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3.世界の需給に影響を与える諸国の動向 (2014年4月時点予測)

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最終更新日:2014年5月9日

3.世界の需給に影響を与える諸国の動向 (2014年4月時点予測)

2014年5月

ブラジル

 
【生産動向】
干ばつが続いている主要生産地域にエルニーニョ現象発生の予測

 2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、889万ヘクタール(前年度比4.8%増)と増加が見込まれている(表2)。また、サトウキビの新植停滞から低下していた単収は、前年度から1ヘクタール当たり4.1トン増の73.5トンとやや改善の見込みである。このため、サトウキビ生産量は6億5380万トン(同11.0%増)と前年度から増加の見込みである。一方、砂糖生産量は3930万トン(粗糖換算、前年度比2.3%減)が見込まれているが、前年度から減産見込みとなった要因は、サトウキビが増産となる中で砂糖仕向け量が前年度の49.6パーセントから4.4ポイント減少し、45.2パーセントとなったことにある。

 サトウキビ産業協会(UNICA)の3月16日報告によると、サトウキビ生産量の9割を占める中南部地域のサトウキビ生産量は、5億9660万トン(前年度同期比12.0%増)と、前年同期からかなりの増加となったが、砂糖生産量は3429万3000トン(同0.6%増)と前年度同期から微増となっている。これは、同時点での1トン当たりの回収糖分の値(Total Reducing Sugar)が、前年度135.6キログラムから2.2キログラム減少し133.4キログラムとなったことなどが要因である。一方、サトウキビ生産量の1割を占める北東部地域の生産量は、5210万トン(同5.4%減)となり、砂糖生産量は300万トン(同26.8%減)と大幅に減少している。同地域では、通常9月から5月までが製糖期となっているが、経営不振を理由に今年度の製糖を既に終了している工場がでてきていることが砂糖減産の要因の一つとされている。

 干ばつ傾向が続いている中南部地域の3カ月間(12月〜翌年2月)の降水量は、340ミリメートルと平年の半分近くとなった。現地では、2013年末以降に植え付けが行われたサトウキビへの影響は深刻であり、単収が1ヘクタール当たり10トン近くも減少が見込まれる地域もあるとしている。また、今年6月〜8月にエルニーニョ現象の発生が予測されており、発生すれば現在の干ばつ被害に加え、北東部地域でも干ばつが発生することとなり、サトウキビ生産への影響が懸念されている。そのため、一部の製糖工場では、製糖期を前倒し、乾燥が続いている3月から2014/15年度の生産を始めているところもある。
 
 一方、砂糖の減産見込みにより、2013/14年度の輸出量は2707万トン(粗糖換算、前年度比0.6%減)と前年度から減少の見通しである。なお、好調な中国の需要を背景に在庫の取り崩しが行われ、前月予測である2630万トンと比較すれば、今月予測は77万トンの上方修正となった。
 
【業界動向】
カーギル社とコーペルスーカル社、砂糖分野で合弁企業設立

 3月末、カーギル社(米国資本)とコーペルスーカル社(ブラジル資本)はブラジル産粗糖と白糖の取引を行うため、両社が50パーセントずつ出資し、新たに合弁企業(ジョイントベンチャー)を設立することについて、両社が発表したとブラジル地元紙は伝えた。スイスのジュネーブに本社を置き、香港、サンパウロ、マイアミ、デリー、モスクワ、ジャカルタ、上海、バンコク、ドバイに支社を配置することとしている。これにより、コーペルスーカル社がブラジル産砂糖を購入するため、カーギル社はその費用を負担することなく、砂糖の交易をすることができる。一方、コーペルスーカル社はカーギル社のマーケティングのノウハウを得ることができるとしている。

インド

 
【生産・消費動向】
収穫面積の減少や製糖開始の遅れにより、2013/14年度砂糖生産量は減少見込み

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、496万ヘクタール(前年度比6.2%減)と見込まれている(表3)。収穫面積の減少により、サトウキビ生産量は前年度から減少が見込まれており、3億5212万トン(同4.9%減)とされている。一方、砂糖生産量は、サトウキビの減産見込みと、政府が発表したサトウキビ適正価格を上回る州政府の勧告価格に対し、州政府と製糖工場との話し合いが長期化したことで、製糖開始の遅れから2600万トン(粗糖換算、同4.9%減)と前年度から減少見通しとなった。

 インド砂糖製造協会(ISMA)の最新の報告では、3月末までの同年度砂糖生産量は2150万トン(白糖換算、前年度同期比9.3%減)と前年度同期から減少している。同日までの主要生産州の砂糖生産量は、マハラシュトラ州で701万トン(白糖換算、同11.3%減)、ウッタルプラデーシュ州で580万トン(白糖換算、同13.4%減)とかなり大きく減少した。ウッタルプラデーシュ州の減産は、サトウキビの単収が低水準となっていることに加え、含みつ糖ジャッガリーの原料であるココナッツヤシへの生産に転換していることが主な要因とされている。

 一方、2010/11年度以降、堅調に推移している同国の砂糖消費量は、2013/14年度は2609万トン(粗糖換算、前年度比2.1%増)が見込まれており、4年ぶりにわずかながら消費量が生産量を上回る見通しである。
 
【消費・貿易・政策動向】
インド輸出促進のための補助金政策、各国は強く非難

 2013/14年度のインドの砂糖輸出量は、国内需給の緩和に伴う市場価格下落を抑制するため、150万トン(粗糖換算、同29.4%増)と前年度から大幅な増加が見込まれている。2013年10月から翌年1月までの粗糖・白糖輸出量は、99万2200トン(前年同期比205%増)と前年同期から大幅に増加しており、主要輸出先はスーダン、イラン、アラブ首長国連邦であった(図3)。なお、インド政府は、既に2月と3月の砂糖輸出に対し、1トン当たり3,333インドルピー(6266円、1インドルピー=1.88円)の輸出補助金の交付を承認していることから、さらなる輸出量の増加が予測されている。一方、ブラジル、豪州、コロンビア、EU、パラグアイ、タイ、エルサルバドル、カナダ、米国、パキスタン、ニュージーランド各国は3月21日、インドが実施している輸出補助金について、世界貿易機関(WTO)協定違反であるとして連名で同国政府に強い非難を打ち出している。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, April 2014”  
注:3月末日TTS相場
 
 

中 国

 
【生産・消費動向】
てん菜糖生産量は減少するも、2013/14年度砂糖生産量は増加見込み

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、200万ヘクタール(前年度比3.5%増)と前年度から拡大し、サトウキビ生産量は1億3185万トン(同3.5%増)と増産することが見込まれている。このため、国内砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖生産量は1390万トン(粗糖換算、同6.8%増)の見通しである(表4)。一方、てん菜収穫面積は31万ヘクタール(同3.7%増)、てん菜生産量は1304万トン(同3.5%増)と増産が見込まれているものの、てん菜糖生産量は 79万4000トン(同32.7%減)と前年度から大幅な減産見通しとなっている。この減産要因は、低水準の糖度による歩留まり低下(前年度の9.4%から3.3ポイント低下し、6.1%)が挙げられている。この結果、今年度の同国全体の砂糖生産量は、1469万トン(粗糖換算、同3.5%増)と見込まれている。

 一方、飲料、乳製品、キャンディーなどの需要拡大から堅調に推移している砂糖の消費量について、2013/14年度は1620万トン(粗糖換算、前年度比2.8%増)と見込まれている。中国では、1人当たりの年間砂糖消費量は11キログラムと、米国、EUなど主要先進国の半分程度となっている。特に、大都市以外の地方では同2キログラム未満とされていることから、今後のさらなる砂糖需要の拡大が予測されている。
 
【貿易・政策動向】
2013/14年度上半期の輸入量は前年度同期から大幅増

 2013年10月から翌年3月までの粗糖・白糖輸量は248万4000トン(前年同期比96.3%増)となり、主な輸入先はブラジル、キューバ、韓国であった(図4)。今年度の輸入量は、砂糖需給の緩和に伴い国内在庫がだぶつき気味であることから前年度からの大幅な減少が予測されたものの、今年度上半期の輸入量が前年同期の2倍近くとなっていることから、330万トン(粗糖換算、同10.5%減)と予測されている。現在、国内砂糖市場価格は下落しているものの、砂糖備蓄プログラムによる市場隔離措置などの一時的な効果から、近隣諸国よりも砂糖価格は高水準である。このため、特に中国南部からの密輸が増加しているとされており、税関当局は農業省、中国国家発展改革委員会(NDRC)、商務省、検疫支局と連携し、密輸を取り締まっていく姿勢を示している。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, April 2014”
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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