた。

 研修会に先立ち、糖業農産課の安田さとうきび班長から、「毎年ハーベスタなど農業機械による事故が起きていることから、研修を通して安全運用のための基礎知識を習得し、運用していく中で作業に慣れていってほしい」とのあいさつがあった。

 講義では、はじめに、糖業農産課から、県内におけるハーベスタ事故について過去の事例紹介があった。事例紹介を通して、機械の安全運用のために、 1)収穫する際は適切な服装で作業すること 2)点検・清掃は必ずエンジンを止めてから実施すること 3)収穫時は必ず補助員を置き、周囲に人がいないか確認すること 4)火災を起こさないようエンジンルームを清掃すること 5)収穫時は風向きなども考慮して実施すること 6)消火器を置くなど火災に備えること 7)横転防止のため傾斜地での移動や機械の積み下ろしに注意すること−などの説明があった。

 続いて、各農業機械メーカーの担当者から、ハーベスタの運用時に注意する点について、保守点検や作業時の安全性の確保など具体的な事項について説明があった。講義の中では「さとうきびの収穫は他の作物と異なり補助員がいることから、より一層気配りをしてほしい」と呼び掛けられた。

 続いて、糖業農産課から、沖縄県における農業機械化の動向について説明があった。沖縄県におけるハーベスタ収穫率(面積当たり)は、年々増加しており、昨年度はついに5割を超えたが、一方で、鹿児島県はハーベスタ収穫率が8割を超えている。沖縄県における「ハーベスタの軽量化」や「オペレータ技能の向上」などを通じた、さらなる機械化一貫作業体系推進の必要性などについて説明があった。

 最後に、沖縄県農業研究センターから、ハーベスタ収穫後の管理作業について、収穫後の株出し管理が遅れた場合の減収についての試験結果などをもとに、「収穫後早期の株出し管理が増産につながる」と呼び掛けられた。このほか、ハーベスタ作業により土壌踏圧が発生することから、プラソイラなどによる心土破砕による土壌改良の重要性などの説明があった。
 

2.実技研修

 2日目は、名護市のさとうきびほ場において実技研修が行われた。

 この日は3つの農業機械メーカーの小型ハーベスタについて、担当者から使用方法や特徴について機種ごとに説明があった後、機種ごとに分かれて実技研修が行われた。受講者はメーカー担当者から作業についての説明を受けながら、それぞれ1〜2畝の刈り取り実習を行った。メーカーごとに特徴が異なることから、受講者は初めて乗る機種について担当者から熱心に話を聞きながら作業を進めていた。

 続いて、株出管理機の実技研修も行われた。株揃え、根切り、施肥、農薬散布など複数の工程が同時に実施できる複合型管理機の実演が行われ、収穫後の早期の株出し管理が呼び掛けられた。
 
 
 ハーベスタの利用は作業効率を飛躍的に向上させる一方で、事故や火災などの危険も高まる。このような研修を通じて、オペレータ一人一人が安全作業に関する理解を深めることで、農作業事故を防止し、また、オペレータの養成により、さとうきびの生産振興につながることを期待したい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713