砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 砂糖の国際需給・需給レポート > 4. 日本の主要輸入先国の動向(2019年1月時点予測)

4. 日本の主要輸入先国の動向(2019年1月時点予測)

印刷ページ

最終更新日:2019年2月8日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2019年1月時点予測)

2019年2月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、 2017年の主要輸入先国ごとの割合は、豪州が69.5%(前年比17.3ポイント増)、タイが25.0%(同22.7ポイント減)と、この2カ国で9割以上を占めている(財務省「貿易統計」)。
 豪州およびタイについては毎月の報告、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回は南アフリカを報告する。本稿中の為替レートは1タイ・バーツ=3.49円、1南アフリカ・ランド=9.16円である。

豪州

2018/19年度、砂糖生産量はほぼ横ばい、輸出量はやや減少の見込み
 2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、39万ヘクタール(前年度比2.5%増)とわずかな増加が見込まれるが、夏季にクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州で発生した干ばつの影響を受けて、生産量は、3247万トン(同2.6%減)とわずかな減少が見込まれている(表6)。しかし、乾燥気候によってサトウキビの糖度が上昇したことにより、砂糖生産量は、446万トン(同0.2%減)とほぼ横ばいで推移すると見込まれている。輸出量は341万トン(同4.6%減)とやや減少すると見込まれている。

2018/19年度の製糖操業、12月9日に終了
 豪州砂糖製造業者協議会(Australian Sugar Milling Council)(注)が12月15日に発表した統計によると、12月9日をもって24の製糖工場における今年度の製糖操業がほぼ終了した。2018/19年度は、平年より気温が高く、降水量が極端に少なかったため、土壌が極めて乾燥した状態が続いた。これにより、全体としてサトウキビの茎丈が抑制される傾向が見られたため、圧搾されたサトウキビの量(速報値)は3243万8000トン(前年度比2.6%減)と当初予測より182万6000トン少ない結果となった。しかしながら、CCS(可製糖率:サトウキビのショ糖含有率)が14.3%(同0.7ポイント高)と過去10年で最も高い値を記録したことから、砂糖生産量は前年度を上回る見通しである。

(注)豪州の製糖業者が加盟する団体。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2018/19年度、砂糖生産量はかなり減少する一方、輸出量は大幅増の見込み
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、179万ヘクタール(前年度比0.9%増)とわずかに増加すると見込まれている。台風の勢力が弱まった熱帯低気圧が多く通過し、サトウキビの倒伏、茎葉の傷みなどが発生した影響を受けて、生産量は1億2500万トン(同7.4%減)、砂糖生産量は、1439万トン(同7.7%減)とかなりの減少が見込まれている(表7)。一方、輸出量については前年度のサトウキビの豊作により積み上がった過剰在庫を解消するため輸出を強化するとみられることから、1305万トン(同29.5%増)と大幅な増加が見込まれている。

製糖業者へ150億バーツ規模の赤字補てんを実施
 現地報道によると、砂糖の国際価格の低迷による影響で多くの製糖業者が莫大な損失を被り、資金繰りに窮する可能性がある。生産者へのサトウキビ代(原料代)の最低買い取り価格は、サトウキビ砂糖委員会(TCSB)が毎年11月ごろに決定しており、2018/19年度はサトウキビ1トン当たり700バーツ(2443円。前年度比20.5%減)と大幅に減額されたものの、長引く砂糖の国際価格の低迷で砂糖の販売収入が大きく減少し、製糖業者の多くは原料代の支払い原資が手元に残っていないとされる。このままでは生産者への原料代の支払いが滞る可能性があるため、砂糖産業の健全な発展のため生産者と製糖業者が造成した「サトウキビ・砂糖基金」の管理団体は、同基金から100億バーツ(349億円)程度を取り崩し、製糖業者の赤字補てんに充てる方向で調整に入った。このほか、政府からの財政投融資を活用して捻出した51億バーツ(177億9900万円)もこの補てんに充てる予定である。しかし、製糖業全体の赤字総額は190億バーツ(663億1000万円)を超えると見込まれており、対策に必要な資金の約2割は調達のめどが立っていないとされる。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

南アフリカ

2018/19年度、砂糖生産量はかなり増加、輸出量はやや増加の見通し
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、28万ヘクタール(前年度比1.8%増)とわずかに増加が見込まれ、生産量は1928万トン(同10.9%増)とかなりの増加が見込まれている(表8)。

 12月に一部地域で非常に激しい豪雨が発生したが、その前に収穫作業がある程度進んでいたことから、豪雨の影響は少ないと見られ、砂糖生産量は前回予測とほぼ同様に、232万トン(同7.6%増)とかなり増加する見込みである。輸出量については、83万トン(同3.6%増)とやや増加すると見込まれている。

砂糖税の税収、当初の予想を大きく上回る見通し
 南アフリカ財務省が10月30日に発表した財務報告によると、2018年4月に導入された糖類を含む飲料に対する課税(Health promotion levy〈健康増進税〉)の税収は9月末時点で12億8000万ランド(117億2480万円)となった。これにより、年間の税収見込み額は同省が当初見込んでいた16億8000万ランド(153億8880万円)を大きく上回る可能性があるとした。

 健康増進税は、生活習慣病の予防や食習慣の改善を目的に導入され、100ミリリットル当たり4グラム以上の糖類を含む飲料に対し、糖類1グラム当たり2.1セント(0.2円)を課税する仕組みである。

 同省は、想定以上に税収が伸びた要因として「飲料メーカーにおける糖類削減の取り組みが不十分であり、また、消費者も糖類を含む飲料の購入を控える動きが見られない」と分析する。

 これに対し、南アフリカの飲料業界の団体は「現時点で課税の影響を判断するのは時期尚早だ」との見方を示し、今後、課税が飲料消費に与える影響を独自に調査していくとした。

表8 南アフリカの砂糖需給の推移

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272