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食品メーカーにおける砂糖類および人工甘味料の利用形態

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最終更新日:2019年2月8日

食品メーカーにおける砂糖類および人工甘味料の利用形態
〜平成29年度甘味料およびでん粉の仕入動向等調査の概要〜

2019年2月

調査情報部

【要約】

 砂糖類および人工甘味料の仕入量は総じて安定している。砂糖と異性化糖の仕入価格については、国際相場の価格下落に連動し、「下落」「やや下落」と回答する企業が2割程度存在した。今後の仕入見込みについては、砂糖類、人工甘味料ともに、増加すると回答した企業の割合が前年度調査より上昇した。 

はじめに

 砂糖や異性化糖などの甘味料は、加工食品に甘味を付与するために必要不可欠な原料である。甘味料の用途は、チョコレートやキャンディー・グミなどの菓子類のほか、清涼飲料水や乳飲料・乳製品・水産練り製品、調味料類など多岐にわたる。 

 農林水産省によると、砂糖の総需要量および1人当たりの年間消費量は、いずれも平成19年度以降は減少傾向で推移していたものの、27年度に下げ止まりの兆しを見せ、30年度の砂糖の総需要量は195万トン、1人当たり消費量は15.4キログラムと前年度より増加する見通しである(図1)。

 昨今の砂糖の仕向けは、家庭用の割合が減少する反面、業務向けが伸長し、全体の約9割を占め、食品製造業における砂糖の需要動向が消費動向に大きな影響を与えていると考えられる(図2)。

 他方、人工甘味料は、飲料向けの用途が多く、甘さの調整や主原料の風味を引き立てる目的の他、商品のカロリーの低減を図るために使用されるが、近年は、さままざまな機能性を有する人工甘味料が市場に多数ひしめき合う状況にあり、厳しい競争にさらされている。

 当機構では、実需者の甘味料に対するニーズを把握し、甘味料の需給動向の判断に資す基礎的な情報を収集するため、食品製造事業者を対象としたアンケート調査を毎年実施している。

 本稿では、平成29年度を対象に実施した「甘味料およびでん粉の仕入動向等調査」のうち、砂糖類(砂糖、黒糖、異性化糖)および人工甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース)の調査結果について報告する。なお、その他甘味料および加糖調製品の調査結果については、次号にて報告することとし、天然でん粉および化工でん粉の調査結果については前月号を参照されたい。
 
(注)砂糖は液糖を含み、黒糖は国内産に限り調査を行った。また、異性化糖は、日本農林規格(JAS)の分類に基づき、ぶどう糖果糖液糖(果糖含有率50%未満)、果糖ぶどう糖液糖(同50%以上90%未満)、高果糖液糖(同90%以上)について調査を行った。 
 
 



 
1.調査の方法
(1)調査時期

平成30年5〜7月

(2)調査対象
甘味料を使用する食品製造事業者

(3)調査項目
平成29年度(4月〜翌3月)の砂糖類および人工甘味料の用途、仕入れ状況などに関する事項

(4)調査方法
郵送による調査票の発送および回収を実施

(5)回収状況
配布企業数    206社
回収企業数    111社
調査票回収率   53.9

(6)集計区分

(7)集計結果についての留意事項
ア.図中の「n」は有効回答数を表す。
イ.端数処理の関係により、図中の内訳の合計が100%にならないことがある。
ウ.「不明・無回答」は比較対象から除外する。

2.調査企業の概要

 甘味料を使用する企業111社の資本金の額と業種のそれぞれの構成比は、図3の通り。

3.集計結果

(1)砂糖類

ア.砂糖類の用途
 砂糖類全体での用途を見ると、「和生菓子・洋生菓子」が47件と最も多く、次いで、「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」が39件、「アイスクリーム類」が26件、「プリン・ゼリー類」が25件と続く(図4)。
 
 また、種類別に見ると、砂糖は「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」が最も多く、異性化糖は「アイスクリーム類」、次いで「はっ酵乳」であった。黒糖は「和生菓子・洋生菓子」が最多で、飲料への使用は見られなかった。

 具体的な食品への使用を見ると、「和生菓子・洋生菓子」はクッキーなどの焼き菓子やようかんが多く、「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」はサブレなどのビスケット類や豆菓子などのスナック菓子が多かった。
 その他に分類される用途には、冷凍食品や豆乳類、醤油やみそなどが挙げられた。

 

 
イ.砂糖類を使用する商品の数
 砂糖類を使用する商品の数は、1企業当たり「10点以下」が最も多く(43件)、次いで「101点以上」(41件)が多かった。

 種類別に見ると、黒糖は「10点以下」が最も多いが、砂糖および異性化糖では「101点以上」が最も多かった(図5)。
 

ウ.砂糖類を使用する理由
 砂糖類を使用する理由として、「商品に風味を加える」が70件と最も多く、次いで「甘味料そのものの味、風味が良い」が54件と続き(図6)、前年度調査と同様の傾向であった。

 種類別に見ると、黒糖は「商品に風味を加える」「商品の付加価値を高める」との回答が相対的に多く、商品名に「黒糖」を記載することで他の商品との差別化を図っているものが多く見られた。砂糖や異性化糖は「商品に風味を加える」と「甘味料そのものの味、風味が良い」が上位回答であった。「商品に風味を加える」と回答した企業は、業種を問わず食欲を促進させるような風味や香りを出すのに砂糖類が使用されていることがうかがえる。
 なお、「製造原価(製造コスト)を抑える」と回答した企業はすべて異性化糖を使用している。
 

 

エ.仕入量の動向
(ア)直近1年間の仕入量

 平成29年度の仕入量を種類別に見ると、砂糖、異性化糖ともに「1000トン未満」が最も多く、次いで「1000トン以上3000トン未満」「9000トン以上」がそれぞれ同率であった(図7)。
 また、黒糖は「20トン未満」が最も多く、次いで「80トン以上」となった(図8)。
 


 
(イ)昨年度と比較した仕入量の動向
 平成28年度と比較した29年度の仕入量の動向は、いずれの砂糖類も「横ばい」が最も多く、それぞれ5割を占めた(図9)。

 横ばい以外を回答した企業は、その増減要因として、「需要の変動」を挙げるところが多かった。「大幅に増加」「やや増加」と回答した企業の割合は、前年度調査よりも増加し、その理由として「需要の増加により出荷数量が増える」「新商品を開発」などが挙げられていた。こうした回答は、とりわけ製菓業や乳飲料・乳製品の製造業が多く、これは、訪日外国人観光客の増加によるインバウンド消費が、菓子類の国内生産を後押ししているとみられる。
 
「やや減少」「大幅に減少」と回答した企業は、調味料製造業や総菜製造業が多かった。
 


(ウ)今後の仕入量の見込み
 今後の仕入量の見込みは、いずれの砂糖類も「横ばい」が6〜7割程度を占めた。しかしながら、砂糖や異性化糖は「やや増加する見込み」が全体の2割を占め、黒糖は前年度調査では回答のなかった「大幅に増加する見込み」「やや増加する見込み」が合わせて1割存在した(図10)。

 増加の理由としては「需要の増加による商品の出荷数量の増加」「新商品の開発」が多く、業種では製菓業や乳飲料・乳製品製造業が多かった。一方、「やや減少する見込み」「大幅に減少する見込み」と回答した企業も一定数存在し、業種は調味料製造業や乳飲料製造業などが多かった。
 
オ.仕入価格の動向
(ア)直近の仕入価格

 1キログラム当たりの仕入価格(平成30年3月時点)を種類別にみると、砂糖は「170円未満」が、異性化糖は「90円未満」が回答者の中で最多を占めた(図11)。

 日本経済新聞社が公表する「主要相場」(以下「日経相場」という)によると、30年4月の上白糖の月平均市中価格(東京、大袋)は1キログラム当たり190円(図12)、糖化製品市中相場の異性化糖の月平均市中価格は、果糖分42%のものが同131〜132円、果糖分55%のものが同137〜138円であることから、いずれも日経相場を下回る仕入価格であった。

 黒糖は「300円未満」「300円以上400円未満」が同率で最も多く、総じて他の砂糖類よりも高い傾向であった。
 




 
(イ)昨年度と比較した仕入価格
 平成28年度と比べた29年度の仕入価格の動向は、いずれの砂糖類も「横ばい」が最も多いものの、砂糖と異性化糖は「やや下落」の割合がそれぞれ2割程度と、「上昇」よりも「下落」と回答した者の方が多かった(図13)。

 増減要因としては「市場相場の変動によるもの」「仕入先の価格改定によるもの」を挙げる企業が多かったが、他にも「為替相場の変動よるもの」とする者もいた。

 実際、日経相場における上白糖の市中価格(東京、大袋)の推移を見ると、29年7月に1キログラム当たり196円から192円に下落し、その後は段階的に値下がりしている。これは、砂糖の国際価格(ニューヨーク粗糖先物相場)の値動きに連動しているものとみられ、29年度は、世界最大の砂糖生産国であるブラジルやEUが砂糖を増産する基調であったことなどから、世界の砂糖供給が過剰となる見通しを受け、国際価格が下落していた(図14)。
 



 
カ.砂糖類に対する評価
 砂糖類に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面については、いずれの種類も「満足」が過半を占めた(図15)。「やや満足」と合わせるとおおむね7割に達し、前年度よりも満足度の上昇が見られた。

 調達面についても「満足」「やや満足」を合わせると、いずれも半数を超えた(図16)。「満足」と回答した割合は、砂糖と異性化糖では5割を超えたが、黒糖では4割にとどまった。

 「不満」「やや不満」と回答した企業は、製菓業に多く見られた。特に黒糖は「不満」「やや不満」の合計が1割弱存在し、相対的に割合が高かったが、その理由として、原料の安定供給に対する不安が挙げられていた。

 

 

(2)人工甘味料

ア.人工甘味料の用途
 人工甘味料の用途を見ると「キャンディー・グミ・チューインガム」が13件と最も多く、次いで「コーヒー・ココア・紅茶飲料」が10件、「炭酸飲料・スポーツドリンク類」が9件、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」「プリン・ゼリー類」がともに7件と続く(図17)。「その他」の用途は、ミント系のタブレット菓子や、水などに溶かして飲む粉末状の飲料などであった。
 全体的な傾向としては、飲料向けの用途が多かった。


 
イ.人工甘味料を使用する商品の数
 人工甘味料を使用する商品の数は、種類ごとにやや異なった(図18)。アスパルテームは「10点以下」「11〜50点」「51〜100点」が同率で分散され、アセスルファムカリウムは「10点以下」が、スクラロースは「11〜50点」が最も多かった。


ウ.人工甘味料を使用する理由
 人工甘味料を使用する理由は、「他の甘味料との併用による甘さ調整」が17件と最も多く、次いで「甘味料そのものの味、風味が良い」(14件)、「商品に風味を加える」(12件)の順であった(図19)。
 
 種類別に見ても、おおむね同様の傾向が見られた。上位回答の「他の甘味料との併用による甘さ調整」「甘味料そのものの味、風味が良い」と回答した企業の多くは、飲料やキャンディー・ガムなどの菓子の製造業であった。

 前年度調査の上位回答は「商品のカロリーを抑える」「製造原価(製造コスト)を抑える」であったことと比べると、回答結果に違いが見られた。


エ.仕入量の動向
(ア)直近1年間の仕入量

 平成29年度の仕入量は「200kg未満」が21%と最も多く、次いで「5トン以上」(14%)、「200kg以上400kg未満」(11%)の順であった(図20)。

 種類別に見ると、どの種類も「200kg未満」が最も多かった(図21)。次いで、アスパルテームは「1トン以上5トン未満」と「5トン以上」が、スクラロースは「200キログラム以上400キログラム未満」と「5トン以上」が同率で多かった。





 

(イ)昨年度と比較した仕入量の動向
 平成28年度と比較した29年度の仕入量の動向は、どの種類も「横ばい」が過半を占め、前年度よりも1割程度増加した(図22)。「大幅に増加」「やや増加」と回答した企業はすべて「需要増加による商品の出荷数量の増加」を理由に挙げ、業種としては製菓や乳飲料・乳製品、調味料などの製造業であった。

 「大幅に減少」「やや減少」と回答した企業は「商品数の削減」や「需要減少による商品の出荷数量の減少」などを理由に挙げ、業種は清涼飲料や菓子などの製造業であ った。同業種であっても、需要の増減が起因して仕入量に違いが見られることから、人工甘味料を使用した商品市場は厳しい競合下にあると推察される。


 
(ウ)今後の仕入量の見込み
 今後の仕入量の見込みは、いずれの種類も「横ばい」が6割以上と大半を占めた(図23)。アセスルファムカリウムは、前年度調査では回答のなかった「やや増加」が一定数存在した。スクラロースは「大幅に増加する見込み」「やや増加する見込み」を合せると14%となり、前年度より1割程度増加した。増加するとした業種は、製菓業が主で、その他には飲料製造業や調味料製造業などであった。また、いずれの種類も「大幅に減少する見込み」「やや減少する見込み」と回答した企業が一定数存在し、理由としては「商品アイテム数の減少」「1商品当たりの含有量の減少」が挙げられ、缶詰製造業や清涼飲料業であった。


オ.仕入価格の動向
(ア)直近の仕入価格

 1キログラム当たりの仕入価格(平成30年3月時点)は「1万円以上2万円未満」が14%と最も多く、次いで「3千円未満」(11%)となり、他の価格帯においては5%未満で分散されている。(図24)。

 種類別に見ると、アスパルテームとアセスルファムカリウムは「3千円未満」が最も多かった。スクラロースは「1万円以上2万円未満」が最も多く、全体的に高価格帯で仕入れられている。(図25)。





 
(イ)昨年度と比較した仕入価格
 平成28年度と比べた29年度の仕入価格の動向は、いずれの種類も「横ばい」が大半を占め、おおむね安定的に推移していると言える(図26)。アセスルファムカリウムとスクラロースは対前年度比で「大幅に下落」「やや下落」の比率がやや高い傾向にある。要因として「仕入先の価格改定」「仕入先の変更」が挙げられ、業種としては、製菓業や乳飲料・乳製品製造業であった。


カ.人工甘味料に対する評価
 人工甘味料に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面では、いずれも半数程度が、「満足」としている。ただ、スクラロースについては「普通」の割合が他の二種類よりも若干高かった(図27)。

 調達面についても、アスパルテームとアセスルファムカリウムは「満足」が過半を占めたのに対して、スクラロースは、「満足」の割合が前年度より26ポイント低下し、「普通」の割合と拮抗(きっこう)している(図28)。「不満」と回答した企業は、輸入先国における価格や供給量の変動が激しいことを理由に挙げ、業種としては乳飲料・乳製品製造業であった。

おわりに

 今回の調査では、砂糖類および人工甘味料の仕入量の動向は、いずれも横ばいが最も多く、総じて安定していると言える。

 しかしながら、砂糖類の仕入価格については、国際価格の変動に伴い上下した企業も多く、価格変動の業績への影響を不安視する企業も存在した。また、仕入量については、製菓業や乳飲料・乳製品製造業などを中心に今後増加するとした企業が約2割存在した。これは、近年のインバウンド効果による菓子類をはじめとした食品の需要増加▽消費者ニーズを反映した新商品の開発−などにより、砂糖類の需要が拡大していることも背景にあるとみられる。実際、ある企業では、より自然で健康的な商品を選びたいという消費者ニーズを受け、一部商品を天然原料のみの使用へ切り替えたことでブランド価値が高まり、結果として販売量が大幅に増加した。

 一方、人工甘味料の仕入量については、減少したとする回答が目立ったが、その背景には、さまざまな機能性を有する人工甘味料が市場に割拠していることや、人工甘味料の使用度が高い飲料市場において、茶系飲料やフレーバー付き透明飲料などの人気が高まっていることなどにより、市場が厳しい競合にさらされていることが考えられる。

 近年、健康や美容への消費者の関心が一層高まっている中で、乳飲料・乳製品、菓子類の市場では天然由来の原料にこだわった商品や、風味のよい「低カロリー」商品など、栄養・機能性はもとより、味わいなどの品質を重視した商品が注目されている。消費者の()(こう)性が多様化する中、ニーズに応えた商品改良や新商品の開発などを通し、食品製造業における甘味料の需要が引き続き拡大されることを期待したい。

 最後に、お忙しい中、本調査にご協力いただいた企業の皆様に、改めて厚くお礼申し上げます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272