砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 地域だより > 地域だより

地域だより

印刷ページ

最終更新日:2014年8月1日

平成26年度喜界町糖業振興会ならびに喜界町さとうきび価格対策協議会総会の開催について

2014年8月

鹿児島事務所 所長 星 英幸
 


 平成26年7月17日(木)、鹿児島県大島郡喜界町の喜界町自然休養村管理センターにおいて、喜界町糖業振興会(会長・川島健勇喜界町長、以下「糖業振興会」という)の第50回目の節目となる総会が開催された。総会には、喜界町の生産農家、糖業関係者、JAおよび行政関係者など約200名が参加し、総会冒頭に事務局より「糖業振興会は昭和39年2月に第1回を開催し、本日、節目の第50回目の総会となる。国際情勢など厳しい中であるが、今後も本町農業の柱として安定した農業経営を推進するための基幹産業と位置付け、さとうきび生産者の維持・確保に努めて参りたい」と高らかに開会宣言が行われた。
 
 喜界島における平成25/26年期のさとうきび・甘しゃ糖の生産実績については、昨年、一昨年と記録的な不作の影響により生産農家の作付け意欲が減退したことなどから、鹿児島県南西諸島では軒並み収穫面積が減少する中、喜界島では1290ヘクタール(前年比101%)と収穫面積増を達成している。生産量は8万797トン(同139%)となり、10アール当たり収量は6263キログラム(平年比97%)であった。これは奄美各島では昨夏、梅雨明け以降の少雨により長期にわたり干ばつとなったが、同町ではいち早くさとうきび干ばつ対策本部を設置し、さとうきび生産農家をはじめ、町、JA、糖業者など関係機関一体となったかん水の実施が功を奏したことはもちろんのことであるが、国営かんがい排水事業により整備された地下ダムの水の恩恵を受けたことにより、多くのほ場で被害が軽減されたことが大きいと関係者はみている。この結果、生和糖業株式会社の産糖量は、109日間の操業を終え、1万74トン(前年比140%)と昨年、一昨年を上回る生産水準に回復した。

 総会で、喜界町糖業振興会会長の川島健勇喜界町長は「さとうきびは、さとうきび生産農家の台所を支え、ひいては本町の経済をも支える大変重要な作物であるが、鹿児島県南西諸島におけるさとうきび共済加入率は本町が最も低い。スローガンに掲げているとおり、是非、同共済に全戸加入するようお願いしたい。また、過去には地下ダムの無い時代に10アール当たり9トンを取っていた実績がある。当時の先人達の苦労に思いをはせ、今一度、土づくり、適期肥培管理を励行し、単収向上に向けて一致団結して取り組んでいこう」と生産者に力強く呼び掛けた。
 
 次に、平成25/26年期のさとうきび生産実績に基づき表彰式が行われ、 1)優秀農家、 2)高生産の部、 3)高単収の部、 4)増産の部、 5)75歳以上さとうきび栽培従事者、 6)生和糖業株式会社賞の表彰が行われた。
 
 
 来賓のあいさつとして、喜界町議会の中島智一議長(青山春男副議長代読)より「さとうきびは島の基幹産業として常に本町の経済をリードし、生産農家のみならず町民生活の安定に貢献してきた。こうした中、喜界町農業を取り巻く情勢はTPP交渉などの影響で先が見えない不透明な状況にあるが、今後とも生産農家の皆さんが安心して農業が継続できるよう環境整備に尽力して参りたい。さとうきび増産に向けた目標・計画に基づき、生産農家をはじめ関係機関一体となって取り組まれ、増収への仕組み作りの効果が発揮されるよう期待している」と述べられた。
 
 続いて、平成26年度の事業計画、収支予算などが審議され承認された。次に喜界町産業振興課の栄常光課長より「今後の産業振興および農業共済について」と題した報告が行われ、今後の喜界町の産業振興の方向性について、新たな水資源対策を行う上では、さとうきびを中心としつつも、園芸作物、畜産も伸ばしていかなければならないため、町単独補助事業で平張ハウスや園芸振興などの資材補助を行っている旨の紹介があったほか、後継者不足、少子・高齢化に伴う農家戸数の減少が他の奄美の島々と比べて進んでいるという危機的状況であり、本町営農支援センターを活用した研修制度の充実や将来的には人・農地プランを活用した農地流動化の促進を図り、農地の集積を推進して参りたいと述べた。さらに、他の島と比べ加入率の低いさとうきび共済について、先ずは喜界島のさとうきび生産をけん引する農家のリーダーから積極的に加入するよう強く呼び掛けた。

 【平成26年度事業計画における取組事項】
  • 栽培基準の遵守および適期肥培管理の励行
  •  土づくり対策
  •  春植・株出面積拡大による増産
  •  病害虫防除対策
  •  機械化一貫体系確立による省力化の推進
  •  優良品種種苗の普及並びに地域に適した優良品種への更新
  •  一芽苗・有機物堆肥を活用した単収向上
  • 作業受委託体制の整備および推進
  •  さとうきび共済の加入
  •  新規就農者の育成
 
 糖業振興会総会に引き続き、喜界町さとうきび価格対策協議会(事務局:あまみ農業協同組合喜界事業本部)の総会も同センターで開催された。この中で当機構の津垣修一総括調整役から、これまで過去2回にわたり国において砂糖類行政に携わった経験を披露した上で「砂糖は国民の摂取カロリー全体の約8%を供給している。このことだけでも大変重要な品目であるが、それに加えて、さとうきびは単一の品目で各島の地域経済を維持・発展させていく力を持った作物であり、砂糖類行政を過去において担当でき、また、機構においてこのように関わることができ、大変幸運だと思っている。わが国を取り巻く情勢が変化する中、鹿児島県南西諸島、沖縄県のさとうきび生産をいかに維持・発展させていくかについては今まで以上に重要な課題である。そういう意味でもさとうきびを作ることの意義が今まで以上に大きくなっていくと考えている。こうした中、国によるさとうきび増産基金が措置されているほか、当機構の実施する経営安定対策においては、平成26年産の生産者への交付金単価について、平成25年産の1トン当たり1万6320円から、1万6420円に100円引き上げられることになっている。さとうきび生産農家、関係機関一体となって、誇りをもって、さとうきび生産に引き続き取り組んでいってもらいたい」との応援メッセージが送られた。
 
 喜界島をはじめ鹿児島県南西諸島では3年連続して大変厳しい気象条件下でのさとうきび栽培を強いられたが、これにくじけることなく、引き続き生産農家、糖業関係者および各関係機関のご尽力により、来期こそは天災のない豊作の年となるよう祈念するとともに、当機構としても、生産農家の皆さまが安心してさとうきびを作ることができるよう、その経営の安定に資するため、今後も交付金の交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713