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4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2014年6月時点予測)

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最終更新日:2014年7月10日

4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2014年6月時点予測)

2014年7月

ブラジル

 
【生産・貿易動向】
新年度サトウキビ生産の遅れは解消されつつも、資金繰り難により製糖は依然低迷

 2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、889万ヘクタール(前年度比4.8%増)と増加が予測されており、同年度のサトウキビ生産量は6億5380万トン(同11.0%増)と前年度から増産見込みとなっている。サトウキビが増産となる一方、サトウキビの砂糖仕向け割合が、前年度の49.6%から8.0ポイント減の、41.6%となったことにより、砂糖生産量は3950万トン(粗糖換算、前年度比1.8%減)と微減見込みである(表2)。

 ブラジル国内の砂糖生産の減産が見込まれることで、2013/14年度の輸出量は2705万トン(粗糖換算、同0.7%減)と、前年度から微減の見通しである。
 
 国際砂糖機関(ISO)は6月、2014/15年度のブラジルの砂糖およびエタノールの生産見通しを発表した。これによると、砂糖生産は3700万トン、エタノール生産量は2750万キロリットルと、両品目ともに前年度から減少する見通しである。2014/15年度の減産は、2014年1月以降の干ばつの影響により、主産地の中南部地域のサトウキビ単収が、1ヘクタール当たり80トン未満となっていることが主な要因としている。

 このような見通しの中、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は、5月末までの2014/15年度製糖実績報告を発表した。これによると、サトウキビ生産量の9割を占める中南部地域の砂糖生産量は543万9000トン(粗糖換算、前年度同期比3.6%減)と前年度同期からやや減少となっている。5月に入り2014/15年度製糖開始の遅れが改善され、サトウキビ生産量は、前年並みとなっている中で、砂糖仕向け割合は前年度同期から0.7ポイント減の40.9%となったことから砂糖生産量は減少する一方、エタノール生産量は483万キロリットル(同0.8%減)と、前年度同期水準をほぼ維持している。また、砂糖生産量の減少は製糖工場の資金繰り難にも起因しており、5月中旬時点の製糖工場稼働数は249カ所(前年同時期は268カ所)となっている。

資料:Agra CEAS Consulting 「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, June 2014」、「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE AND POLICY TREND ANALYSIS, June 2014」、UNICA「Harvest update Bi-weekly bulletin」
 

インド

 
【生産・消費動向】
2013/14年度砂糖生産はほぼ終了

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、497万ヘクタール(前年度比6.0%減)と減少が見込まれている。収穫面積は減少するものの、サトウキビ生産量は3億7349万トン(前年度比0.9%増)とされている。サトウキビ生産量は前年度とほぼ同水準となっているものの、歩留まりの低下により、砂糖生産量は2600万トン(粗糖換算、同4.9%減)と、前年度から減少見通しとなった(表3)。なお、国内砂糖生産量の7%を占めるタミル・ナードゥ州の20製糖工場以外、2013/14年度の製糖は終了している。

 インド砂糖製造協会(ISMA)の最新の生産報告によると、5月15日までの同年度の砂糖生産量は2390万トン(白糖換算、前年度同期比3.2%減)と、前年度同期よりも減少している。同日までの主要生産州の砂糖生産量は、マハラシュトラ州で770万トン、ウッタルプラデーシュ州で645万トン、カルナータカ州で410万トンであった。

 一方、2010/11年度以降、堅調に推移している同国の砂糖消費量は、2013/14年度は2609万トン(粗糖換算、前年度比2.1%増)と、前年度から引き続き増加が見込まれており、国内砂糖生産量が減少することから、4年ぶりにわずかながら消費量が生産量を上回る見通しである。
 
【政策動向】
新政権は、前政権の砂糖政策を受け継ぐもよう

 6月の総選挙で新大統領が誕生したインドでは、ラムヴィラス食品大臣が引き続き、国内砂糖価格の下落抑制のための砂糖輸入関税引き上げ(15%→40%)や、製糖工場のサトウキビ農家に対する支払い遅延解決に取り組むことを発表した。インドでは、1100億インドルピー(2079億円:1インドルピー=1.89円(注))の農家に対する支払い遅延があるとされている。また、今年2月から行っている輸出促進のための補助金政策について、補助金額を1トン当たり3300インドルピー(6237円)から、4月には同2277インドルピー(4304円)に引き下げていたが、今後、再び同3300インドルピーへの引き上げを検討するとしている。さらに、政府は、昨年12月に承認していた製糖工場に対する660億インドルピー(1247億円)の無利子融資について、440億インドルピー(832億円)の追加を検討している。

資料:Agra CEAS Consulting 「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, June 2014」、「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE AND POLICY TREND ANALYSIS, June 2014」、ISMA、ISO「Market Report & Press Summary」
(注)5月末日TTS相場
 

中国

 
【生産・消費動向】
2013/14年度砂糖生産は終了

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、197万ヘクタール(前年度比1.9%増)と前年度から拡大し、サトウキビ生産量は1億2975万トン(同1.9%増)と増産が見込まれている。このため、国内の砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖生産量は1390万トン(粗糖換算、同6.8%増)の見通しである(表4)。一方、てん菜収穫面積は18万ヘクタール(同39.3%減)、てん菜生産量は778万トン(同32.7%減)と大幅な減産見通しとなっていることから、てん菜糖生産量も79万4000トン (同32.7%減)と、前年度から大幅な減産見通しとなっている。この結果、今年度の同国全体の砂糖生産量は、1469万トン(粗糖換算、同3.5%増)と見込まれている。

 一方、需要拡大から堅調に推移している同国の砂糖消費量については、2013/14年度は1620万トン(粗糖換算、同2.8%増)と見込まれている。
 
 中国砂糖協会(CSA)は、2013/14年度の製糖終了と同時に、同年度の製糖実績を報告した(表5)。これによると、砂糖生産量1331万8000トン(白糖換算、前年度比2.0%増)のうち、甘しゃ糖生産量は1257万1700トン(白糖換算、同5.0%増)、てん菜糖生産量は74万6300トン(白糖換算、同31.2%減)となった。
 
資料:Agra CEAS Consulting 「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, June 2014」、「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE AND POLICY TREND ANALYSIS, June 2014」、CSA
 
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