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4. 日本の主要輸入先国の動向(2019年2月時点予測)

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最終更新日:2019年3月11日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2019年2月時点予測)

2019年3月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、2018年の主要輸入先国ごとの割合は、豪州が71.1%(前年比1.6ポイント増)、タイが28.1%(同3.1ポイント増)と、この2カ国で9割以上を占めている(財務省「貿易統計」)。
 豪州およびタイについては毎月の報告、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回はフィリピンを報告する。

豪州

2018/19年度、砂糖生産量はほぼ横ばい、輸出量はやや減少の見込み
 2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、39万ヘクタール(前年度比2.5%増)とわずかな増加が見込まれるが、夏期にクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州で発生した干ばつの影響を受けて、生産量は、3247万トン(同2.6%減)とわずかな減少が見込まれている(表6)。しかし、乾燥気候によってサトウキビの糖度が上昇したことにより、砂糖生産量は、446万トン(同0.2%減)とほぼ横ばいで推移すると見込まれている。輸出量は341万トン(同5.3%減)とやや減少すると見込まれている。

大手製糖業者マッカイ・シュガー社、ドイツ同業者に権益70%売却へ
 豪州の大手製糖業者であるマッカイ・シュガー社は2月8日、欧州最大の製糖業者であるノルトツッカー社に6000万豪ドル(48億6000万円)で持ち株の70%を売却し、さらに最大6000万豪ドル(同上)の融資を受ける見込みであると発表した。ノルトツッカー社による出資は、製糖工場の生産能力向上や、持続可能な事業運営、生産者負担金の返済に充てられる。マッカイ・シュガー社は、粗糖を年間80万トン生産しているが、1億8000万豪ドル(145億8000万円)の負債を抱え、経営難に陥っていた。一方、ノルトツッカー社は、今回の買収によって、砂糖消費量が減少している欧州だけでなく、砂糖需要が伸びているアジア市場にも拠点を持つ狙いがある。

 ノルトツッカー社による買収が実現するためには、マッカイ・シュガー社の株主の75%以上からの承認や、モスマン工場の売却などが条件となる。現地報道によると、4月に開催される臨時株主総会で株主による投票が行われる予定である。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2018/19年度、砂糖生産量はかなり減少する一方、輸出量は大幅増の見込み
 2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、179万ヘクタール(前年度比0.9%増)とわずかに増加すると見込まれている。台風の勢力が弱まった熱帯低気圧が多く通過し、サトウキビの倒伏、茎葉の傷みなどが発生した影響を受けて、サトウキビ生産量は1億2500万トン(同7.4%減)、砂糖生産量は、1439万トン(同7.7%減)とかなりの減少が見込まれている(表7)。一方輸出量については、前年度のサトウキビの豊作により積み上がった過剰在庫を解消するため輸出を強化するとみられることから、1335万トン(同32.5%増)と大幅な増加が見込まれている。

サトウキビ・砂糖基金の管理団体、サトウキビ農家への直接支援を開始
 タイ政府は2018年10月10日、サトウキビの安定的な生産を確保するため、2018/19年度に156億バーツ(555億3600万円)規模の財政支援を決定したところであるが、その執行機関の一つ、サトウキビ・砂糖基金の管理団体は、2018/19年度の対策費として最大70億バーツ(249億2000万円)を計上する方針を固めた。同団体は、農業資材の購入に要する経費に充てるための資金として、2018/19年度の製糖が終了するころまでにサトウキビ1トン当たり53バーツ(189円)をサトウキビ農家に交付する予定である。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

南アフリカ

2018/19年度、砂糖生産量はかなり増加、輸出量はやや増加の見通し
 2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、42万ヘクタール(前年度比1.2%増)とわずかに増加が見込まれ、生産量は2400万トン(同0.6%増)とほぼ横ばいで推移すると見込まれている(表8)。
 
 1月の降雨量が平均より少なく推移したことでサトウキビ収穫のペースが早まったことも影響し、砂糖生産量は、223万トン(同6.8%増)とかなり増加する見込みである。輸出量については、21万トン(同3.9%増)とやや増加すると見込まれている。輸入量は、昨年フィリピン政府が砂糖の輸入規制を一時的に緩和したことで、国内の砂糖在庫が増加したことを受け、前回見込みから18.5%減少し、42万トン(同37.7%増)と見込まれている。

フィリピン政府、砂糖の輸入自由化を検討
 国家経済開発庁は1月31日、消費者物価指数が政府の目標を上回って上昇を続け、特に食料品の価格が高騰していることを受け、農産物に対する輸入規制の緩和を検討すると発表した。砂糖については、関税の引き下げと合わせ、砂糖統制委員会(SRA:The Sugar Regulatory Administration)が実施してきた輸入許可制度を改め、輸入自由化に踏み切る可能性を示唆した。

 現在、輸入される砂糖には、年間約6万4000トン(粗糖換算)までが50%、それを超えたものは65%の関税率が適用されているが、ベンジャミン・ディオクノ予算管理相は、「砂糖の関税率を30〜40%程度まで引き下げたい」と述べた。また、同相は「この水準まで関税率を引き下げても、国内のサトウキビ農家を十分保護できるだろう」との見解を示した。
 
 国内の菓子業界は、砂糖の輸入自由化について賛成の意向を示している。フィリピン菓子・ビスケット・スナック協会(PCBSA:The Philippine Confectionery Biscuit and Snack Association)は、製品の原料である砂糖をより安く輸入したいという狙いから、関税率を25%に設定するよう政府に要求していると述べた。一方、国内の製糖業者は、今回の政府の意向に反対する姿勢を示している。

表8 南アフリカの砂糖需給の推移

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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