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加工食品の原料原産地表示について

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最終更新日:2017年4月10日

加工食品の原料原産地表示について

2017年4月

宮城大学 名誉教授 池戸 重信

1.これまでの経緯

 消費者ニーズの高まりなどを背景に、現在、全ての生鮮食品を対象に「原産地」が、さらに加工食品のうち22食品群・個別4品目を対象に「原料原産地」の表示が義務付けされている。これらは、いずれも「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(以下「旧JAS法」という)」に基づいたもので、「品質の差異」を指標としたものである。このうち、加工食品については、義務対象となる要件として、原則として以下の条件を満たすものとなっていた。
(1)原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般に認識されている品目
(2)製品の原材料に占める主原料である農畜水産物の重量の割合が50%以上である商品

 その後、平成21年に消費者庁が設置され、食品の表示に関する所管が同庁に一元化されたことを契機に、「食品表示一元化検討会」が設置され、その中の論点の一つとして、加工食品の原料原産地表示制度についても議論がなされた。

 ここでは、食品表示法の制定を前提に、旧JAS法に基づく「品質の差異」の観点にとどまらず、新たな観点(品質以外の指標も含めた観点)から原料原産地表示の義務付けの根拠とすることについて議論を進めたものである。しかし、結果的には、合意には至らず、宿題として残った。

2.原料原産地制度に関する検討会における検討と背景

 前記の経緯を踏まえて、平成28年1月に消費者庁と農林水産省との共催により「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」が設置され、全10回の検討がなされた結果、同年11月に以下の内容の中間取りまとめが公表された。

3.表示義務化の骨子

 検討会の中間取りまとめにおいて、新たな制度の基本的なルールは、「全ての加工食品について、重量割合上位1位の原料の原産地を義務表示の対象とする」とされている。

 すなわち、これまでは前記のように「品質の差異」が指標とされ、原料についていわゆる50%ルール該当品目のみが対象となっていたが、今回は「品質」にはこだわらず、全ての加工食品について重量割合上位1位の原料を義務対象としている。

 また、義務表示の方法については、「国別重量順表示を原則とする。ただし、国別重量順表示が難しい場合には、消費者の誤認を防止するための方法を明確にした上で、例外の表示を認める」とされた。具体的には、対象原材料の産地について、国別に重量の割合の高いものから順に「、」でつないで国名を表示することを原則とするが、原産国が3カ国以上ある場合は、現行ルールと同様、3カ国目以降を「その他」と表示することができる。

 一方、冠表示には、「いちごジャム」の「いちご」のように、商品を特徴付ける原料が商品名に含まれるものの他に、「ブルーベリーガム」の「ブルーベリー」のように、風味を表しているもの、さらには、「たいやき」の「鯛」のように、商品名自体が一般的名称として認識されていて、形態などにより特定の原材料の名称を冠しているが、冠原材料が使用されていない商品もある。

 このように、冠表示については、多様で定義が不明確な実態があることから、ガイドラインにより対応することが適当とされている。

4.例外表示よる情報提供範囲の拡大

 前記のように、対象原材料の産地については、「国別重量順表示」を原則としつつ、産地切り替えにより容器包装の変更が必要となるなど、「国別重量順表示」が難しい場合や、対象原材料が中間加工原材料である場合にも、消費者にできる限り充実した産地情報を提供する制度とすべきであるとしている。すなわち、表示を全くしないことを許容したり、あるいは、原則以外の表示を一切禁止するということは適当でないとして、以下のような例外的に消費者の選択に資する情報を含む表示を行うことを義務付けることにより、情報提供の範囲をできるだけ拡大することとしている。

(1) 可能性表示

 使用可能性のある国が複数ある場合には、使用が見込まれる重量割合の高いものから順に「又は」でつないで表示することができる(可能性表示、図1参照)。

 ただし、過去の取り扱い実績などに基づき表示されるものであることを条件としている。また原産国が3カ国以上ある場合は、3カ国目以降を「その他」と表示することができるとしている。「可能性表示」は、あくまで例外の一つであり、産地切り替えなどのたびに容器包装の変更が生じ、「国別重量順表示」が困難であると見込まれる場合に限り認めることが適当であるとされている。

図1 可能性表示の事例(外国産と国産を「又は」でつないで表示)

(2)大括り表示

 3以上の外国の産地表示は「輸入」と(くく)って表示することができる(大括り表示)。なお、輸入品と国産品を混合して使用する場合には、輸入品(合計)と国産品との間で、重量の割合の高いものから順に表示するものとされる(図2参照)。これも、あくまで例外の一つであり、「大括り表示」については、外国の産地国名が表示されず、特定の国を知りたいという消費者の要望に応えていないとの指摘があった。しかし、国産原料か外国産原料かは明確であり、少なくともこの情報を知りたい消費者にとり有意な表示であると考えられる。
図2 大括り表示の事例(国産と外国産を混合して使用)

(3) 大括り表示+可能性表示

 「大括り表示+可能性表示」とは、過去の取扱実績などに基づき、3以上の外国の産地表示を「輸入」と括って表示できるとした上で、「輸入」と「国産」を、使用が見込まれる重量割合の高いものから順に「又は」でつないで表示できるとする方法である。

 これも、対象原材料の過去一定期間における国別使用実績または使用計画(新商品などの場合には今後一定期間の予定)によることが分かる表示をセットでする必要がある。

 この表示については、ルールを正しく理解すれば、例えば「輸入又は国産」の表示の場合、
(1)一定の期間を通じてみると、国産よりも輸入の割合が高いこと
(2)輸入国数が3カ国以上であること
を示すものであり、消費者の選択に資する一定の情報を提供することができる。

(4) 中間加工原材料表示

 対象原材料が中間加工原材料である場合に、当該原材料の製造地を「○○(国名)製造」と表示する。ただし、中間加工原材料である対象原材料の生鮮原材料の産地が判明している場合には、その産地を表示することができる。なお、現在の表示制度において「○○加工」であれば生鮮原材料の産地を示すものではなく、表示可能であるとの整理が既になされているが、単なる細断などでも該当することから「〇〇製造」が適当としている。
 以上、例外表示も含めた加工食品の原料原産地表示方法を体系化すると図3のようになる。
図3 加工食品の原料原産地表示方法の体系

5.誤認防止の措置、表示媒体および経過措置期間

 誤認防止の措置は重要で、例えば使用割合が極めて少ない産地については、消費者の誤認が生じないよう、割合を表示する、または、○○産と表示しないなどの表示方法を講じることが適当であるとしている。

 一方、消費者調査では、産地情報を入手する手段については、「食品に表示されている表示を確認」が約 93%と多く、次いで、「ホームページを見る」が約18%となっていることから、義務表示は容器包装への表示により行うことが適当としている。なお、補足的にインターネットなどにより詳細な情報提供を行うため、事業者は自主的かつ積極的な情報提供に努めることが適当としている。

 一方、事業者は、例外表示の際に表示内容が正しいことを確認できるよう、過去の使用実績などの根拠となる書類の備え置きなどが必要となる。

 また、既に原料原産地表示が義務付けられている22食品群と個別4品目の現行の表示方法は、原則による「国別重量順表示」で実施されており、消費者に対する情報提供のレベルを下げないようにする観点から、そのまま維持することが適当であるとされている。

 また、抜本的に改正が行われるため、今後着手する食品表示基準の改正に当たっては、パブリックコメントなどにより広く国民の声を聞くものとし、施行に当たっては、事業者の包材の改版状況も勘案して、十分な経過措置期間を置くことが適当であるとしている。

6.書類の備え置きと監視

 今回の表示制度は事前届出制ではないが、事業者は、特に例外表示の際に表示内容が正しいことを確認できるよう、過去の使用実績などの根拠となる書類の備え置きなどが必要である。

 また、行政には、食品表示制度の適正な運用のため、引き続き、効果的かつ効率的な監視に努めることが期待されている。なお、産地表示違反に対して直罰が科せられることへの事業者からの懸念も少なくないが、これまでも故意による不適正表示であっても、直罰ではなく「指示」→「命令」→「罰則」という段階を踏んで措置される事例が多い。

7.国産品の消費拡大への期待

 今回の検討は、加工食品の原料原産地表示が、消費者にとって商品選択をする際の重要な情報として位置付けられ、「消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援」を基本とした消費者基本計画に基づくものである。

 従って、必ずしも国内農産物の需要拡大のためという目的にはなっていないが、消費者庁のアンケート調査(回答数2777)結果によれば、消費者の65.4%が「原料が国産のものを選びたい」ために参考にしていると回答していることから、こうした回答をした消費者にとっては有効な基準となり、結果的に国産品の需要拡大が期待されるものである。

8.信頼の絆としての表示

 食品の表示は、消費者が適切に理解し、食生活において積極的に活用することにより本来の機能を発揮するものである。また、表示を通して、食品の供給サイドの状況を理解することも意味がある。

 一方、表示するサイドの事業者にとっての表示は、知ってもらいたい情報を消費者に届けることができる極めて有効な媒体でもある。表示は本来消費者が活用するものであることから、食品関係事業者は法令の改正などに傾注すること以上に消費者サイドを向き、消費者がどういう情報を求め、どういう方法によれば分かりやすい表示になるかを常に検討する姿勢は今後も必要と思われる。

 今後の新たな加工食品の原料原産地表示制度により、消費者にとって、単なる産地に関する情報のみならず、生産者、食品企業などの置かれた状況についても理解が深まることで、食品表示が消費者と食品供給サイドとの信頼の絆になることを期待するものである。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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