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平成25年度甘味料の需要実態調査の概要〜砂糖・異性化糖編〜

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最終更新日:2014年9月10日

平成25年度甘味料の需要実態調査の概要〜砂糖・異性化糖編〜

2014年9月

調査情報部

【要約】

 砂糖と異性化糖について、食品製造企業および糖化製品製造企業の計43社を対象に需要実態を調査した。

 平成25年における調査対象企業の合計仕入れ量は砂糖とぶどう糖果糖液糖が前年を下回った一方、果糖ぶどう糖液糖は前年を大きく上回った。なお、今後の使用については、一部の企業で、一部を代替甘味料などに切り替える動きが見られた。

はじめに

 当機構では、甘味料の需要実態を把握するため、甘味料使用企業43社(菓子類、清涼飲料、乳製品、パン類、調味料などを製造する食品製造企業40社および糖化製品製造企業3社)に対して、平成24年および25年(1〜12月)における甘味料(砂糖、異性化糖、加糖調製品、代替甘味料)の使用状況などについて聞き取り調査を実施した。

 調査項目は、使用している甘味料ごとに、「使用製品」「使用理由」「仕入れ価格の動向」「仕入れ量の動向および今後の見込み」「品質面および調達面に関する評価」「他の甘味料への切り替えの可能性」などとした。

 本稿では、砂糖および異性化糖の調査結果を報告し、加糖調製品および代替甘味料の調査結果は、次号で報告することとしたい。

1. 砂糖の需給動向

 平成24砂糖年度(10月〜翌9月)における砂糖の総需要量は平成15砂糖年度比で9.4%(21万1000トン)減と、かなり減少している(図1)。
 
 平成24年度における砂糖の用途別消費動向を見ると、砂糖の消費量のうち、87.5%が業務向けに消費されている(図2)。業務向けのなかで最も消費量が多いのは、菓子類であり、次いで清涼飲料、乳製品と続く。
 

2. 砂糖の需要実態

(1)使用状況
 砂糖を使用していたのは、43社のうち40社となり、調査対象企業の9割以上であった。製品分類別使用企業数は図3、使用製品の種類は表1のとおりであった。製品分類別の使用企業数(延べ数)は、菓子類11社、飲料7社、乳製品6社、調味料5社、パン3社、漬物・佃煮・練製品3社、その他7社と、さまざまな製品で使用されていた。

 使用理由としては「製品の基礎原料として欠かせない」「製品の甘味付けのために欠かせない」との回答が多く寄せられており、製品分野を問わず、砂糖が欠かせない原料のひとつであることが分かる。漬物では、砂糖の特性を生かし、「保存料として使用している」との回答もあった。
 
(2)調達状況
ア. 仕入れ価格の動向

 平成25年の仕入れ価格の動向について回答があった39社の動向を見ると、「上昇した」は11社、「横ばい」は12社、「下落した」は4社で、その他、「市況と同調した変動が見られた」などと回答した社が12社あった。

 平成25年の日経相場(上白糖)は、1月から11月まで1キログラム当たり182〜183円で推移したが、11月に製糖メーカーが出荷価格を同3円値上げしたことに伴い、12月には同3円の上昇が見られたが、年間を通せば安定して推移した。いずれの企業も「価格変動は小さかった」としており、平成25年における各企業の仕入れ価格は、市況と同様におおむね安定していたとみられる。

イ. 仕入れ量の動向および今後の見込み
(ア)仕入れ量の動向(平成24年、25年)
 仕入れ量について回答のあった37社の仕入れ量の合計は、平成24年が27万2000トン、平成25年が26万3000トン(前年比3.3%減)と、平成25年の仕入れ量は前年からやや減少した。

 40社の平成25年における仕入量を前年と比較すると、9社が増加、23社が横ばい、8社が減少であった(図4)。増加の理由は、製品生産量の増加によるものであった。一方で、減少の理由として、「カロリー低減化のために、一部の製品で代替甘味料に切り替えた」と回答した社が2社であった。

(イ)今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みについては、「増加」が5社、「横ばい」が23社、「減少」が8社であった。増加を見込む理由は、全社ともに製品の売り上げ増加による生産量の増加であった。さらに、4社からは「仕入れ量の増減は製品の売り上げ次第である」との回答があった。

 また、減少を見込む理由として、「カロリー低減化のために、一部の製品で代替甘味料に切り替えた」を3社が、「加糖調製品への切り替え」を1社が挙げている。
 
(3)品質面および調達面に関する評価
 品質面については、いずれの企業も「問題がない」とのことであった。「他の甘味料に比べ風味が良い」「代替甘味料に比べ後味が良い」などの意見が多く、特に、味覚面の評価が高かった。

 調達面については、いずれの企業も「問題がない」とのことであった。「安定的に供給されている」「製品規格がしっかりしている」など高い評価を受けていた。

(4)他の甘味料への切り替えの可能性
 平成25年に砂糖を他の甘味料に切り替えた企業は、一部の製品で代替甘味料に切り替えた企業が1社あったが、今後、切り替えを予定している企業はなかった。切り替えを行わない理由には、「コストよりも安定供給を重視する」「原料として欠かせない」などが挙げられた。「コスト削減のために切り替えを検討したが、味や風味が変わるので切り替えはできない」との回答もあった。

3. 異性化糖の需給動向

 平成24砂糖年度における異性化糖の生産量(標準異性化糖換算数量)は、82万7000トンであった。直近10年間における異性化糖の生産量は、年度ごとに増減はあるものの80万トン前後で推移している(図5)。
 
 平成24砂糖年度における異性化糖の用途別販売動向を見ると、清涼飲料向けが49.6%と最も多く、次いで調味料8.0%、乳性飲料および酒類がそれぞれ7.9%と続いている(図6)。飲料(清涼飲料、乳性飲料、酒類)向けが全体の65.4%を占めており、主な用途は飲料向けとなっている。
 

4. 異性化糖の需要実態

 異性化糖は日本農林規格(JAS)において、果糖の含有率によって「ぶどう糖果糖液糖(果糖含有率が50%未満のもの)」「果糖ぶどう糖液糖(果糖含有率が50%以上90%未満のもの)」「高果糖液糖(果糖含有率が90%以上のもの)」に分類されている。本調査では、ぶどう糖果糖液糖および果糖ぶどう糖液糖の需要実態を調査した。

(1)ぶどう糖果糖液糖
ア. 使用状況

 ぶどう糖果糖液糖を使用していたのは、43社のうち18社となり、調査対象企業の約4割が使用していた。製品分類別の使用企業は図7、使用製品の種類は表2のとおりであった。製品分類別の使用企業数は、菓子類4社、飲料6社、乳製品3社、調味料2社、パン2社、漬物・佃煮・練製品1社であった。

 使用理由としては、「製品の甘み付けのため」のほか、「液状で扱いやすいため」「コスト削減のため」などが挙げられた。
 
イ. 調達状況
(ア)仕入れ価格の動向

 平成25年の仕入れ価格の動向について回答があった16社の動向を見ると、「上昇」が2社、「横ばい」が6社、「下落」が3社であった。この他、「市況に連動した動きがあった」などとした社が5社であった。

 平成25年の市中価格は、日経相場(果糖分42%物)によると、1〜10月は1キログラム当たり139〜140円で推移したが、11月には、原料のトウモロコシ相場の下落などを受けて同3円下落したものの、年間を通せば安定して推移した。平成25年の各企業の仕入れ価格もおおむね安定した推移であったとみられる。

(イ)仕入れ量の動向および今後の見込み
a 仕入れ量の動向(平成24、25年)

 仕入れ量について回答があった17社の仕入れ量の合計は、平成24年が4万9805トン、平成25年が4万9685トン(前年比0.2%減)であった。

 17社の動向について、平成25年の仕入れ量を前年と比較したところ、「増加」1社、「横ばい」13社、「減少」3社であった(図8)。増加の理由は、製品の売り上げ量の増加に伴うものであった。減少の理由として、1社が「代替甘味料への切り替え」を挙げている。

b 今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みについて回答のあった14社の動向は、「増加」2社、「横ばい」8社、「減少」2社であった。その他、「製品の売り上げ次第」とした社が2社であった。増加の理由は、「製品の製造量の増加」であった。減少の理由は、2社とも「代替甘味料への切り替え」であった。
 
c 品質面および調達面に関する評価
 品質面および調達面については、いずれの企業も「問題がない」との評価であった。

d 他の種類の甘味料への切り替えの可能性
 平成25年にぶどう糖果糖液糖を他の甘味料に切り替えた企業は、一部の製品で代替甘味料に切り替えた企業が1社あったのみであった。今後、一部の製品で代替甘味料への切り替えを予定している社が2社あったが、その他の企業では、切り替えを行う予定はなかった。

(2)果糖ぶどう糖液糖
ア. 使用状況

 果糖ぶどう糖液糖を使用していたのは、43社のうち21社となり、調査対象企業の約5割が使用していた。製品分類別使用企業数は図9、使用製品の種類は表3のとおりであった。製品分類別の使用企業数は、菓子類4社、飲料7社、乳製品5社、調味料3社、パン1社、漬物・佃煮・練製品1社であった。

 使用理由としては、「製品の甘み付けのため」など製品特性を引き出すために使用しているもののほか、5社から「コスト削減のため」との回答があり、コスト削減のため砂糖の代替として利用するものがあった。
 
イ. 調達状況
(ア)仕入れ価格の動向

 平成25年の仕入れ価格の動向について回答があった18社の動向を見ると、「上昇」が1社、「横ばい」6社、「下落」3社、「市況と同様の動きがあった」など8社であった。上昇の要因として円安を挙げている。

 平成25年の市中価格は、日経相場(果糖分55%物)によると、1〜10月は1キログラム当たり145〜146円で推移したが、11月には、原料のトウモロコシ相場の下落などを受けて同3円下落したが、年間を通せば安定して推移した。平成25年の各企業の仕入れ価格もおおむね安定して推移したとみられる。

(イ)仕入れ量の動向および今後の見込み
a 仕入れ量の動向(平成24年、25年)

 仕入れ量について回答があった15社の仕入れ量の合計は、平成24年が5万7987トン、平成25年が6万4729トン(前年比11.6%増)であった。

 仕入れ量の動向について回答があった17社の動向について、「増加」が3社、「横ばい」が11社、「減少」が3社であった(図10)。増加の理由は、飲料メーカー1社から「製品の売り上げ増」が挙げられた。同メーカーは仕入れ量が同22.5%増と、前年から大幅に増加している。これは、平成25年が猛暑であったことから、夏季における清涼飲料の売り上げが好調であったためと考えられる。また、減少の理由は、1社が「代替甘味料への切り替え」を挙げている。

b 今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みについて回答のあった19社の動向は、「増加」2社、「横ばい」14社、「減少」3社であった。増加の理由は、「製品の売り上げ増加」を1社が挙げている。減少の理由は、1社が「代替甘味料への切り替え」を挙げている。
 
c 品質面および調達面に関する評価
 品質面および調達面については、いずれの企業も「問題がない」とのことであった。

d 他の甘味料への切り替えの可能性
 平成25年に果糖ぶどう糖液糖を他の甘味料に切り替えた企業は、一部の製品で代替甘味料に切り替えた企業が1社あったのみであった。今後、一部の製品で代替甘味料への切り替えを予定している社が1社あったが、その他の企業では、切り替えを行う予定はなかった。

おわりに

 調査対象企業における砂糖および異性化糖の需要実態は、前年と比べて大きな変化は見られなかった。しかし、一部の製品で代替甘味料に切り替える動きが見られた。これは、消費者の低カロリー志向によるものである。今後も消費者の低カロリー志向が続けば、砂糖または異性化糖から代替甘味料への切り替えが続く可能性がある。

最後に、ご多忙の中、本調査にご協力いただいた企業の皆さまに、改めて厚くお礼申しあげます。 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713