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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2018年5月10日

砂糖類の国内需給

2018年5月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。3月に「平成29砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」を公表した。

平成29砂糖年度(10月〜翌9月)の見通し

(1)砂糖の消費量

 平成29砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、193万7000トン(同0.4%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は、近年の消費動向を基に、景気は緩やかな回復基調が続いていることなどを踏まえ、190万トン(同0.3%増)と見通している。含みつ糖の消費量は、近年の消費動向などを勘案し、3万7000トン(同1.9%増)と見通している。

(2)砂糖の供給量

 平成29砂糖年度の砂糖の供給量は、199万2000トン(同5.5%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が197万2000トン(同5.5%増)、含みつ糖が2万1000トン(同5.0%増)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜については、 28年6月以降の全道的な長雨や8月中下旬の台風などの被害により不作となったことから、作付面積は前年産に比べて2.1%(約1300ヘクタール)減少した。作柄については、低温・多雨の影響により生育が停滞した地域があったものの、全体としては 気象条件に恵まれ、病害虫の発生も少なかったことなどによりおおむね順調に推移したことから、産糖量は65万6000トン(前年産比29.9%増)、供給量は65万5000トン(精製糖換算。前年度比29.8%増)と見通している。

 サトウキビについては、沖縄県を中心に前年産の豊作を受けて生産意欲が高まったことなどから、収穫面積は前年産に比べて3.7%(約850ヘクタール) 増加した。作柄については、平年並みの収量が見込まれるが、一部地域では台風被害などにより低糖度となっているため、産糖量は13万4000トン(前年産比26.1%減)、供給量は12万8000トン(精製糖換算。前年度比26.1%減)と見通している。

(3)異性化糖の需給

 平成29砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、82万4000トン(前年度比0.9%減)と見通している(表2)。また、異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

表1 平成29砂糖年度における砂糖の需給見通し

表2 平成29砂糖年度における異性化糖の需給見通し

2. 異性化糖の移出動向

3月の移出数量は前年同月からわずかに増加
 2018年3月の異性化糖の移出数量は、7万 6701トン(前年同月比0.2%増、前月比25.3%増)であった(図1)。 3月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。

果糖含有率40%未満      479トン
 (前年同月比11.8%増、前月比29.5%増)
同40%以上50%未満   2万346トン
 (同0.3%減、同17.2%増)
同50%以上60%未満  5万4903トン
 (同0.9%増、同29.1%増)
同60%以上           973トン
 (同25.7%減、同1.9%増)

図1 異性化糖の移出量の推移

図2 異性化糖の種類別移出量の推移

3. 輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2018年2月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、 6万4837トン(前年同月比2.7倍、前月比4.1倍)であった(図3)。
 輸入先国はタイおよび南アフリカで、輸入量は次の通りであった(図4)。

タイ    6万3849トン
 (前年同月比5.1倍、前月比7.5倍)
南アフリカ   988トン
 (前年同月および前月輸入実績なし)

 また、同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3度未満、HSコード1701.14- 200)の輸入量は、2万7014トン(前年同月比 16.9%減、前月比3.9%増)であった。

図3 分みつ糖の輸入量の推移

図4 分みつ糖の国別輸入量の推移

 2018年2月の1トン当たりの輸入価格は、4万935円(前年同月比31.1%安、前月比5.6%安)であった(図5)。

タイ       4万824円
 (前年同月比27.4%安、前月比5.0%安)
南アフリカ  4万8071円
 (前年同月および前月輸入実績なし)

 また、同月における豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、4万1183円(前年同月比24.7%安、前月比10.6%安)であった。

図5 分みつ糖の輸入価格の推移

【含みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月からやや増加

 財務省「貿易統計」によると、2018年2月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、1389トン(前年同月比4.1%増、前月比72.1%増)であった(図6)。

 輸入先国はタイ、中国、ボリビア、フィリピンおよびコスタリカの5カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図7)。

タイ     953トン
 (前月同月比6.0%減、前月比2.7倍)
中国    273トン
(同59.6%増、同18.7%増)
ボリビア  103トン
 (同1.0%増、同54.4%減)
フィリピン  40トン
 (同14.9%減、前月輸入実績なし)
コスタリカ 20トン
 (前年同月および前月輸入実績なし)

図6 含みつ糖の輸入量の推移

図7 含みつ糖の国別輸入量の推移

 2018年2月の1トン当たりの輸入価格は、12万1857円(前年同月比2.1%安、前月比4.4%安)であった(図8)。
 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

タイ      11万6939円
 (前年同月比3.1%安、前月比1.9%安)
中国     12万6524円
 (同2.3%安、同4.3%安)
ボリビア     13万円
 (同2.9%安、同3.9%安)
フィリピン  15万8225円
 (同6.3%安、前月輸入実績なし)
コスタリカ  17万7800円
 (前年同月および前月輸入実績なし)

図8 含みつ糖の輸入価格の推移

【加糖調製品の輸入動向】
2月の加糖調製品の輸入量は前年同月からわずかに減少

 財務省「貿易統計」によると、2018年2月の加糖調製品の輸入量は、4万1439トン(前年同月比2.1%減、前月比4.7%減)であった(図9)。
 品目別の輸入量は、次の通りであった(表3)。

表3 加糖調製品の品目別輸入数量(2月)

図9 加糖調製品の品目別輸入数量の推移

4. 価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 3月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。

上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり 189〜190円
大阪                同190円
名古屋               同193円
関門                同193円

上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり 202〜203円
大阪                同204円

本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり 194〜195円
大阪                同195円
名古屋              同198円

ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり 189〜190円
大阪                同190円
名古屋              同191円

 3月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

果糖分42%もの
1キログラム当たり131〜132円

果糖分55%もの
           同137〜138円

【小売価格】
3月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で27.1円

 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、191.9円(前年同月差1.6円安、前月差0.2円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった中部との価格差は27.1円であった。
 同月の地域別(注)の平均小売価格は次の通りであった(表4)。

表4 上白糖の地域別平均小売価格(3月)

(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
3月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で73.5円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、244.0円(前年同月差2.4円高、前月差0.2円高)であった。最も高かっ たのは東北で、最も安かった北海道との価格差は73.5円であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表5)。

表5 グラニュー糖の地域別平均小売価格(3月)

3月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で46.9円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月の三温糖小袋(1キログラム) の平均小売価格は、235.6円(前年同月差0.3円高、前月差0.4円安)であった。最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は46.9円 であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表6)。

表6 三温糖の地域別平均小売価格(3月)

【購入金額および購入量】
2月の砂糖の支出金額は前年同月からかなりの程度下落

 総務省「家計調査」によると、2018年2月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は35で、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、80円(前年同月比9.1%安、前月比3.9%高)であった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、331グラム(同16.0%減、同8.5%増)であった(図11)。

図10 1世帯当たりの砂糖に係る支出額の推移

図11 1世帯当たりの砂糖の購入数量の推移

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