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地域だより

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最終更新日:2014年2月20日

平成25年度「高品質てん菜づくり講習会」の開催について

2014年2月

札幌事務所 坂上大樹


 2月、大空町、池田町、士別町、洞爺湖町の会場にて、てん菜生産者、糖業および市町村関係者などを対象とした「高品質てん菜づくり講習会」が開催され、4会場で延べ約800人が参加した。本講習会は、一般社団法人北海道てん菜協会が主催し、高品質で安定したてん菜生産を目指し、一層の栽培技術向上に寄与することを目的として毎年2月に開催されているものである。昨年に引き続き、当事務所では、砂糖の価格調整制度の周知を図るため、同協会の協力を得て、価格調整制度の理解を促進するために当機構で作成したクリアフォルダを参加者に配布した。

 本稿では、2月13日(木)に開催された洞爺湖町での講習会の概要を報告する。

 開会に当たり、一般社団法人北海道てん菜協会の丹下専務理事は、「県や関係機関と緊密に連携しながら、てん菜の生産拡大に向けた活動に対する支援に一層努める」と述べ、今後の活動への理解と協力を求めた。次いで、長年にわたり原料てん菜立ち会い業務に従事し、特に功績の優れた方に対する表彰が行われ、丹下専務理事から表彰状および記念品が贈呈された。
 講習会では、まず農林水産省地域作物課の参鍋課長補佐が平成26年度のてん菜生産に関する支援・対策事業の実施についてなどの説明を行い、続いて北海道農産振興課の山根主査が輪作体系の維持や新たな経営所得安定対策について、北海道農業協同組合中央会の鈴木主幹が平成26年産のてん菜の作付指標面積について説明した。次に、北海道立総合研究機構の鴻坂研究主査がてん菜の基本技術の励行と抵糖分対策について、同機構の塚本主査がほ場の排水対策についての講演を行った。

 各説明、講演の概要は以下のとおり。

 農林水産省の参鍋課長補佐からは、前半は、てん菜は、多くの食品に使用される砂糖の原料として供給されるだけでなく、野菜などの栽培に適さない寒冷地での生産者の収入の下支えになっていること、製糖工場のある自治体では関連産業が地域経済をけん引していることなどを説明した。後半は、平成26年度のてん菜生産者に対する支援として、価格調整制度による調整金を一部財源とする経営所得安定対策を柱に、労働力の外部化を進めるための機械リース導入への支援、農業・農村の多面的機能の維持を目的とした日本型直接支払を実施する予定であることを説明した。

 講演後には活発な質疑応答が行われ、さまざまな情報・意見交換を通じて参加者の多くがてん菜生産の重要性を改めて感じていた様子だった。

 北海道の山根主査からは、経営所得安定制度に係るてん菜の交付金単価および基準糖度の見直しによって平成26年産のてん菜の生産に係る収入水準が改善されると説明した。これに加えて、輪作体系下でのてん菜の生産は畑作物全体の収量の安定化につながることなどを説明し、「てん菜の生産に回帰してほしい」と訴えた。

 北海道農業協同組合中央会の鈴木主幹からは、てん菜生産者に対する支援の拡充に向け尽力した関係者に敬意を表するとともに、「その関係者のご尽力に報いるためにも、現場では作付指標面積に基づいて生産拡大を実践してほしい」と訴えた。

 北海道立総合研究機構の鴻坂研究主査からは、病害抵抗性を持った高収量性の品種の開発が進んでいることが紹介された。また、秋期に降水量が多い年は根中糖度が低下する傾向にあることを実際の調査データに基づいて解説し、透水性に劣る地域などでは特にほ場の排水対策に気を配る必要があるという見解を示した。これを踏まえ、同機構の塚本主査からは、有効かつ効果的な表面排水および暗渠(あんきょ)排水の施工方法や低コストで肥料効果の継続も期待できる排水対策として堆肥などの有機物を心土に投入する「カッティングソイラー工法」などが紹介された。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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