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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2014年3月10日

砂糖類の国内需給

2014年3月

調査情報部

1.需給見通し

 農林水産省は、12月に「平成25砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第2回)」を公表した。その概要は以下のとおりである(詳細は2014年1月号参照)。

平成25砂糖年度(10月〜翌9月)の見通し
 

 【砂糖】
 総消費量:204万3000トン(前年度比2.2%増)
 総供給量:198万1000トン(同1.7%減)

 【異性化糖】
 消費量および供給量:80万9000トン(同2.2%減)

 

2.異性化糖の移出動向

1月の移出量は前年同月比6パーセント増加
 2014年1月の異性化糖の移出数量は、5万4831トン(前年同月比6%増、前月比6.4%減)と、前月から減少しているものの、2013年11月以降、 3カ月連続で前年同月比を上回る水準となった(図1)。これは、2013年11月に異性化糖の市中価格が1キログラム当たり3円程度下落したことが影響していると考えられる。2014年2月に異性化糖の市中価格が、さらに同2円程度下落していることから、需要期に向けて今後の移出量の動向が注目される。

 規格別の移出量は、果糖含有率40パーセント未満のものが298トン(前年同月比9.2%減、前月比28.6%減)、果糖含有率40パーセント以上50パーセント未満のものが1万6167トン(前年同月比7.4%増、前月比4.4%減)、果糖含有率50パーセント以上60パーセント未満のものが3万6729トン(前年同月比6.1%増、前月比7.1%減)、果糖含有率60パーセント以上のものが1,637トン(前年同月比3.1%減、前月比2.5%減)であった(図2)。
 

3.輸入動向

【分蜜糖の輸入動向】
12月の輸入価格は、4万8506円と3カ月連続の上昇

 財務省「貿易統計」によると、2013年12月の分蜜糖の輸入量は、12万2906トン(前年同月比0.4%増、前月比16.9%減)となった(図3)。輸入先国は、豪州、南アフリカ、フィリピン、タイ、米国の5カ国であった。

 同月における国別の輸入量を見ると、豪州が6万6977トン(前年同月比25.6%減、前月比25%減)と最も多く、2013年8月以降5カ月連続で首位となった。次いで、南アフリカが2万9980トン(前年同月、前月輸入実績なし)、フィリピンが2万341トン(前年同月比128.2%増、前月輸入実績なし)、タイが5,584トン(前年同月比76.3%減、前月比90.5%減)、米国が24トン(前年同月比省略注、前月比242.9%増)と、タイからの輸入量が大幅に減少した(図4)。

 2013年の分蜜糖の輸入量は、138万2554トンで前年比1.7パーセントの減少となり、2年連続で前年輸入量を下回る結果となった(図5)。輸入先国は、タイ、豪州、フィリピン、グアテマラ、南アフリカ、米国の6カ国であった。

 同年における国別の輸入量を見ると、タイが70万1626トン(前年比14.9%減)と最も多く、6年連続で首位となった。次いで豪州が44万9408トン(同5%減)、フィリピンが11万1447トン(同161.5%増)、南アフリカが5万9989トン(同100.2%増)、グアテマラが5万9917トン(同62.3%増)であった。輸入量に占める各国のシェアを見ると、タイが50.7パーセント(同7.9ポイント減)で最も高く、次いで豪州が32.5パーセント(同1.1ポイント減)、フィリピンが8.1パーセント(同5.1ポイント増)、南アフリカが4.3パーセント(同2.2ポイント増)、グアテマラが4.3パーセント(同1.7ポイント増)となった。主要輸入先国であるタイと豪州のシェアが低下する一方で、フィリピン、南アフリカ、グアテマラが昨年に比べ、シェアを伸ばす結果となった。

 注:2013年12月の米国からの輸入量が1トンとわずかであったため、数量の推移を見るのに適当ではないため、前月比は省略する。
 
 
 2013年12月の1トン当たりの輸入価格は、4万8506円(前年同月比6.5%高、前月比3.7%高)と、10月から3カ月連続で前年同月および前月を上回る水準で推移した(図6)。12月の国別の1トン当たりの輸入価格は、豪州が4万8604円(前年同月比7.3%高、前月比1.6%高)、南アフリカが4万9945円(前年同月、前月輸入実績なし)、フィリピンが4万6263円(前年同月比0.1%安、前月輸入実績なし)、タイが4万7253円(前年同月比2.3%高、前月比4.6%高)、米国が17万2042円(前年同月比16.9%安、前月比55%安)であった。

 2013年の1トン当たりの輸入価格は、4万5744円(前年比2.8%安)であった(図7)。輸入価格は、2011年の同6万273円をピークに2012年以降低下しているが、2013年10月以降の輸入価格が前年を上回る水準で推移しており、2014年1月以降の動向が注目される。
 
【含蜜糖の輸入動向】
12月の輸入価格は、前月比47.8パーセント高の15万3886円

 財務省「貿易統計」によると、2013年12月の含蜜糖の輸入量は、482トン(前年同月比3.9%増、前月比101.7%増)と前月から大幅に増加した(図8)。輸入先国は、ブラジル、ボリビア、中国、タイ、フィリピンであった。国別の輸入量を見ると、ブラジルが190トン(前年同月比増減なし、前月輸入実績なし)と最も多く、次いで、ボリビアが172トン(前年同月比増減なし、前月比3.4%減)、中国が80トン(前年同月比100%増、前月比100%増)、タイが21トン(前年同月増減なし、前月比増減なし)、フィリピンが19トン(前年同月比53.7%減、前月輸入実績なし)であった(図9)。ブラジルからの輸入は、2013年1月以来となった。

 2013年の含蜜糖の輸入量は、1万1102トンと前年比で1.2パーセントの減少となった(図10)。国別の輸入量を見ると、タイが4,974トン(前年比14.9%増)と最も多く、次いで中国が4,357トン(同13.7%減)、ボリビアが1,315トン(同15.5%増)、ブラジルが209トン(同42.1%減)、フィリピンが195トン(同29.6%減)となった。2011年から2年連続で中国が首位であったが、タイが2010年以来となる首位となった。また、ボリビアからの輸入量は、過去5年間で最大となった。
 
 12月の1トン当たりの輸入価格は、15万3886円(前年同月比30%高、前月比47.8%高)であった(図11)。国別の1トン当たりの輸入価格は、ブラジルが22万558円(前年同月比30.8%高、前月輸入実績なし)、ボリビアが10万5424円(前年同月比19.8%高、前月比0.6%安)、中国が10万8025円(前年同月比15.1%高、前月比3.8%安)、タイが9万667円(前年同月比18%高、前月比2.9%高)、フィリピンが18万8842円(前年同月比19.6%高、前月輸入実績なし)であった。輸入価格の高かったブラジルからの輸入量が多かったため、12月の1トン当たりの輸入価格は、前月から大幅に上昇した。

 2013年の1トン当たりの輸入価格は、10万9988円(前年比19.8%高)であった(図12)。含蜜糖の輸入価格は、2004年以降、上昇傾向で推移しており、2013年の輸入価格は過去10年間における最高額となった。
 
 
【加糖調製品の輸入動向】
2013年の加糖調製品の輸入量は、前年からわずかに減少

 財務省「貿易統計」によると、2013年12月の加糖調製品の輸入量は、4万6751トン(前年同月比5%減、前月比2.3%減)であった(図13)。品目別の輸入量は、ソルビトール調製品が9,988トン(前年同月比13.9%増、前月比2.7%増)と最も多く、次いで、ミルク調製品が9,508トン(前年同月比23.7%減、前月比9.7%減)、ココア調製品が8,987トン(前年同月比1.9%増、前月比18.1%増)、その他調製品が7,104トン(前年同月比7.1%増、前月比2.6%減)となった。ミルク調製品の輸入量は、2011年1月以来となる1万トンを下回る水準となった。

 2013年の加糖調製品の輸入量は、56万1578トン(前年比1.1%減)であった(図14)。品目別の輸入量は、ミルク調製品が14万6068トン(同3.9%増)と最も多く、ソルビトール調製品が11万3836トン(同1.5%減)、ココア調製品が8万7783トン(同6.6%減)、その他調製品が8万1769トン(同3.6%増)、調製した豆(加糖あん)が7万3018トン(同3.2%減)、穀粉調製品が5万8598トン(同7%減)、コーヒー調製品が505トン(同34.5%増)であった。コーヒー調製品の輸入量は、2008年以降、100トン台で推移していたが、2012年には376トン、2013年には505トンと近年増加傾向にある。
 

4.市場の動き

 1月の砂糖の上白糖大袋価格(日経相場)は、東京は1キログラム当たり185〜186円、大阪は同186円の水準で推移した。名古屋は同189円の水準で推移した。

 日経POSデータの小売店販売価格調査によると、1月の小袋のスーパーにおける平均小売価格は、上白糖が1キログラム当たり186円(前年同月比3.3円安、前月比0.3円安)、グラニュー糖が同221.5円(前年同月比0.9円安、前月2.3円安)、三温糖が同222.4円(前年同月比2.5円高、前月比1.7円高)であった。上白糖の小売価格を地域別に見ると、最も安かったのは関東など(茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県)の同180円で、最も高かった中国四国の同207円と比較すると、同27円の価格差があった。関東などでは前月から同12.8円の上昇があったため、両地域における価格差は前月の同39.8円から縮まった。

 1月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京、タンクローリーもの)は、1キログラム当たり142円〜143円の水準で推移した。

株式会社東京商品取引所

◎1月中 粗糖商況

 上旬、世界的な供給過剰や世界第二位の生産国であるインド政府による砂糖輸出奨励案の浮上などを背景にNY市場が下落したこと、また、年明けに為替相場が円高に転じたことなどを受け、当社市場は4万3000円台で推移した。

 中旬においても、ブラジルのサトウキビ産業協会(UNICA)が発表した2013年12月末時点での同国砂糖生産高が記録的な高水準であったことや、同国における圧搾作業が好調であることなどを受け、NY市場は軟調に推移したものの、当社市場では20日、円相場の円高が一服し、104円台で推移していたことなどから上昇し、一時4万5000円台をつけた。

 下旬は、上旬から中旬の下落基調を引き継いで、NY市場では中心限月が約3年7カ月ぶりに15セントを割り込む水準となったことや、円相場が再び円高傾向となり、102円台をつけたことなどから当社市場も下落基調に転じ、4万2500円で取引を終了した。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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