砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 地域だより > 地域だより

地域だより

印刷ページ

最終更新日:2015年6月26日

 公益社団法人沖縄県糖業振興協会平成27年度第1回定時総会の開催について

2015年6月

那覇事務所 和田 綾子

 平成27年6月16日(火)に、沖縄県島尻郡南風原町の土地改良会館において、公益社団法人沖縄県糖業振興協会(以下「協会」という)の平成27年度第1回定時総会が開催された。

 協会は昭和49年に設立され、さとうきび生産振興、分蜜糖および含蜜糖の振興対策を推進するとともに、さとうきび品質取引制度の円滑な運営を推進することにより、さとうきび生産者および製糖事業者の経営安定に資することを目的とするものである。

  今回の総会では、沖縄県農業協同組合中央会会長や日本分蜜糖工業会会長をはじめ約30名が出席し、協会の比嘉理事長の議事進行により平成26年度事業報告や27年度の事業計画などが報告、承認された。
 

1.平成26年度事業報告など

(1)平成26年産さとうきび生産概況
 協会が製糖事業者や糖業関係団体からの速報値を基にとりまとめた、平成26年産のさとうきび生産量は68万2870トン(27年4月末現在)で、前年産と同等であった。

 原料処理量を前年産と比較すると、分蜜糖生産地域においては63万4280トンで3203トンの増加、含蜜糖生産地域においては4万8590トンで3127トンの減少となった。ただし、西表島での製糖が終了していないことから、最終的なさとうきび生産量および含蜜糖の原料処理量は約4000トンの増加が見込まれている。

 地域ごとの生産量を前年産と比較すると、沖縄本島においては13万8265トンで0.9%の減少、沖縄周辺離島においては12万3745トンで1%の増加となった。宮古地域においては32万2207トンで0.3%の減少、八重山地域においては9万8652トンで3.4%の増加となった。
(2)事業概要
 さとうきびは、沖縄県の基幹作物であり、甘しゃ糖企業をはじめ輸送業などの関連産業への経済波及効果および地域貢献度は高い。このため、協会は、さまざまな事業を実施し、県、市町村、関係団体などと連携して、さとうきび増産の取り組みの強化を図っている。
 26年度は、25年度に引き続き、さとうきび生産振興対策、さとうきび品質取引対策、沖縄糖業振興対策に取り組んだ。

 さとうきび生産振興対策においては、「さとうきび増産緊急対策事業」の「さとうきび増産基金」の基金管理団体として、19事業実施主体の取り組みを支援した。さらに、平成26年度は、生産振興対策において以下の2つの事業を実施した。

ア さとうきび農業機械等リース支援事業
 効率的かつ持続的なさとうきびの生産体制を確立するため、21事業実施主体に対して農業機械などのリース導入を支援した。

イ 経済対策事業
 さとうきび減産の要因となる病害虫のイネヨトウ防除を目的として、被害の多い離島を中心とした7地区において、防除実施体制の確立、フェロモンチューブのほ場配置図作成の委託および交信かく乱法の説明会などを実施した。
 

2.平成27年度事業計画

(1)基本方針
 沖縄県のさとうきび生産は、気象災害と病害虫被害による平成23年産の大幅な減産以降、「さとうきび生産回復緊急対策事業」の活用などにより、24年産のさとうきび生産量は約68万トンまで回復し、25年産についても、「さとうきび増産緊急対策事業」によって幅広い増産支援を行った結果、68万トン台を維持した。26年産については、事業規模を拡大したものの、生産量は68万トンを維持するにとどまった。

 このことから、27年度は、台風、干ばつ、病害虫発生による減産からの回復支援を主とする「さとうきび増産基金(セーフティネット基金)事業」に加えて、品質取引対策および糖業振興対策などの関連事業についても、国、県、関係団体などと連携して取り組み、効果的な事業の執行を図ることとする。
(2)事業概要
○さとうきび生産振興対策の推進

ア さとうきび増産基金事業
 「セーフティネット基金」を設置して、平成26年度までの「さとうきび増産基金」で対象となっていた項目のうち、病害虫、干ばつ、台風などによる被害について、支援の発動要件を満たした際に、被害状況に応じた対策を実施する。
 現在、本島北部や伊江島では、27年4月にメイチュウ類予察注意報が発令されたことを受けた具体的な対策についての調整が行われており、同基金の活用が期待されているところである。

イ さとうきび生産活性化事業
  • 「優良事例調査および普及啓発支援事業」では、生産技術などの普及啓発を図るため、生産技術および経営改善の面で創意工夫し、地域の模範となる優良農家を調査、表彰する。
  • 「生産法人経営強化支援事業」では、JAや製糖企業の出資などによる新たな生産法人の育成および強化、農地中間管理事業などを活用した農地集積などのモデル的な生産法人の基盤強化などを実施する。
  • 「さとうきび産地農業機械等リース支援事業」では、平成26年度のリース事業 で導入したハーベスタなどの適正な利用管理の指導を行う。
  • 「防災農業確立事業」では、「防風林の日」の関連行事として、防風林植栽事業を支援する。

    ウ 競作会事業
     さとうきび農家および生産法人の生産意欲の高揚を図るため、地域の規範となる優秀なさとうきび農家などを選定して表彰し、県民へ広く紹介を行う。

    ○さとうきび品質取引対策の推進
     各製糖工場からの品質取引に関するデータの収集、解析および情報提供、さとうきび品質取引検討委員会における品質測定システムの運営に必要な事項についての協議、検討を行う事業などを引き続き実施する。

    ○沖縄糖業振興対策の推進
     分蜜糖および含蜜糖の「気象災害等影響緩和対策事業」では、平成26年度までの基金事業から、製造コストが増加した場合に製造事業者気象災害等影響緩和対策費補助金の交付により補填を行う事業として新たに実施する。
 
 当機構としても、引き続き協会と情報交換を行い、沖縄県のさとうきび生産および甘しゃ糖業の発展に寄与してまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713