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5. 日本の主要輸入先国の動向(2017年12月時点予測)

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最終更新日:2018年1月10日

5. 日本の主要輸入先国の動向(2017年12月時点予測)

2018年1月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、2016年の主要輸入先国ごとの割合は、豪州が52.2%(前年比13.2ポイント増)、タイが47.7%(同8.3ポイント減)と、この2カ国でほぼ全量を占めている(財務省「貿易統計」)。

 豪州およびタイは毎月の報告、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回はグアテマラを報告する。

豪州

2017/18年度の砂糖生産量はわずかに減少、輸出量はやや減少の見込み
 2017/18砂糖年度(7月〜翌6月)のサトウキビ収穫面積は40万ヘクタール(前年度比1.8%増)とわずかな増加が見込まれているものの、3月に襲来したサイクロンの影響による単収の減少から、生産量は3343万トン(同8.4%減)とかなりの減少が見込まれている(表6)。砂糖生産量は、製糖歩留まりの向上が見られることから、488万トン(同1.0%減)と見込まれている。輸出量は、中国向けなどの減少に伴い370万トン(同5.6%減)とやや減少が見込まれている。  

 豪州砂糖製造業者協議会(ASMC)は、2017/ 18年度のサトウキビ圧搾量見込みを3342万トンと、生産回復を反映し、11月中旬時点の予測から3万7000トン上方修正している。サトウキビの圧搾作業は、10月のクイーンズランド(QLD)州での記録的な多雨などにより遅延していたが、来年度のサトウキビ生産が後ろ倒しとなるまでの影響はないとみられている。

 現地報道によると、Sugar Terminal Limited(注1)は2018/19年度までに、QLD州バンダバーグの砂糖輸出ターミナルの屋根の改修などに1500万豪ドル(13億500万円〈11月末日TTS:1豪ドル=87円〉)を投資する計画を明らかにした。

 また、現地報道によると、QLD州マッカイの製糖企業は12月上旬、QLD州砂糖公社(QSL)(注2)との砂糖輸出契約について、2019/20年度までで終了する意向を表明した。これに対し、サトウキビ生産者団体Canegrowers Australiaは、同企業が生産者所有企業でありながら、生産者への事前通知や相談もなく一方的に方針を決定したことについて、遺憾の意を表明した。

(注1)QLD州内の製糖企業や生産者が出資し、六つの砂糖輸出ターミナルを所有する企業。
(注2)QLD州産砂糖の輸出を担う公社。同州産砂糖輸出の9割を担っていたが、2015年の砂糖産業法の改正により、2017/18年度以降、製糖企業を介してQSLが輸出するという従来の形態に加え、QSL以外の砂糖輸出企業を生産者が選択できるようになった。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2017/18年度の砂糖生産量は大幅増、輸出量はかなり増加の見込み
 2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、他作物からの転作の進展などにより154万ヘクタール(前年度比9.4%増)、生産量は1億500万トン(同12.9%増)と、ともにかなりの増加が見込まれている(表7)。

 砂糖生産量は、好天により製糖歩留まりが向上し、1200万トン(同16.5%増)と過去最高に達すると見込まれている。このため、輸出量は、788万トン(同11.4%増)とかなりの増加が見込まれている。

 現地情報によると、砂糖産業関連法の改正案は12月上旬、閣議で承認された(注1)。この改正によって、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式は存続するが、砂糖の販売割当(注2)は一部を除いて廃止され、製糖企業は、生産量に応じた在庫量の確保が新たに義務付けられる予定である。政府が設定している国内砂糖価格は廃止されることとなる。改正後の新制度の施行開始時期については、当初12月1日が予定されていたが、サトウキビ取引価格の算定方法に関する関係者との協議や国内砂糖小売価格の自由化に係る関連規定の改正などに時間を要しており、早くとも2018年頭に持ち越されると見込まれている。

 現地情報によると、国内砂糖小売価格については、商務省が法改正後も引き続き監視するとみられる。現在、砂糖小売価格は、1キログラム当たり23.50バーツ(83円〈11月末日TTS:1バーツ=3.52円〉)を上回らないよう管理されており、商務省は毎月、参照価格を公表することで、今後も小売価格が参照価格以下となるよう促すものとみられる。

(注1)タイ政府は2016年4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内販売価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たりWTO協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は同年11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、同年10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)によると、改革案は再度閣議レベルで吟味され、公聴会を実施してから再提出するよう、OCSBへ返却された。その後、OCSBは公聴会を実施したが、関連規程の改正案などに時間を要していた。改革案は、先ごろ閣議へ再提出された。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

グアテマラ

2017/18年度の砂糖生産量はやや増加も、輸出量はやや減少の見込み
 2017/18砂糖年度(11月〜翌10月)のサトウキビ収穫面積は、26万ヘクタール(前年度比3.0%増)、生産量は2529万トン(同4.7%増)と、ともにやや増加が見込まれている(表8)。このため、砂糖生産量は、299万トン(同4.4%増)とやや増加すると見込まれている。
 一方、輸出量は、中国向けなどの減少により、200万トン(同3.4%減)とやや減少すると見込まれている。

表8グアテマラの砂糖需給の推移

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