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ウフスマ・プロジェクトが始動

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最終更新日:2019年9月10日

ウフスマ・プロジェクトが始動
〜南大東村におけるスマート農業技術の開発・実証に向けて〜

2019年9月

南大東スマート農業実証コンソーシアム

 沖縄県南大東村は、約120年前の開拓以来さとうきびの島として成り立ってきましたが、遠隔離島故にその歴史は人手不足と自然の猛威との闘いでした(図1)。それを制してきたのは先人たちの果敢な機械化農業や防風林整備などへの取り組みです。さとうきび農業の中では最も先進的な機械化一貫体系を確立している一方で(写真1)、高齢化などに伴う熟練オペレーターの急減は危機的なレベルに達し、新たな生産システムの構築が喫緊の課題となっています。

 この窮状を克服するため、生産者、研究機関、行政機関、通信技術メーカーおよび農業機械メーカーが一体となって「南大東スマート農業実証コンソーシアム」を設立し、未来のさとうきび農業を担うスマート農業プロジェクトである「ウフスマ(UFSMA)・プロジェクト」をスタートしました。

 

 

1.ウフスマ・プロジェクトの概要

 ウフスマ・プロジェクトは、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の委託事業「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」(令和1・2年度)の採択を受けた「さとうきびの生育情報に基づく精密栽培管理によるスマート農業体系の実証」プロジェクトです(研究代表者は琉球大学農学部 川満芳信教授)。

 本プロジェクトでは、上述の課題の克服に向け、自動操縦により未熟練者・女性・高齢者でも熟練オペレーターの代替となり、超省力化を実現するための島全体の全地球測位衛星システム(GNSS)の構築▽生育情報・生育環境情報を利用した精密農業の実践▽限られた水資源を有効活用するための超節水・自動かん水などによる持続可能な生産・経営システムの確立—などを目指し、農業生産法人アグリサポート南大東株式会社の()(じょう)において、2年をかけてさとうきびスマート農業技術の開発と実証を行います。

 なお、ウフスマとは大東島の別名「“うふ”あがりじま」と「“スマ”ート農業」をかけた造語で、イメージキャラクターはGNSSなどの電子情報を駆使して圃場や植物の生育情報を把握し、栽培と営農を合理化する本プロジェクトと関連し、超音波を使って空間を把握する南大東島の固有亜種ダイトウオオコウモリを採用しました(図2)。以下に、本プロジェクトの三つの取り組みについて紹介します。

 

2.三つの取り組み

(1)GNSS自動操縦による精密・超省力化栽培体系の確立

 トラクタやハーベスタなどに、ロボット技術の応用であるGNSS自動操縦システムを装着し、3作型(春植え、夏植え、株出し)の植え付けから収穫、株出し管理までの一貫した精密・超省力栽培体系を確立します。このシステムを農作業に用いるには、移動するトラクタ(移動局)と通信端末の電波を中継する基地局が必要となります。南大東村の4カ所に基地局を設置して、どの圃場でもGNSS自動操縦が可能になる体制を構築します。また、GNSSインフラのコスト検証、植え付け前のGNSS線引きによる植え付け面積の拡大と、その後の作業の評価なども併せて行います(写真23)。

 

 

(2)さとうきびの生育・気象情報データに基づく、高度情報通信技術(ICT)農業による収益性向上

 ドローンやIoT(注)センサーネットを用いて、さとうきびの生育や気象情報などを効率的に収集・解析し、データに基づく高度ICT農業システムを確立します(図3)。これによって、農家は時々刻々と変化する環境に応じた適期・精密作業によって収益性向上に取り組むことができます。島内6カ所で気象データを収集し、生産者が最も関心を示す降雨データなどをスマートフォンで配信します。生育・環境情報に加えて、GNSS自動操縦システムによる作業データなども含めて、GIS(地理情報システム)に集約し、情報の見える化を図ります。

(注)世の中のさまざまな物体に通信機能を付加し、インターネットに接続することにより、物体からのデータ収集、自動制御などを行うこと。Internet of Things。

 

(3)希少な水資源を有効活用する精密かん水による増収

 さとうきびの生育や環境情報(蒸発散量、土壌水分、気孔状態など)に基づく精密点滴かん水技術を開発し、希少な水資源を有効活用してさとうきびの増収と品質向上を図ります(図4)

 

3.今後の推進、普及に向けて

 令和元年5月、本プロジェクトのキックオフ推進会議が琉球大学(沖縄本島)および南大東村において同時開催されました。会議では、研究代表者あいさつの中で琉球大学川満教授より、今後の人材育成という観点も含めた本プロジェクトの意義について説明があった他、南大東村 仲田村長および農業生産法人アグリサポート南大東株式会社 宮平常務より、島の労働力不足の解決に向け、本プロジェクトに期待を寄せるメッセージが届けられました。その他、コンソーシアムを構成する生産者、研究機関、行政機関、通信技術メーカー、農業機械メーカーがそれぞれの立場から本プロジェクトにおける役割について説明がありました。
 
 
 
 また、琉球大学名誉教授の上野正実先生より、研究成果を多くのさとうきび関係者に還元できるよう、コンソーシアム参加メンバーおよび協力機関で構成される「南大東スマート農業実証推進会議」の設置について報告がありました。今回の実証で得られた成果については、同会議などを通じて速やかに島内生産者へ周知するとともに、島外のさとうきび産地への普及も目指しています。それぞれの地域に適したスマート農業導入の参考にできるよう、コンソーシアムでは、普及・周知活動の一環として現地見学会などを予定しています。

 プロジェクトの概要やお知らせ、研究実施内容の方向などはホームページにも掲載していきますので、ご参照ください。

〈ウフスマ・プロジェクトホームページ〉

http://www.ufsma.jp/index.html
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272



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