沖縄県における平成25年産さとうきびの生産状況について

沖縄県農林水産部糖業農産課

　沖縄県における平成25年産のさとうきび生産は、収穫面積については前年産を下回る1万2535ヘクタールとなったものの、単位当たり収量の増加により、生産量は68万2794トンと前年産を上回る実績となった。分みつ糖工場の原料処理量は、前年産を上回る63万1077トンであった一方、含みつ糖工場については、前年産を下回る5万1717トンとなった。

　沖縄県における平成25年産のさとうきびは、本土復帰以後の最低生産となった平成23年産に対して、平成24年産に引き続き回復傾向となっているものの、梅雨以降の記録的な少雨および10月に相次いで襲来した台風や、メイチュウ類（イネヨトウ）の被害などにより、単位当たり収量（以下「単収」という）、生産量ともに回復には至っていない。

　沖縄県におけるさとうきびは、県全体の農家数の約7割、耕地面積の約5割、農業産出額の約2割を占める基幹作物であり、特に多くの離島を抱える本県において、製糖業とともに地域経済、社会を支える重要な作物となっている。また、さとうきびは他作物に比べて台風や干ばつに強く、離島地域においては代替の効かない作物でもある。

　沖縄県では、国の「さとうきび増産プロジェクト基本方針」に基づき、各島別および県段階における生産目標や取り組み方向を示した「さとうきび増産プロジェクト計画」を策定するとともに、平成24年度から新たにスタートした「沖縄振興特別措置法」に基づき、「沖縄県21世紀ビジョン基本計画」を平成24年5月に策定し、生産基盤の整備、安定生産技術の開発および普及、機械化や地力増強、病害虫防除対策の推進、生産法人など担い手の育成、優良品種の開発・普及など総合的な施策展開による生産振興を推進している。

（1）沖縄地域（沖縄本島・伊平屋島・伊是名島・伊江島・粟国島・久米島・南大東島・北大東島）
　生育初期は、春先から適度な降雨があったものの日照時間が平年に比較して少なく、生育は緩慢であった。梅雨明け以後は少雨傾向が続き、葉のロール減少が見られるなど各地で干ばつ状態となり、各作型ともに生育が停滞した。一部地区では、葉の黄変、枯れ上がりも見られた。9月以後は地区によりばらつきはあるものの、時折の降雨により干ばつの影響は緩和されたが、かん水施設の整備・未整備地区で生育に差が見られ、各作型ともに茎長は平年を下回る状況となった。10月には台風23号、24号と相次いで襲来し、一部地区では葉片裂傷や潮害による影響が見られた。

　南大東島および北大東島では、初期生育はおおむね良好であったが、梅雨以後5月下旬から8月下旬までの長期間少雨傾向となり、各作型で茎長が平年を下回るなど生育が停滞した。10月には台風24号、26号、27号が相次いで襲来し、折損や潮害などの被害をもたらした。

（2）宮古地域（宮古島・伊良部島・多良間島）
　梅雨明け以後少雨傾向により生育停滞が見られた。台風接近に伴う降雨やかん水の実施により干ばつの影響は緩和されたものの、茎長は平年を下回った。10月には台風23号による折損や葉片裂傷などの被害があり、品質低下を招いた。

（3）八重山地域（石垣島・小浜島・西表島・波照間島・与那国島）
　他地域と比較して降雨があり干ばつの影響は少なかったとみられるものの、7月の台風7号により折損、葉片裂傷などの被害を受け、その後やや少雨傾向となったため、生育がやや鈍化した。10月には台風23号により葉片裂傷、潮害などの被害が見られ、最終的な収量の減少に至った。

　平成25年産さとうきびの収穫面積は、平成24年産より461ヘクタール減少し1万2535ヘクタール、生産量は7448トン増加し68万2794トン（対前年比101.1％）、単収は10アール当たり250キログラム増加し5447キログラム（対平年比104.8％）となった（表1、表2、表3）。収穫面積は宮古地域で増加となったが、沖縄・八重山地域で減少し、生産量は県内各地域で増産となったものの、大きな伸びとはならなかった。

　なお、各地域別生産量では、沖縄地域（周辺離島を含む）が全体の38.2％、宮古地域が47.8％、八重山地域が14.0％となっている。

　作型別では、夏植栽培が672ヘクタール減少し4778ヘクタール（38.1％）、春植栽培が601ヘクタール減少し1264ヘクタール（10.1％）、株出栽培が812ヘクタール増加し6493ヘクタール（51.8％）となった（図2）。

　品種構成は、農林27号が24.3％を占め、次いで農林21号が14.1％、農林15号が11.4％、農林8号が9.8％、農林22号が4.4％となった（図3）。

（1）沖縄地域
　収穫面積は5888ヘクタールで平成24年産より571ヘクタール減少したものの、単収は10アール当たり4432キログラム（対平年比111.6％）、生産量は平成24年産より4480トン増加の26万980トン（対前年比101.7％）となった。

　作型別収穫面積では、夏植栽培は平成24年産より124ヘクタール減少の772ヘクタール、春植栽培は473ヘクタール減少の809ヘクタール、収穫面積全体の約7割を占める株出栽培は、26ヘクタール微増の4307ヘクタールとなった。

　生産量は、夏植・春植栽培の面積減少に伴い、夏植栽培が平成24年産より5456トン減少の4万3007トン、春植栽培が9914トン減少の3万1282トンとなったが、株出栽培は1万9851トン増加の18万6691トンとなった。

　品種構成は、農林8号・農林21号がそれぞれ17％を占めており、次いで早期高糖性品種の農林28号や農林15号が普及している。

（2）宮古地域
　収穫面積は4859ヘクタールで平成24年産より153ヘクタール増加し、単収は10アール当たり6718キログラム（対平年比97％）、生産量は平成24年産より853トン増加の32万6420トン（対前年比100.2％）となった。

　作型別では、夏植栽培は平成24年産より478ヘクタール減少の2939ヘクタール、春植栽培は83ヘクタール減少の291ヘクタール、株出栽培は近年増加傾向にあり、平成24年産より714ヘクタール増加の1629ヘクタール（対前年比178％）となった。株出栽培の生産量は、平成24年産より3万2840トン増加の8万1090トン（対前年比168％）と昨年に引き続き増加した。

　品種構成は、農林27号が54％と最も多く、次いで農林21号となっている。

（3）八重山地域
　収穫面積は1788ヘクタールで平成24年産より44ヘクタール減少し、単収は10アール当たり5336キログラム（対平年比104.8％）、生産量は平成24年産より2115トン増加の9万5394トン（対前年比102.3％）となった。

　作型別では、全体収穫面積の約6割を占める夏植栽培が平成24年産より70ヘクタール減少し1066ヘクタール、春植栽培は45ヘクタール減少の164ヘクタール、株出栽培は72ヘクタール増加の558ヘクタールとなった。生産量は、春植栽培で3081トン減少となった一方、夏植栽培で5057トン増加の6万9665トン、株出栽培で138トン増加の1万9838トンであった。

　品種構成は、農林15号が32％を占め、次いで農林27号が22％を占めている。

　さとうきびの労働時間の大半を占める収穫作業の省力化を図るため、これまで国庫補助事業などを活用したハーベスタの導入が推進されてきた。さらに、県では既存のハーベスタの導入に加え、刈り取り機、脱葉施設の導入を進め、地域に応じた収穫体系を含む機械化一貫作業体系の確立を推進している。

　平成25年産では、県内全域において大型、中型、小型の各機種合計319台のハーベスタが稼働し、機械収穫率は収穫面積の58.3％となっている。

　沖縄県の製糖工場は、分みつ糖工場が9社10工場（8島）、含みつ糖工場が4社8工場（8島）操業している。

　分みつ糖工場の平成25年産原料処理量は、平成24年産より9955トン増加し63万1077トン（対前年比102％）となり、買入糖度は、前年より0.39度高い14.57度となった（表5）。

　含みつ糖工場の平成25年産原料処理量は、平成24年産より2507トン減少し5万1717トン（対前年比95％）となった。

　沖縄県では、平成27年産を目標とする「さとうきび増産プロジェクト計画」および平成33年を目標とする「沖縄21世紀ビジョン基本計画」に基づき、各種の生産振興施策・事業を展開しており、平成25年産については、収穫面積は前年に対して減少したものの、単収、生産量ともに前年産と比べて増産が図られた。

　しかしながら、相次いで襲来した台風やメイチュウ類の被害により生産の回復は途上にあり、一層の取り組み強化が求められている。

　このようなことから、平成25年度から「さとうきび増産基金」の活用による生産対策を推進し、関係機関・団体と一体となった早期の生産回復、増産への取り組みを強化し、本県さとうきび生産農家と製糖企業の経営の安定化に向けて取り組んでいるところである。