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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2018年10月時点予測)

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最終更新日:2018年11月9日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2018年10月時点予測)

2018年11月

 本稿中の為替レートは2018年9月末日TTS相場の値であり、1米ドル=115円(114.6円)、1インド・ルピー=1.73円、1ユーロ=134円(133.6円)、1ポーランド・ズロチ=32円(32.2円)である。

ブラジル

2018/19年度、砂糖生産量、輸出量ともに大幅に減少する見込み
 LMC International(農産物の需給などを調査する英国の民間調査会社)の2018年10月時点の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、869万ヘクタール(前年度比1.3%増)とわずかな増加が見込まれている。一方、生産量は、北東部地域の全域と中南部地域の一部で高温少雨が続き、生育の遅れが見られることから、5億9500万トン(同7.2%減)とかなりの減少が見込まれている(表2)。砂糖生産量は、サトウキビの減産に加え、国際価格の下落などからサトウキビをバイオエタノール生産に仕向ける動きが加速すると予測されるため、3170万トン(粗糖換算〈以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算〉、同23.6%減)と大幅な減少が見込まれている。輸出量は、主要輸出相手国である中国が追加関税措置を実施していることなども影響して、2049万トン(同33.9%減)と大幅な減少が見込まれている。

メルコスール、韓国とのFTA交渉を開始
 ブラジルなど南米4カ国で構成される南米南部共同市場(メルコスール)と韓国との自由貿易協定(FTA)の第1回目の交渉会合が9月中旬、ウルグアイで開催された。現地報道によると、今回の会合では今後の進め方の確認や双方の関心事項などについて幅広く意見交換が行われたとみられる。この交渉でメルコスール側は、農産品の市場アクセス拡大を優先事項として掲げている。中でもブラジルは、韓国にとって第3位の砂糖輸入相手国であるものの、2015年に発効した韓国・豪州FTAにより第1位の豪州に大きく水をあけられていることから、砂糖に関して大幅な関税率の引き下げまたは撤廃を求めていくものと思われる(注)

 また、メルコスールの外相会合が行われた10月15日、ブラジル外務相は記者会見で、大詰めを迎えるメルコスールとEUとのFTA交渉をめぐり、ブラジル大統領選挙の結果が今後の交渉に不要な憶測や混乱を与えないよう「大統領選挙がどのような結果であっても、メルコスールとEUとのFTA交渉には何ら影響しないだろう」と述べ、年内に妥結する姿勢に変わりはないことを強調した。

(注)韓国では、粗糖(糖度99.5度未満)に対し3%の関税率(基本税率)が適用されるが、豪州産の粗糖は無税となっている。また、精製糖にあっては30%の関税率が適用され、豪州産は毎年約2%ずつ段階的に引き下げられ、最終的に無税になる(2018年現在は25.2%)。

政府、食品中の糖類を削減することで食品メーカーと合意
 ブラジル保健相は10月1日、飲料、ビスケット、チョコレートなどの加工食品に含まれる糖類の量を削減することで食品メーカーと合意したと発表した。今のところ具体的な削減目標は明らかにされていないが、2021年までに目標を達成するとしている。同相は、「食品メーカーとの連携は国民の健康づくりの推進に不可欠な要素であり、食品の糖類含有量の削減を通して高齢者の生活の質の向上につなげていきたい」と述べた。

 ブラジルは、成人の2人に1人が肥満という状況にある(図3)。特に、高齢者の8割が肥満または過体重であるとされ、その割合は増加の一途をたどっている。これと深く関係する糖尿病などの生活習慣病の患者数も年々増加しており、今回の政府の決定の背景には、今後高齢化が進むと見込まれる中、医療や介護などの社会保障費を抑制したいという思惑があると思われる。

図3 各国の肥満者率

表2 ブラジルの砂糖需給の推移

(参考)ブラジルの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

インド

2018/19年度、砂糖生産量はやや増加する一方、輸出量は大幅に減少する見込み
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は512万ヘクタール(前年度比6.1%増)とかなりの増加が見込まれるものの、生産量は主要生産州で4月から6月にかけ記録的な熱波に見舞われた影響で全体的に生育が停滞していることから、3億8798万トン(同1.4%減)とわずかな減少が見込まれている(表3)。砂糖生産量は、製糖歩留まり率が上昇傾向にあることなどを踏まえ、3666万トン(同5.3%増)とやや増加すると見込まれている。これにより、インドはブラジルを抜いて世界一の砂糖生産国となる公算が高まった。輸出量は、2017/18年度の見込みが前回予測から大幅に上方修正(216万トン増)された影響に加え、政府が製糖業者に対し500万トンの最低輸出義務を課すものの、生産コストが国際価格を上回る現状にあり、その実現可能性については懐疑的な見方も多いことなどを踏まえ、355万トン(同25.4%減)と大幅な減少が見込まれている。

政府、生産者への補助金の額を引き上げ
 政府は9月26日、2018/19年度の生産者に交付する補助金の額を、現行のサトウキビ100キログラム当たり5.5ルピー(10円)から同13.75ルピー(24円)へ引き上げることを決定した。同政府は、同年度に適用するサトウキビの適正価格(FRP)(注)を100キログラム当たり275ルピー(476円)とすることをすでに決定していることから、生産者に支払われる原料代の5%に相当する額を政府が実質的に負担することとなる。

 また、製糖業者に対しては製糖工場から輸出港までの輸送に要する経費の一部を補助する。ただし、最低輸出義務も引き続き継続され、2017/18年度の倍以上の500万トンに引き上げられる。加えて、生産者に交付する補助金は、製糖業者に割り当てた輸出義務が履行されるまで交付しない旨が規定される予定であることから、製糖業者にとってはむしろ負担が増したと言える。

(注)FRPは、製糖業者の生産コストなどを勘案して定められており、この水準を下回る価格でサトウキビを買い取ることは違法とされる。生産者に補助金が交付される場合は、それに相当する額を差し引いた額が製糖業者の実質的な負担額となる。

表3 インドの砂糖需給の推移

(参考)インドの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

中国

2018/19年度、砂糖生産量はわずかに増加、輸入量は横ばいで推移する見込み
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は125万ヘクタール(前年度比1.1%増)、生産量は7775万トン(同1.3%増)と、ともにわずかな増加が見込まれている(表4)。てん菜の収穫面積は22万ヘクタール(同20.5%増)、生産量は1118万トン(同16.6%増)と、ともに大幅な増加が見込まれている。砂糖生産量は、良好な天候に恵まれ原料作物の増産が期待できることから、1142万トン(同2.4%増)とわずかな増加が見込まれているが、依然として消費量を大きく下回る水準である。輸入量は、645万トン(同0.8%増)とほぼ横ばいで推移すると見込まれている。

砂糖への追加関税措置をめぐり、ブラジル政府が提訴
 世界貿易機関(WTO)は10月22日、中国政府による砂糖への追加関税措置(注)をめぐり、ブラジル政府が提訴する手続きに入ったと発表した。両国は、まずWTOが定める紛争処理手続きに基づき2国間協議での解決を目指す。解決できなかった場合、ブラジル政府は専門家によって審理する紛争解決小委員会(パネル)の設置を求めることができる。

 これに先立ち、中国商務省の報道官は「輸入する砂糖に課している追加関税は、WTOのルール上認められているセーフガード措置である」との認識を改めて示し、「ブラジル政府から2国間協議の要請があれば、誠実に対応する」と述べていた。

 中国政府は8月以降、追加関税措置について対象となる国を限定しない運用に切り替えるなどブラジルに一定の配慮を示していた。しかし、それ以降も中国が輸入する砂糖の輸入量にあまり変化が見られなかったこともあり、ブラジル政府は今回の提訴に踏み切ったとみられる。

(注)追加関税の税率は1年目が45%、2年目が40%、3年目が35%と段階的に引き下げられることとなっている。発動した当初、開発途上国などは追加関税の適用が免除されていたが、2018年8月からすべての国が適用されることとなった。

表4 中国の砂糖需給の推移

(参考)中国の砂糖(粗糖・精製糖別)の輸入量および輸入単価の推移

EU

2018/19年度、砂糖生産量、輸出量ともにかなり減少する見込み
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)てん菜の収穫面積は172万ヘクタール(前年度比0.6%減)とほぼ横ばいで推移すると見込まれているが、生産量は1億2033万トン(同10.6%減)とかなりの減少が見込まれている(表5)。これにより、砂糖生産量は1884万トン(同12.5%減)、輸出量は342万トン(同10.1%減)と、ともにかなりの減少が見込まれている。

欧州委員会、砂糖および異性化糖の短期的需給見通しを公表
 欧州委員会は10月3日、砂糖および異性化糖の短期的需給見通しを公表した。2018/19砂糖年度の見通しについて、てん菜生産量は、春先の低温と天候不順で()(しゅ)が大きく遅れたことに続き、欧州北部を中心とした深刻な干ばつにより生育が停滞した影響で、かなり減少するとの見通しが示された。これにより、砂糖の生産量と輸出量は3年ぶりに減少に転ずると見込まれている。

 他方、同年度の異性化糖生産量は、2017年9月をもって生産割当が廃止されたことにより供給側の生産意欲が高まっているものの、それに見合った需要の掘り起こしの実現に至っていない現状などから、横ばいで推移すると見込まれている。ただし、一般に異性化糖は砂糖より安価であることから、今後堅調にシェアを伸ばしていくだろうと分析しており、2023年までに異性化糖の生産量・消費量は240万トンに達する可能性があるとしている。

ポーランド政府、干ばつ被害に対する財政支援を決定
 現地報道によると、EUのてん菜生産量第3位のポーランドでは、牧草地などを含め350万ヘクタールの農地が干ばつ被害を受けているとみられ、その被害額は37億ズロチ(1184億円)を超えると見積もられている。これを受け、同国政府は9月中旬、干ばつの被害を受けた生産者に対し5億ズロチ(160億円)規模の財政支援を行うことを決定した。計画では、被害の程度に応じて1ヘクタール当たり最大1000ズロチ(3万2000円)の支援金を交付するほか、低利融資や税制上の優遇措置を講ずる。9月末時点で約4万人の生産者がすでに申請を終え、申請者の約半数が被害状況について「平均収量が70%以上減少した」と回答しているという。

表5 EUの砂糖需給の推移

(参考)EUの主要国別砂糖生産見通しおよび生産割合(2018年9月時点)

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272



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