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8つの島の沖縄黒糖

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最終更新日:2014年10月10日

8つの島の沖縄黒糖

2014年10月

沖縄県黒砂糖工業会

はじめに

 黒糖とは、さとうきびの搾り汁から不純物の除去を行い、煮沸による濃縮を行った後、糖みつ分の分離などの加工を行わずに、冷却して製造した砂糖をいう。

 沖縄で黒糖が作られるようになったのは今から390余年前の江戸時代のことである。ちょっと一服したいときに一粒つまんでリラックスしたり、料理やお菓子作りに使ったりと、黒糖は沖縄県民の生活に欠かせず、身近な存在となっている。

黒糖の表示

 平成23年3月、加工食品品質表示基準の改正により、黒糖の原材料は「さとうきび」だけであり、粗糖・糖みつで作られた再製糖は黒糖の表示ができなくなった。

 黒糖をご購入の際は原材料表示が「さとうきび」となっているかお確かめいただきたい。

8つの島の沖縄黒糖

 かつては沖縄県全域に数百カ所あったとされる黒糖工場も現在稼働しているのは、伊平屋(いへや)島、伊江(いえ)島、粟国(あぐに)島、多良間(たらま)島、小浜(こはま)島、西表(いりおもて)島、波照間(はてるま)島、与那国(よなぐに)島の8つの離島の沖縄県黒砂糖協同組合に所属する3企業1団体の製糖工場のみであり、沖縄黒糖はそこで生産されている。

 各島の製法に大きな違いはないが、さとうきびの品種や栽培方法、土壌、気象条件の違いにより、色、食感、香り、形に反映されて島ごとに違った表情を見せるので、食べ比べをするのも楽しみ方のひとつである。
 

沖縄黒糖の商標

 沖縄県黒砂糖協同組合では、平成18年4月に地域団体商標「沖縄黒糖」を取得した。沖縄黒糖マークは、8つの島で、さとうきび100%で作られた黒糖に与えられるブランドの印である。

 また、8島で作られる黒糖は、一般財団法人食品産業センターの「本場の本物」に認定されている。「本場の本物」とは、伝統的に培われた「本場」の製法で、厳選原料を用い「本物」の味を作り続ける、そんな製造者の【原料】と【製法】へのこだわりの証である。
 

黒糖のいろいろな形

 市販されている黒糖には、粒状や粉末状のものがある。粒状は、ゴロッとしたひと口サイズのものが多く、お茶受けやちょっとつまんで食べたいときにちょうど良い、最もなじみのある形である。粉末状の黒糖は、料理やお菓子作りに使い勝手が良く重宝する。

 また、黒糖を使って簡単に作れる黒みつは、アイスクリームやヨーグルトにかけたり、きな粉と合わせて和風にアレンジしたり、アイデア次第でいろいろ楽しめるので、おすすめである。

生活習慣病が気になる人も黒糖を

 黒糖の大きな特徴は、カリウムがとても多いこと。カリウムには余分に取り過ぎたナトリウムを排せつする働きがあり、血圧を下げる効果が期待できる。

 健康診断などで気になるのが血清コレステロールや中性脂肪の数値。基準値を超えると動脈硬化が進み、心筋梗塞や狭心症などの心臓病、高血圧、脳血管疾患などといった生活習慣病にかかるリスクが高くなる。日本ウズラを使った実験では、黒糖には血清コレステロールおよび中性脂肪濃度を低下させ、動脈硬化の発症を抑制する作用があることが分かっている。

 また、黒糖の抗動脈硬化作用は黒糖に含まれるポリフェノールが酸化ストレスを軽減するからだということも分かっている。

 沖縄の長寿の秘訣は、こんなところにもあるのかもしれない。

おわりに

 古くから沖縄では、亜熱帯の気候を生かしてさとうきびを栽培し、黒糖を作ってきた。さとうきびを搾って、そのまま煮詰めるという製法を守りながら沖縄黒糖を作り続けている。

 家事や畑仕事の合間に黒糖を食べて一息ついたり、近所の人が来ればお茶うけとしてすすめる。お料理やおやつ作りにも使われ、沖縄では黒糖はどの家庭にも常備されているほど身近な存在である。

 近年、沖縄の伝統的な家庭料理が長寿の秘訣として取り上げられ、黒糖の健康効果にも注目が集まり、多くの人に黒糖が認知されるようになった。

 サンサンと降りそそぐ南国沖縄の太陽を浴びて育ったさとうきびから作る沖縄黒糖を、みなさんも日々の暮らしのなかに取り入れ、その良さを実感していただければと願っている。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713