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地域だより

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最終更新日:2015年11月24日

平成27年度与論町さとうきび生産振興大会の開催

2015年8月

鹿児島事務所 所長 真弓 正展

 平成27年8月10日(月)、鹿児島県大島郡与論町のJA会館与論において、与論町さとうきび生産振興大会(主催:与論町糖業振興会、共催:奄美群島糖業振興会、南大島農業共済組合、以下「生産振興大会」という)が開催された。  
 生産振興大会には、与論町の生産者、糖業関係者、JAおよび行政関係者など236名が参加した。
 
 与論島における平成26年期のさとうきび生産は、成長期の夏場に適度な降雨があったこと、年明け後の好天により、昭和40年以降で最も少なかった25年産と比べ生産量は2万2968トン(前期比143%)、10アール当たり収量は5607トン(同144%)、歩留りは11.68%(同109%)と質・量ともに25年産を大幅に上回った。与論島製糖株式会社の産糖量も2682トン(同156%)と回復した。

 生産振興大会では、与論島糖業振興会の南政吾会長(南仁孝副会長代読)が「平成26年産は当初計画を下回ったが、病害虫防除事業、優良種苗対策事業などの各種施策により一定の成果を上げ、さとうきび農家の経営安定に寄与したと考えている。依然さとうきび産業を取り巻く情勢は厳しいが、27年産については、島別さとうきび増産計画に盛り込まれた病害虫防除対策、優良種苗対策、単収向上対策を積極的に行い、収穫面積422ヘクタール、単収5617キログラム、生産量2万3705トンを計画している。計画達成を目指して、これまで同様関係者の皆さま方の格段のご理解とご協力をお願いしたい」とあいさつした。
 
 また、与論島製糖株式会社の池田一彌常務取締役与論事業所長から「さまざまな農業経営構造の変化、あるいは高齢化による離農者の増大という中で、さとうきびが基幹作物であるということは厳然たる事実。これまで以上に機械化などの対応によりさまざまな困難を克服していく時代になったと考えている。これからのさとうきび産業の発展に向けて、皆で勉強し、意見交換を行いながら盛大な生産振興大会としましょう」と力強く生産者に呼び掛けた。
 
 来賓のあいさつとして、鹿児島県大島支庁の奥真隆農林水産部農政普及課長に次いで、当機構の薄井総括理事から「当機構は、さとうきびの生産者や国内産糖製造事業者の皆さまに交付金を交付することにより皆さまの経営安定、また関連産業の健全な発展を通じ、消費者の皆さんに対し砂糖の安定供給が計れるための業務を行っております。さとうきびは台風、干ばつと自然災害の常襲地帯であるここ与論島をはじめ、鹿児島県南西諸島、沖縄県におきまして重要な基幹作物です。引き続き生産者の皆さまが安心してさとうきびを作り、製糖工場が安定的に操業できるよう、制度が継続されるよう様々な形で努力してまいりたいと考えております」とあいさつした。

 また、当事務所の真弓所長が「我が国の砂糖をめぐる事情」と題し、砂糖の価格調整制度の仕組みなどについて解説した上で、会場内にパネルなどを掲示し、砂糖の価格調整制度の周知・浸透に取り組んだ。
 
 
 次に鹿児島県大島支庁沖永良部事業所農業普及課の枦浩二技術専門員から「平成26年度アンケート結果に基づく与論島のさとうきびづくり」と題して、昨年行われた意向調査において、労働力や後継者不足、その問題解決となる機械化が進んでいないこと、収穫期間に余裕が無く管理作業が遅れるため、期間延長できないかなどの意見がある一方、さとうきびを増やしていきたいとの回答も多く、さとうきびは島に欠かせない作物としての思いや生産回復に向けた多くの提案があったと報告があった。

 鹿児島県農業総合開発総合センター徳之島支場の馬門克明主任研究員より「さとうきび安定・多収栽培技術の実証について」と題し講演が行われた。主な講演内容は以下の通り。
  1. マニュアスプレッダを改良した堆肥条散布機は与論島の現地ほ場での適応性が高く、10アール当たり35分での散布が可能で、原料茎重が重くなる傾向がみられた。
  2. 小型半履帯トラクタは、同出力の車輪式トラクタに比べけん引能力に優れ、心土破砕のほか、中耕作業、防除作業などを同一のトラクタで効率的に実施できる。
  3. ダントツ粒剤は防除効果が高い。


 最後に、大会スローガンが宣言され、関係者一体となって生産回復に向けて取り組んでいくことを確認し、与論町糖業振興会の永井弘副会長のあいさつをもって閉会となった。

【平成27年度大会スローガン】
発声:原田治彦氏(与論島農業自営者クラブ会長)

● さとうきび作付面積450ヘクタール以上確保し生産量を増やそう。
● 適期のかん水と肥培管理を徹底しさとうきびの増収に取り組もう。
● さとうきび共済加入率70パーセント以上達成をみんなで取り組もう。

 
 平成26年産は豊作となったが、減少が続く収穫面積の確保、ハーベスタの効率的な稼働などさとうきび増産に向けての課題はたくさんある。引き続き生産農家、糖業関係者および各関係機関のご尽力により、平成27年産も豊作の年となるよう祈念するとともに、当機構としても、生産農家の方々が安心してさとうきびを作ることができるよう、その経営の安定に資するため、今後も交付金の交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713