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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2019年2月時点予測)

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最終更新日:2019年3月11日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2019年2月時点予測)

2019年3月

 本稿中の為替レートは2019年1月末日TTS相場の値であり、1ブラジル・レアル=32円(31.61円)、1中国元=16.55円、1米ドル=110円(109.96円)である。

ブラジル

2018/19年度、砂糖生産量、輸出量ともに大幅に減少する見込み
 LMC International(農産物の需給などを調査する英国の民間調査会社)の2019年2月時点の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、872万ヘクタール(前年度比1.2%増)とわずかな増加が見込まれている。一方、サトウキビ生産量は、北東部地域の全域と中南部地域の一部で高温少雨が続き、生育の遅れが見られることから、6億1250万トン(同4.5%減)とやや減少が見込まれている(表2)。砂糖生産量は、国際価格の低迷に加え、砂糖価格よりエタノール価格が高く推移し、サトウキビをバイオエタノール生産に仕向ける動きが加速すると予測されるため、3135万トン(同24.4%減)と大幅な減少が見込まれている。輸出量は、主要輸出相手国である中国が追加関税措置を実施していることなども影響して、2014万トン(同35.0%減)と大幅な減少が見込まれている。

少雨が影響し、2019/20年度のサトウキビ生産量は伸び悩む見込み
 ブラジルの大手製糖業者の一つであるSão Martinho社によると、2018年12月から2019年1月にかけて、国内の主なサトウキビ生産地である中南部地域の降雨量が平年を下回って推移したことから、2019/20年度におけるサトウキビ生産量は伸び悩むと予測されている。

 同社は、気温が高く乾燥した気候となったことでサトウキビの初期生育が抑制されたことを理由に、4月ごろから始まる2019/20年度のサトウキビ収穫量を前回予測から5ポイント下方修正した。 同社は、ブラジルだけでなくインドの砂糖生産量も減少することで、今後数カ月のうちに砂糖の国際価格は回復すると予想しており、国際価格が回復すれば、来年度はサトウキビを砂糖に仕向ける割合が増え、エタノール生産量は今年度ほど増加しない可能性があるとしている。

 同社によると、2018/19年度の4月〜12月における純利益は、サトウキビ圧搾量の減少や砂糖の国際価格の低下が影響し、前年同期比32%減の2億2800万レアル(72億9600万円)となった。

表2 ブラジルの砂糖需給の推移

(参考)ブラジルの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

インド

2018/19年度、砂糖生産量は減少する一方、輸出量は大幅に増加する見込み
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は512万ヘクタール(前年度比6.1%増)とかなりの増加が見込まれている。マハラシュトラ州やカルナータカ州において干ばつや害虫の大量発生がサトウキビの生育を阻害したことから、サトウキビ生産量は3億8854万トン(同1.2%減)(表3)、砂糖生産量は3386万トン(同2.5%減)と、いずれも先月の見通しより改善したものの、わずかな減少が見込まれている。輸出量は、政府が製糖業者に対し500万トンの最低輸出義務を課している影響で、416万トン(同76.2%増)と大幅な増加が見込まれている。

2019/20年度の砂糖生産量、3000万トン以下に減少か
 現地報道によると、2019/20年度の砂糖生産量は、主要なサトウキビ生産地で高温・少雨の月が多かったことが影響して、直近の3年間で最も減少する可能性がある。全国協同組合砂糖工場連盟(NFCSF:National Federation of Co-operative Sugar Factories)によると、2019/20年度の砂糖生産量は、精製糖換算で3000万トン以下まで減少すると見込まれている。インドにおいて砂糖生産量第2位のマハラシュトラ州の政府によると、同州の一部地域で極端に雨が少なかったことからサトウキビの植え付けが進まず、現在の作業進捗から推測すると、サトウキビの作付面積は減少するとみられる。また、砂糖生産量第3位のカルナータカ州でも、同様の気象被害を受けており、マハラシュトラ州と同じ要因で作付面積が減少すると考えられる。

 NFCSFは、2019/20年度の砂糖生産量が減少する見込みを受けて、2018/19年度の砂糖輸出にマイナスの影響が出る可能性があるとしている。

表3 インドの砂糖需給の推移

(参考)インドの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

中国

2018/19年度、砂糖生産量はわずかに増加、輸入量はわずかに減少する見込み
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は122万ヘクタール(前年度比1.0%減)とわずかな減少が見込まれ、生産量は7859万トン(同2.4%増)とわずかな増加が見込まれている(表4)。てん菜の収穫面積は24万ヘクタール(同30.5%増)、生産量は1167万トン(同21.7%増)と、ともに大幅な増加が見込まれている(ドイツの調査会社であるF.O.リヒト社によると、内モンゴル自治区などの生産者は、政府がトウモロコシ支援政策を変更(注)したことでトウモロコシ価格が低下したことを受け、てん菜への転作を進めている)。7月〜10月にかけて天候に恵まれ、原料作物の増産が期待できることから、砂糖生産量も、1146万トン(同2.8%増)と増加が見込まれている。また、輸入量は、586万トン(同2.6%減)とわずかな減少が見込まれている。

(注)政府は2016年4月、トウモロコシ備蓄政策について、最低保証価格を廃止し、市場買い付けとする変更を行った。

広西チワン族自治区で、砂糖50万トンの臨時備蓄を決定
 中国最大の甘しゃ糖生産地である広西チワン族自治区の政府は、50万トンの砂糖を一時的に備蓄することを発表した。現在の国内市場価格は1トン当たり5000元(8万2750円)前後であるが、同政府はそれよりも高い同6000元(9万9300円)で買い上げるとしている。砂糖の備蓄期間は、2019年2月1日から6月30日までの5カ月間とされている。広西チワン族自治区における砂糖の工場渡し価格は2018年以降大幅に下落し、4年ぶりの低水準となっていることから、同自治区の政府は砂糖の備蓄によって砂糖価格の回復を図っているとみられる。

 さらに、製糖業者の財政健全化を図るため、製糖業者と生産者との間でサトウキビ代の支払い期限を3カ月に延期することが合意された。

表4 中国の砂糖需給の推移

(参考)中国の砂糖(粗糖・精製糖別)の輸入量および輸入単価の推移

EU

2018/19年度、砂糖生産量はかなり減少し、輸出量は大幅に減少する見込み
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は172万ヘクタール(前年度比1.0%減)とわずかに減少すると見込まれているが、生産量は1億1712万トン(同15.4%減)とかなりの減少が見込まれている(表5)。てん菜生産量の減少に加え、てん菜に含まれる不純物が多いことも影響し、砂糖生産量は1879万トン(同13.1%減)とかなり減少する見込みである。輸出量は、てん菜が減産となったことで、190万トン(同50.1%減)と、平年並みに戻ると見込まれている。

欧州委員会、農畜産物の中長期需給見通しを発表
 欧州委員会は2018年12月6日、EUにおける農畜産物の中長期需給見通しを発表した。てん菜生産量は、作付面積の減少に加え、近年の単収の伸び悩みが影響し、ほぼ横ばいで推移すると見込まれている(図3)。砂糖の消費のうち、化粧品や医薬品産業における工業的な需要は、今後12年間で8%上昇する見込みである。一方、1人当たりの砂糖消費量は、消費者の健康志向の高まりにより低カロリー甘味料や小型包装の食品の需要が増加することや、EU各国で導入されている砂糖税の影響により糖類を含む飲料の需要が低下することで、今後12年間で7%減少し、2030年には1年当たり27.8キログラムとなる見込みである。結果的に、全体的な砂糖消費量は、2030年までに約5%減少し、1770万トンとなる見込みである(図4)。
 
 砂糖の代替品として加工食品に利用される異性化糖の消費量は今後増加し、2030年には100万トンに達すると予測されているものの、甘味料全体の消費量は、2030年までに約2%減少すると見込まれている。

表5 EUの砂糖需給の推移

(参考)EUの主要国別砂糖生産見通しおよび生産割合(2018年12月時点)

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