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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2018年5月時点予測)

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最終更新日:2018年6月11日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2018年5月時点予測)

2018年6月

 本稿中の為替レートは2018年4月末日TTS相場の値であり、1米ドル=110円(110.35円)、1ユーロ=134円(133.89円)、1インド・ルピー=1.80円である。

ブラジル

2017/18年度、砂糖生産量はほぼ横ばい、輸出量はわずかな増加の見込み
 英国の調査会社 LMC International(農産物の需給などを調査する英国の民間調査会社)の2018年5月現在の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2017/18砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は856万ヘクタール(前年度比1.0%増、前月予測と同水準)とわずかに増加すると見込まれているものの、北東部の干ばつの影響などから生産量は6億4031万トン(同1.8%減、前月予測と同水準)とわずかに減少すると見込まれている(表2)。砂糖生産量(粗糖換算〈以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算〉)は、サトウキビの砂糖への仕向け割合の増加などにより、4147万トン(同0.5%減、前月予測と同水準)と北東部の減産分をカバーし、ほぼ横ばいと見込まれている。砂糖輸出量は、世界的に輸入需要が弱まるとされているものの、3079万トン(同2.2%増、前月予測と同水準)とわずかな増加が見込まれている。

CONAB、2018/19年度の生産見通しを公表
 ブラジル国家食料供給公社(CONAB)が5月3日に公表した2018/19年度の生産予測によると、製糖業者の間で原料搬入コストの削減を図るため、工場から離れた土地の栽培契約を見送る動きが広がっていることなどが影響して、サトウキビ収穫面積は861万ヘクタール(前年度比1.3%減)とわずかな減少が見込まれている。そして、砂糖生産量は3548万トン(同6.3%減)とかなり減少する見込みとなっている。これは、世界的な砂糖価格の低迷を背景にサトウキビをエタノール生産へ仕向ける割合が増加することに加え、サトウキビの梢頭部や枯れ葉を燃やす、いわゆる焼き畑による収穫が主要産地のサンパウロ州で2018年から全面禁止となったことから、工場に搬入される原料に混入する(きょう)(ざつ)物の量が増え、製糖歩留まりの低下を招く可能性があることも要因として挙げられている。

 一方、UNICAが発表した2018年4月の生産実績報告(注)によると、収穫作業が天候に恵まれ順調に進んだことから、サトウキビ圧搾量は5984万トン(前年同月比42.7%増)、砂糖生産量は224万トン(同21.6%増)と、ともに大幅増となった。製糖業者におけるエタノール生産量も、272万キロリットル(同67.7%増)と大幅増となった。

EUとのFTA交渉、農業分野で歩み寄りの姿勢を見せる
 4月下旬、ブラジルなど南米4カ国が加盟する南米南部共同市場(メルコスール)とEUによる自由貿易協定(FTA)交渉会合がブリュッセルで開催された。現地報道によると、焦点である工業製品の関税の引き下げに加え、政府調達の拡大や地理的表示の保護などを求めるEUとの意見の隔たりが埋まらず大筋合意には至らなかったものの、農業分野の一部の品目で歩み寄りの姿勢も見られ、長らく停滞していた交渉がようやく一歩前進した。交渉直前の3月下旬と4月中旬に、EU、ブラジル、アルゼンチンなども参加して開かれた20カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)において、多くの国が世界的に高まる保護主義に対する懸念を表明し、自由貿易の重要性を共有したことが追い風となったとみられる。

 次回の交渉日程は確認されなかったが、来年はアルゼンチンとウルグアイが大統領選挙を控え、EUでは欧州委員の任期満了を迎えることから、両者とも年内の大筋合意を目指している。

(注)中南部地域の値。

表2 ブラジルの砂糖需給の推移

(参考)ブラジルの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

インド

2017/18年度、砂糖生産量、輸出量ともに大幅増の見込み
 2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は483万ヘクタール(前年度比11.7%増、前月予測比2.8%増)とかなりの増加が見込まれ、生産量は3億9272万トン(同28.3%増、同5.6%増)と大幅増が見込まれている(表3)。砂糖生産量は、サトウキビの増産に加え、主要生産州で適度な降雨に恵まれ、製糖歩留まりの向上が見込まれることから、3429万トン(同56.9%増、同5.0%増)と3年ぶりの増加が見込まれている。砂糖輸出量は、生産量の増加に伴い急激に在庫が積み上がる見通しを背景に、341万トン(同52.9%増、同70.7%増)と大幅増が見込まれている。

 インド製糖協会(ISMA)によると、2017年10月から翌4月までの砂糖生産量は、精製糖換算で3104万トン(前年同期比59.1%増)と大幅増となった。州別に見ると、マハラシュトラ州は1065万トン、ウッタルプラデシュ州は1120万トン、カルナタカ州は363万トンであった。

政府、製糖業者に対し最低輸出義務を課す
 政府は3月、砂糖に対する20%の輸出関税を撤廃するとともに、製糖業者に対し200万トンの最低輸出義務を課した。砂糖の輸入増加で国内消費が飽和状態にある中、サトウキビの増産による砂糖の国内価格の下落と在庫の急増が重なり、製糖業者の業績が悪化し、生産者への原料代の支払いが滞っていたことから、今回の措置はこれらを解消する狙いがある。最低輸出義務は、2015年以来3年ぶりの設定となり、2018年9月までに履行する必要がある。同時に、生産した砂糖を輸出した製糖業者に対して、2021年までの間、その輸出量を上限に粗糖を無税で輸入できる措置も講じる。

 現地報道によると、輸出義務は5月までに達成されたとみられるが、輸出価格が生産コストを下回る水準で推移しているため、対応できた製糖業者が限られ、その効果も限定的であった。このため政府は、砂糖の民間在庫を政府が買い上げるといった新たな計画の検討に着手した。

生産者への未払い額、450億円に達する
 現地報道によると、製糖業者からサトウキビ生産者へ未払いとなっている原料代の合計額が250億ルピー(450億円)に達し、いくつかの州では生産者の経営が維持できるよう州政府が救済措置として製糖業者の債務を一部肩代わりしている。これを受け政府は5月2日、サトウキビ1トン当たり55ルピー(99円)を生産者に交付する計画を発表した。この財源についてインドの財務大臣は、「物品・サービス税(注)の増税によって確保することを検討している」と述べ、砂糖をその対象品目にする可能性を示唆した。今回の発表をめぐっては、2014年に政権交代によって誕生したモディ首相率いる政府が、来年実施される5年に1度の総選挙に向け、大票田である農村部の支持固めに入っているのではないかという見方がある。他方、ブラジルや豪州など主要な砂糖生産国からは、輸出補助金の禁止を定めたWTO協定に反していると指摘する声が聞かれ、これらの国の関係者は5月上旬に米国で会合を開き、WTOへの提訴に向け協議を始めた。これに対し、インド政府は「計画する補助金は生産者に直接交付するものであり、輸出補助金には当たらない」との見解を示している。

(注)物やサービスに係る間接税は、政府と州政府ごとに税率などが異なり、複雑な税体系となっていたことから、経済成長の阻害要因となっていた。このため、政府は税制改正を行い、2017年に「GST」と呼ばれる全国統一の税制を導入した。

表3 インドの砂糖需給の推移

(参考)インドの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

中国

2017/18年度、砂糖生産量はかなり増加、輸入量はかなり減少の見込み
 2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)においては、サトウキビについて、収穫面積は123万ヘクタール(前年度比4.5%増、前月予測と同水準)、生産量は7678万トン(同4.2%増、前月予測と同水準)と、ともにやや増加が見込まれている(表4)。てん菜については、収穫面積は19万ヘクタール(同10.7%増、前月予測と同水準)、生産量は959万トン(同8.7%増、前月予測と同水準)と、ともにかなりの増加が見込まれている。地域別では、てん菜の主要生産地である内モンゴル自治区の増加が著しい。これらにより、砂糖生産量は1103万トン(同11.5%増、前月予測と同水準)とかなりの増加が見込まれている。砂糖生産量は依然として消費量を下回ると見込まれるが、砂糖輸入量は砂糖に対する追加関税措置により525万トン(同9.3%減、前月予測比2.2%増)とかなりの減少が見込まれている。

 中国砂糖協会(CSA)によると、2017年10月から翌4月までの砂糖生産量は、精製糖換算で1021万トン(前年同期比11.6%増)とかなり増加した。このうち、甘しゃ糖は906万トン(同11.8%増)、てん菜糖は115万トン(同9.8%増)と、ともにかなり増加している。

中国農業省、2018/19年度の需給見通しを公表
 中国農業省が5月13日に公表した砂糖を含む農産物の2018/19年度の需給見通しによると、砂糖生産量は1068万トン(前年度比4.2%増)とやや増加することが見込まれ、砂糖消費量は世界的な砂糖の供給過剰を背景とした砂糖価格の下落により消費が押し上げられ、1520万トン(同1.3%増)とわずかな増加が見込まれている。

2017/18年度上半期の砂糖輸入量、前年同期を大幅に下回る
 2018年3月の砂糖輸入量は、旧正月(春節)明けの反動と需給の逼迫(ひっぱく)感の高まりなどを受け、前月比で10倍を超える38万トン(前年同月比25.9%増)となった。ただし、政府は2017年5月22日から3年間、関税割当(枠内税率15%)の枠外で輸入される砂糖に対し、反ダンピング関税を課している(注)ことから、2017/18年度上半期の砂糖輸入量は89万トン(前年同期比33.9%減)と大幅減となった。

(注)海外からの安価な砂糖の流入により、国内の砂糖産業に損害が生じまたはその恐れがあるとして、ブラジル、豪州および韓国などの砂糖輸入先国を対象に実施した調査結果を踏まえ、50%であった枠外税率に45%の追加関税を課した。ただし、2年目は40%、3年目は35%と段階的に引き下げられる予定となっている。なお、追加関税について、開発途上の約190の国・地域(フィリピンやパキスタンなど以前から中国と関係の深い国も含む)については、一定の条件を満たせば除外される。

表4 中国の砂糖需給の推移

(参考)中国の砂糖(粗糖・精製糖別)の輸入量および輸入単価の推移

EU

2017/18年度、砂糖生産量、輸出量ともに大幅増の見込み
 生産割当廃止後の初年度となる2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)は、てん菜の収穫面積は172万ヘクタール(前年度比17.6%増、前月予測と同水準)、生産量は好天による単収の増加もあり1億3440万トン(同25.7%増、前月予測と同水準)と、ともに大幅増が見込まれている(表5)。これにより、砂糖生産量は2149万トン(同22.4%増、前月予測と同水準)、輸出量は381万トン(同2.5倍、前月予測比7.9%減)と、ともに大幅増が見込まれている。

砂糖卸売価格、生産割り当て廃止以降下落が続く
 欧州委員会がまとめた2018年2月のEU域内の砂糖卸売価格(以下「卸売価格」という)は、前年同月比25.2%安の1トン当たり372ユーロ(4万9848円)となった。卸売価格は、これまで砂糖の国際価格(ロンドン白糖価格)の影響を受けにくく、同500ユーロ(6万7000円)前後で安定的に推移していたが、2017年10月の生産割り当ての廃止により国際価格との相関性が高まり、国際価格と連動して下落を始めていた。10月以降の卸売価格は、国際価格を上回った状態で推移しているものの、2月時点の価格差は1トン当たり15ユーロ(2010円)程度まで縮小しており、今後、さらに縮まると予想される。

 現地報道によると、製糖業者の多くがこうした状況に頭を抱えており、関係者は「現在の価格水準は、生産コストの削減や販売量を増やしても利益を確保できるような状況でない」としている。

寒波の影響で播種作業が大幅に遅延
 現地報道によると、てん菜の()(しゅ)期に当たる3月に広範囲で寒波に見舞われ、平年より播種作業が大幅に遅れている。てん菜の主要生産国であるフランスでは、播種の開始が平年より20日遅れとなった。播種が遅れると栽培期間が短くなるため、てん菜生産量が3%程度減産する見込みで、この状況は他のEU諸国でも同様であることから、2018/19年度の砂糖の需給予測に影響が出るとみられる。

欧州委員会、ネオニコチノイド系農薬の使用禁止を決定
 欧州委員会は、欧州各地でミツバチが減少している事態(注)に対処するため、2018年4月27日、ネオニコチノイドと呼ばれる農薬のうち、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムを主成分とする薬剤(以下「対象薬剤」という)について、すべての作物への使用を禁止すると公表した。周知期間などを考慮すると、使用が禁止されるのは早くとも今年の秋以降になるとみられる。なお、温室内での使用や、対象薬剤以外のネオニコチノイドの使用は引き続き認められる。

 ネオニコチノイドは、根から吸収され植物全体に浸透する特性から、種子にコーティングする、種子をまく溝の中に散布するなどの方法で施用される。害虫に直接散布したり、葉面散布したりする農薬と比べ、効果に持続性があり散布回数を減らせるなどの利点から、世界で広く使用されている。てん菜生産においては、ウイルス性の萎黄病を媒介する害虫を防除する最も有効な薬剤とされている。しかし、欧州食品安全機関が2月にまとめた報告書では、対象薬剤について「屋外での使用は野生種を含めミツバチへのマイナスの影響を排除できない」と結論付けられた。

 今回の決定を受け、EU最大のてん菜生産国であるフランスの農業団体は、「昆虫を媒介するウイルス性の萎黄病に感染するリスクが高まり、てん菜の収量が平均で12%減少するだろう」としている。

(注)蜂群崩壊症候群と呼ばれる現象。ミツバチの方向感覚などに何らかの障害が起き、巣に戻れなくなると考えられている。ミツバチは多くの植物の受粉に関わるため、その個体数の減少は養蜂業のみならず、農業や生態系に与える影響が大きい。

表5 EUの砂糖需給の推移

(参考)EUの主要国別砂糖生産見通しおよび生産割合

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272



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