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新たな在留資格「特定技能」による農業分野での受入れについて

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最終更新日:2019年8月9日

新たな在留資格「特定技能」による農業分野での受入れについて

2019年8月

農林水産省 経営局 就農・女性課 経営専門官 三橋 孝一

はじめに

 平成3010月末時点で、わが国に在留している外国人労働者の総数は約146万人であり、このうち農業分野の総数は約3万1000人となっている。この総数は、この5年間で約1.9倍と大幅に増加しており、その主な要因は、毎年の技能実習生の受入れ数の増加によるものと考えられる(図1 左側棒グラフ)。

 
 しかし、農業現場においては、経営規模の拡大に取り組む農業経営体が従業員を積極的に雇用するようになったことなどを背景に、雇用労働者の数がこの10
年で約1.7倍に増加している一方、農畜産業分野の有効求人倍率は、近年一貫して全産業平均を上回る状況が続いている(図1 右側折れ線グラフ)。

 

 農林水産省としても、このような人手不足の状況を改善・解消するため、生産性向上のための取り組みとして、農地中間管理機構などを通じた農業の担い手への農地の集積・集約化、ロボット、情報通信技術(ICT)などの先端技術の活用によるスマート農業の推進、国内人材の確保の取り組みとして、新規就農者に対する支援、女性農業者の活躍推進、農福連携の推進などにそれぞれ積極的に取り組んでいるところであるが、先に述べた厳しい人手不足の状況は依然として続くことが見込まれている。


 このような中、生産性向上や国内人材の確保のための取り組みを行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に限定して、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れる仕組みとして、新たな在留資格である「特定技能」による外国人材受入れの制度(特定技能制度)が創設された。そして、農業分野についても、先に述べた人手不足の状況などに鑑み、政府部内での検討・調整の結果、受入れ対象である14分野の一つとして位置付けられることとなった。

1.特定技能外国人受入れの仕組みの概要と農業分野での留意点

(1)特定技能外国人について

 新たな在留資格「特定技能」は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類あるが、農業分野においては「特定技能1号」での受入れのみである。

 
 在留期間については、1年、6カ月または4カ月ごとの更新となるが、通算では5年が上限となる。「特定技能1号」を取得した外国人材(以下「特定技能外国人」という)は、受入れ分野に関する相当程度の知識・経験を必要とする技能を有している必要がある。そのため、技能実習2号を良好に修了しているか▽技能試験および日本語試験に合格するか−のいずれかを満たさなければならない。


 特定技能外国人を受け入れる機関(受入れ機関)は、これらの要件を満たした外国人と雇用契約を結んだ上で、最寄りの地方出入国在留管理局に各種申請を行うことになるが、この場合、

 
 (1)現在海外にいる外国人材(技能実習OB
や現地での日本語試験・技能試験合格者)を受け入れる場合は、在留資格認定証明書の交付申請


 (2)現在日本国内に在留中の外国人材(技能実習2号を良好に修了した者など)を受け入れる場合は、在留資格の変更許可申請

−を行うことになる(図2)。

 

 先に述べた通り、特定技能外国人の在留期間は、通算で上限5年となっており、期間中に一時帰国することも可能となっている。このため、5年間継続して働くことに加え、例えば6カ月間在留した後、いったん帰国し、再度6カ月間在留する、というサイクルを在留期間の通算が5年間となるまで繰り返すといった働き方も可能である(図3)。

 また、今回の制度では、在留期間の通算が5年を超えなければ、同一の業務区分(耕種農業または畜産農業)内での転職も可能となるため、最初に雇用契約を結んだ農業者の下での雇用期間が終わった後、別の農業者と雇用契約を改めて締結して働くことも可能となる。ただし、雇用先が変更となる場合は、新たに在留資格変更許可を受けなければならないので注意が必要である。
 

 

(2)従事する業務について

 農業分野における特定技能外国人の業務としては、主として(1)耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷、選別など)または(2)畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷、選別など)−に従事することが必要となるが、特に(1)の場合は栽培管理、(2)の場合は飼養管理がそれぞれ必ず業務として含まれていなければならない。例えば、農産物の選別の業務のみに専ら従事させるといったことはできない点に注意が必要である。


 また、これらの主たる業務以外に、同じ受入れ機関の下で就労している日本人従業員が普段から従事している関連業務(加工・運搬・販売の作業、冬場の除雪作業など)にも付随的に従事させることもできるが、関連業務のみ専ら従事させるということができない点に注意が必要である。

(3)農業分野における受入れ機関の基準について

 農業分野では、受入れ機関について分野横断的な各種基準に加えて、主に2点追加の基準を設けている。 


 まず1点目として、受入れ機関は、「農業特定技能協議会」(以下「協議会」という)に加入し、協議会に対して必要な協力を行う必要がある(詳細は後述2を参照)。


 2点目は、適切な労務管理の確保を図る観点から、受入れ機関が特定技能外国人を直接雇用する場合、過去5年以内に労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6カ月以上継続して雇用した経験がある必要がある。


 また、農業分野においては、直接雇用形態だけでなく派遣形態での受入れが認められている。もし農業者が、受入れ機関となった派遣事業者から特定技能外国人を派遣してもらうような場合、派遣先である農業者に対して、過去5年以内に労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6カ月以上継続して雇用した経験があるか、もしそのような経験がない場合は派遣先責任者講習その他労働者派遣法における派遣先の講ずべき措置などの解説が行われる講習を受講した者を派遣先責任者として選任していることが必要となるので、ご注意願いたい。

(4)特定技能外国人への「支援」について

 特定技能外国人の受入れに際しては、特定技能外国人がその活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするため、職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援を行うための計画(支援計画)を作成し、当該支援計画に基づく支援を行うことが必要となる(図4)。

 ただし、受入れ機関自らがそのような支援を行うことが困難である場合は、「登録支援機関」(注)にその全部の実施を委託することも可能となっているので、それぞれの現場の状況に応じて検討をお願いしたい。

 
 (注)登録支援機関とは、受入れ機関との契約により委託を受けて支援計画の全部の実施を行う者をいう。農業分野の登録支援機関としては、これまでに技能実習の監理団体などとして外国人材の受入れに関わっていた農協や法人協会など、地域の農業団体が考えられる。

 

(5)その他

 最後に、特定技能外国人を実際に受け入れた後に、雇用契約や支援計画に変更などがあった場合や、4半期ごとの受入れの状況などについて、地方出入国在留管理局に対する各種の届出が義務付けられている(図5)。

 それぞれの事由が生じた日から14日以内に届け出る必要があり、届出をしなかったり、虚偽の届出を行ったりした場合は罰則の対象となるので、適切に対応願いたい。
 

 

2.「農業特定技能協議会」について

 特定技能制度においては、その適切な運用を図るため、各分野所管省庁が協議会を設置することとなっており、農業分野においても、平成31年3月27日に「農業特定技能協議会」が設置された。

 
 協議会においては、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発、地域ごとの人手不足の状況を把握して必要な対応などを実施することとしており、農林水産省の他、制度所管庁や関係団体などが協議会の構成員となっている(図6)。

 

 受入れ機関は、最初の受入れの時点では、協議会に加入し、構成員となることを宣誓する「宣誓書」を地方出入国在留管理局に提出することで足りることとされている。しかしながら、その受入れ後4カ月以内には協議会に実際に加入いただくことが必要である。もし、受入れ後4カ月を経過した後も協議会に加入していない場合は、「特定技能」として外国人の受入れができなくなるため、注意が必要である。


 なお、加入の具体的な手続きについては、農林水産省ホームページの「新たな外国人材の受入れのための在留資格「特定技能」について」(http://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/new.html)のページに入会フォームがあるので、まずは当該フォームに必要事項を入力・送信いただきたい。その後、事務局が入力内容について確認でき次第、加入通知書をメールで送付し、加入手続は完了することとなる。本加入通知書は、2回目以降の特定技能外国人の受入れに際しても提出が必要となるので、大切に保存いただきたい。

おわりに

 今回、特定技能制度により、農業現場で即戦力となる外国人材を受け入れる仕組みが新たに整備された。しかしながら、今後、本制度により多くの優秀な外国人材が農業現場で受け入れられるようになるためには、過度の長時間労働や、低賃金、劣悪な住居環境の提供といったことが生じないよう、受け入れる農業者側や農村地域の人々が、外国人材を単なる労働者としてではなく、共に暮らす仲間として受け入れる環境づくりが重要である。
 

 そのためには、相手国の文化も尊重しつつ、適切な労務管理や充実した支援を着実に実施するよう常日頃から心がけることが何より大切である。


 農林水産省としても、制度所管省庁とも引き続き連携しながら、農業現場からの声も踏まえつつ、農業分野での特定技能外国人の受入れが適正かつ円滑に進むよう取り組んでまいる所存である。


 なお今般、農林水産省では、農業者の皆さま向けに特定技能制度に関する以下のパンフレットを作成・公表したところである。本稿において触れることのできなかった項目についても記載されているので、こちらも併せてご参照いただきたい。


 「特定技能外国人の受入れが始まりました!〜受入れにあたって押さえるべきポイントとは〜」

(http://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/attach/pdf/new-27.pdf)

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272