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地域だより

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最終更新日:2014年7月17日

平成26年度与論町さとうきび生産振興大会の開催

2014年7月

鹿児島事務所 所長 星 英幸
 


 平成26年7月3日(木)、鹿児島県大島郡与論町の与論町地域福祉センターにおいて、与論町さとうきび生産振興大会(主催:与論町糖業振興会、共催:奄美群島糖業振興会、南大島農業共済組合、以下「生産振興大会」という)が開催された。  

 生産振興大会には、与論町の生産農家、糖業関係者、JAおよび行政関係者など約150名が参加した。
「さとうきび増産」の鉢巻きを締め、講演に耳を傾ける生産農家の皆さま
「さとうきび増産」の鉢巻きを締め、講演に耳を傾ける生産農家の皆さま
 与論島における平成25/26年期のさとうきび・甘しゃ糖の生産実績は、昨年、一昨年と記録的な不作の影響により春植用の種苗が不足したことなどから、収穫面積は414ヘクタール(前年比85%)、生産量は1万6080トン(同75%)となり、10アール当たり収量は3886キログラム(平年比77%)であった。生産量は昭和40年以降で最も少なく、10アール当たり収量も鹿児島県における島別で最も少ないなど、干ばつ、台風の影響を最も受けた。これらの影響により、与論島製糖株式会社の産糖量は、原料となるさとうきびの品質が低迷し1716トンとなり、大変厳しい状況が続いている。

 このような年を終えて、生産振興大会では、あまみ農業協同組合与論事業本部の竹井富雄専務理事が「平成19年産以降、収穫面積が500ヘクタールを割り込む状態が続いており、このままでは製糖会社の経営も成り立たず、与論島からさとうきびが消滅する恐れがあり大変危惧している。作付面積500ヘクタール以上の確保や単収向上をいかに図っていくか、一人ひとりの農家が真剣に考えてもらいたい。国のさとうきび増産基金を活用しつつ、さとうきびの増収に向けて、今こそ一致団結して取り組んでいこう」と力強く生産者に呼び掛けた。
あまみ農業協同組合与論事業本部の竹井富雄専務理事あいさつ
あまみ農業協同組合与論事業本部の竹井富雄専務理事あいさつ
 また、来賓のあいさつとして、鹿児島県大島支庁の芝敏晃農林水産部長に次いで、当機構の安孝弘特産調整部長から「与論島におけるさとうきび生産を取り巻く情勢は大変厳しい状況にあるが、国によるさとうきび増産基金が措置されているほか、当機構の実施する経営安定対策においては、平成26年産の生産者への交付金単価について、平成25年産の1トン当たり1万6320円から、1万6420円に100円引き上げられることになっている。心をひとつにして関係機関一体となって面積拡大に取り組んでいただきたい」との応援メッセージが送られた。

 なお、当機構の星英幸鹿児島事務所長が「我が国の砂糖をめぐる事情〜与論島のさとうきびが消費者に届くまで〜」と題し、砂糖の価格調整制度の仕組みなどについて解説した上で、「与論島において砂糖産業が成り立つことは、砂糖の供給基地として重要であるばかりでなく、雇用を生み、地域経済を支えることにより、国土保全に大きく貢献している」との情勢報告を行った上で、会場内にパネルなどを掲示し、砂糖の価格調整制度の周知・浸透に取り組んだ。
安孝弘特産調整部長の応援メッセージ
安孝弘特産調整部長の応援メッセージ
星英幸鹿児島事務所長の情勢報告
星英幸鹿児島事務所長の情勢報告
当事務所の掲示した砂糖パネルに見入る生産農家の皆さま
当事務所の掲示した砂糖パネルに見入る生産農家の皆さま
 続いて、与論島製糖株式会社の池田一彌常務取締役事業所長から情勢報告があり、製糖会社の使命として、生産農家の汗水の結晶であるさとうきびを完全な形で原料糖を安定的に製造・出荷することであると説明した上で「台風・干ばつの影響を受け3年連続の不作が続き、この島に砂糖産業が存続していけるかどうか、かつてない存亡の危機に直面している。先祖が長い歴史をかけて防災作物として選択したさとうきびに対して、どのように向き合わなければならないのか、島民全体で真剣に考える時である。かつての、さとうきび全盛時代を取り戻すため、今こそ地域のリーダーを核として増産に向けて立ち上がろう」と、力強く呼び掛けた。
与論島製糖株式会社の池田一彌常務取締役事業所長の情勢報告 
与論島製糖株式会社の池田一彌常務取締役事業所長の情勢報告 
 次に鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場の馬門克明主任研究員より「株出し栽培の安定生産に向けて〜機械化体系に対応した栽培法〜」と題し講演が行われ、株出し栽培の萌芽・収量を安定させるためには、 1)ハーベスタ収穫後の株揃えやハカマの除去により萌芽数を確保すること、 2)植溝深さを30センチメートル程度確保し最終培土を行うことで収穫後の土中茎長を15センチメートル以上確保すること、 3)施肥基準の遵守や生育初期の堆肥の条施用、並びに農薬の効果的な利用により株を健全に育てることが重要であるとまとめた。また、南大島農業共済組合の瀧正範氏より「さとうきび共済制度について」と題した説明が行われ共済加入を呼び掛けた。
鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場の馬門克明主任研究員の講演 
鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場の馬門克明主任研究員の講演 
 最後に、大会スローガンが宣言され、関係者一体となって生産回復に向けて取り組んでいくことを確認し、JAあまみ与論事業本部の永井弘さとうきび部会長のあいさつをもって閉会となった。

【平成26年度大会スローガン】
発声:原田治彦氏(4Hクラブ会長)

● 夏植の植付で、さとうきびの面積を拡大しよう。
● さとうきび作付面積500ヘクタール以上確保し生産量を増やそう。
● さとうきび共済加入率70パーセント以上達成をみんなで取り組もう。
● 適期のかん水を徹底しさとうきびの増収に取り組もう。

与論町議会の供利泰伸環境経済建設委員長の発声によるがんばろう三唱
与論町議会の供利泰伸環境経済建設委員長の発声によるがんばろう三唱
JAあまみ与論事業本部の永井弘さとうきび部会長のあいさつ
JAあまみ与論事業本部の永井弘さとうきび部会長のあいさつ
 与論島をはじめ鹿児島県南西諸島では3年連続して大変厳しい気象条件下でのさとうきび栽培を強いられたが、これにくじけることなく、引き続き生産農家、糖業関係者および各関係機関のご尽力により、来期こそは天災のない豊作の年となるよう祈念するとともに、当機構としても、生産農家の方々が安心してさとうきびを作ることができるよう、その経営の安定に資するため、今後も交付金の交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713