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地域だより

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最終更新日:2015年3月23日

第78回沖縄県さとうきび育種委員会(春期)の開催について

2015年3月

那覇事務所 青木 敬太

 平成27年2月24日(火)〜25日(水)、沖縄蔗作研究協会、沖縄県農業研究センターの共催で第78回沖縄県さとうきび育種委員会(春期)が開催された。

 沖縄県さとうきび育種委員会は、沖縄県内の地域、島々に適するさとうきび品種を選定するため、沖縄県農業研究センターや独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センターをはじめとし、各地域の製糖工場などからさとうきび育種担当者が一堂に会して情報交換を行うもので、毎年、春と秋に開催されている。

 今回の春期育種委員会は沖縄県農業研究センター本所(沖縄県糸満市)で開催され、約70名の関係者が2日間にわたり室内での成績検討会および現地検討会を行った。

1)成績検討会

 1日目の成績検討会では、各地域の気象や作柄についての情報交換と、現地適応性検定試験や奨励品種決定試験の結果などについて検討が行われた。

 会議では、はじめに、沖縄県農業研究センターの各試験地における気象概況および生育概況について担当者から説明があり、平成26年7月の台風8号をはじめとした各地の台風被害状況、八重山地域における干ばつや少雨傾向による影響が報告された。また、各製糖工場の担当者からは今期原料搬入の状況、作型、かん水の取り組みなど、各地域のさとうきび生産状況が報告された。

 続いて、3次選抜、4次選抜、系統適応性検定試験、生産力検定試験、奨励品種決定試験、現地適応性検定試験(各製糖工場)などについて系統ごとの評価を行った。各試験地と製糖工場の担当者は各系統について茎数、茎長、茎径、ほ場ブリックス、風折茎率などの調査項目に加え、発芽率や耐病虫害抵抗性などを加味して◎(特に有望)、○(有望)、△(要検討または評価保留)、×(淘汰)の評価を行う。以前から注目されていた「RK97-14」は、茎数は少ないが、茎長が長く一茎重が重く、収量が多いなどの特徴を持つ品種であり、奨励品種として登録が予定されていることなどについて説明があった。
成績検討会の様子
成績検討会の様子

2)現地検討会

 2日目は、沖縄県農業研究センターの実験農場にて現地検討会が行われた。

 実験農場では、現地適応性検定試験(注)中のさとうきび系統について作型ごとに配置されており、各試験地・製糖工場の担当者は採用を検討中の系統について生育状況などを視察するとともに、それぞれの品種の各地での適応性や生育状況について、積極的に情報交換を行っていた。

 今回検討されたさとうきび系統のうち有望なものが協議され、奨励品種候補として選定される。各地域での気象・土壌に合ったさとうきびの品種が選定され、今後のさとうきびの生産性向上につながるような育種が行われることを期待したい。

(注)現地適応性検定試験とは、有望系統について、地域での採用に当たり、利用に向けた生産性・特性を調査するもの。
現地検討会の様子
現地検討会の様子
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