砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 砂糖の国際需給・需給レポート > 5. 日本の主要輸入先国の動向(2016年6月時点予測)

5. 日本の主要輸入先国の動向(2016年6月時点予測)

印刷ページ

最終更新日:2016年7月11日

5. 日本の主要輸入先国の動向(2016年6月時点予測)

2016年7月

 近年、日本の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.14−110)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、2015年の主要輸入先国ごとの割合は、タイが71.8%(前年比13.9ポイント増)、豪州が21.8%(同8.5ポイント減)、グアテマラが6.3%(同4.6ポイント増)と、この3カ国でほぼ全量を占めている(財務省「貿易統計」)。

 タイおよび豪州は毎月、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回はグアテマラを報告する。
 
 
2015/16年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は前年度並みの見込み
 2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)は、コメからの転作が前年度ほど進まず、サトウキビ収穫面積は141万ヘクタール(前年度比0.6%増)にとどまり、干ばつの影響もあり、生産量は1億607万トン(同1.5%減)と、わずかな減少が見込まれる(表6)。

 また、砂糖生産量も、サトウキビ生育時期の干ばつと成熟時期の過度な降雨によって産糖量の低下が見られることから、1003万トン(同13.4%減)とかなりの減少が見込まれる。

 タイ製糖協会によると、2015/16年度のサトウキビの圧搾は、前年度よりも約1カ月早い4月10日をもって終了した。同年度のサトウキビ圧搾量は9405万トン(同11.2%減)、砂糖生産量は978万トン(同13.5%減)と、ともにかなり減少した。サトウキビの減産により、稼働率が前年度に比べ3割低下した工場も見られる。

 砂糖輸出量は、インドネシアへの粗糖の輸出が好調であるものの、ミャンマーなど一部の国への精製糖輸出の低迷などにより、811万トン(同0.4%増)と前年度並みにとどまると見込まれる。

 サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)(注1)は、今年2月に引き上げを承認した国内供給向け砂糖(A割当)の販売割当数量(注2)250万トンについて、酷暑により飲料需要が拡大し砂糖の供給不足が懸念されるとして、10万トン引き上げることを検討している。

 また、OCSBは、2016/17年度のサトウキビおよび砂糖の生産見通しについて、2014年から続いている干ばつ被害のさらなる拡大により、サトウキビ生産量は9000万トンまで減少し、これにより、砂糖生産量は940万トンと、2010/11年度以来の低水準になるものと予想している。

(注1)タイのサトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である3省(工業省(製糖関係)、農業協同組合省(原料作物関係)、商務省(砂糖の売買関係))とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成され、工業省内に設置された「サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)」の事務局。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当制度が行われている。

 
 
 
 
2015/16年度の砂糖生産量、輸出量ともにわずかに増加の見込み
 2015/16砂糖年度(7月〜翌6月)は、特にアジアへの輸出需要の高まりから、サトウキビ収穫面積は39万ヘクタール(前年度比8.3%増)とかなりの増加が見込まれるものの、主産地であるクイーンズランド(QLD)州が一時干ばつに見舞われたため、生産量は3310万トン(同2.3%増)とわずかな増加にとどまるものと見込まれる(表7)。

 また、砂糖生産量は486万トン(同2.0%増)、輸出量は372万トン(同1.0%増)と、ともにわずかな増加が見込まれる。

 現地報道によると、QLD州にある製糖企業1社は、同州中東部に位置するノースバーネットタウン周辺に、新たなほ場6800ヘクタールの開拓を計画している。同社は、ほ場の新規開拓に伴うインフラの整備や工場の処理能力拡大に1000万豪ドル(8億2000万円(5月末日TTS:1豪ドル=82円))の投資を検討しているという。

 これは、同地区で近年、高付加価値作物であるマカダミアナッツやアボカドを生産するプランテーションが拡大傾向にあることから、製糖企業が自らサトウキビ栽培面積を確保しようとする動きが背景にあるとみられる。
 
 
 
2015/16年度の砂糖生産量はやや減少、輸出量はかなり減少の見込み
 2015/16砂糖年度(11月〜翌10月)は、サトウキビ収穫面積が25万ヘクタール(前年度比3.6%減)とやや減少、生産量は2384万トン(同9.5%減)とかなりの減少が見込まれている(表8)。

 過度の降雨の影響により圧搾開始が遅れたことで産糖量の減少がみられることから、砂糖生産量は295万トン(同5.8%減)とやや減少と見込まれている。

 砂糖輸出量は減産に加え、主要輸出先国である韓国への輸出が、同国が自由貿易協定(FTA)を締結している豪州やタイ(ASEANとして)の台頭により縮小していることなどから、216万トン(同10.5%減)とかなりの減少が見込まれている。
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713